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選択肢が多いのも困りもの(選択肢過多効果)

※この記事は2022年1月20日にstand.fmで放送した内容を文字に起こしたものだ。


スーパーなどに行くと、たくさんの商品が並んでいるのを目にする。そんな時に度々出くわすのが「どれを選んでいいか分からない」という感覚だ。
例えば野菜一つ取ってみても、僕たちは見た目や価格などを考えて、いくつもの野菜から一つを選んでいる。その時にどれを選ぶかはかなり悩ましい。たとえスーパーに行く前から買うものが決まっていたとしても、いざ店内に入ってみたら、商品の多さから買うのを躊躇ってしまうこともある。

わかりやすい例えを一つ紹介しよう。
例えば、デパートの試食コーナーでジャムを売ったとする。この時、「6種類のジャムを販売するブース」と「24種類のジャムを販売するブース」では、どちらの方が売上が多かっただろうか?
・皆さんならどちらのブースに足を運ぶだろうか?
実際に統計を取ってみたところ、6種類のブースの方が、24種類のブースの7倍の売上があったそうだ。通りがかった客が足を止める確率は24種類の方が上なのだが、実際に商品を買ってもらえる客の割合は6種類のブースの方が多かったという結果が出ている。
なぜ少ない選択肢の方が売上が上がるのか?それは、脳の処理できる情報量に限界があるからだ。許容量を超えると、人は選ぶこと自体をやめてしまう。

このように、選択肢が多すぎると選択する気力が落ちる傾向のことを「選択肢過多効果」という。

人間は日頃から小さな選択をしているが、それには当然体力を使う。なので、選択肢が多すぎると疲れてしまうのだ。
例えば仕事で企画会議をしていた時、1つのテーマに何百個もの企画案を出されたら流石に決断に困る。それよりも、各自提案する企画案は一個に決めて、10個の中から1つを選ぶ、などのやり方にした方がまとまりやすい。
他にも、学校のテストなどで、選択肢を十個も用意された問題よりも、3個の選択肢しかない問題の方が選びやすい。もちろん、ある程度の難易度は必要なので、3個であっても、理解してないと正解が見つけにくい選りすぐりの3個にするべきだが。

このように、人間の脳は一度に処理できる情報量には限界があるため、過度に選択肢を増やしすぎると、選択する行為自体がつらくなってしまう。そのため、誰かに何かを選ばせる、もしくは自分が何かを選ぶ際は、必要以上に選択肢を増やしすぎないようにした方がいい。

そしてこの話で注意するべきは、「寡作になればいいわけではない」ということ。

確かに、選択肢が多すぎるのは選ぶ体力を消耗してしまうので問題だ。しかし、選択肢が少なすぎることもまた問題である。
それぞれが考えた多くの情報から選び抜いた選択肢だからこそ価値が生まれるのであって、最初から少ない情報のままで選択肢を作っても、その少なさに価値は見つけにくい。
先程の6種類のジャムも、それがたくさんの候補の中から選び抜かれたジャムだからこそ売れるわけだ。だとしたら、サプライヤーやクリエイターに求められるのは、「とにかくたくさん作ること、多作になること」である。選択肢を絞るのはそれができてからの話なのだ。

僕はこの効果からそんなことを学ばされた気がする。


参考文献:自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)

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