【第33話】ウルウルな週末
最近、やたら涙もろくなっている僕です。男としては情けないと思いますが、なかなか我慢できないときがあります。
しかし、「成人では10万人に1人という病気」を引き当てたことに対して、悲観的に流した涙は、一度たりともありません。
(病気と初めて向き合えた日に号泣したことも、向き合えたイコール、前を向いたからだと思ってる)
今だから、敏感になっているのか、周りの思いやりや優しさを感じたり、「僕のことを、精神的に支えてくれようとしてるんだ」と思ったりしたとき、すぐにウルウルしてしまうのです。
(とはいえ、おれもやっぱり男。バレたくないから隠してるんだけど、たぶんバレてる笑)
お家でゆっくりしていると、【第4話】で紹介した教頭からLINEが鳴りました。
「拓、家族との大切な時間、すまんが数分ください」
ご自宅は遠方なのに、わざわざ僕の顔を見るだけのために訪ねてきてくれたのです。うちの娘へ、ケーキとポケモンのシャンパンみたいなジュースを手渡して「みんなでパーティーしてね」と帰っていく教頭。
ケーキをあけて見ると、こんなメッセージまで。しかも、僕宛てではなく、寂しがっていたであろう子どもたちへ。その心遣いにウルウル。
(ちなみに、脂質禁止のおれは食べられないチョコ。それにもウルウル…、違うかー笑!←古い)
そして、またゆっくりしていると、県外に住む友人から「たっくん、明日その辺りに行くけど、少しでも顔見れたら!もちろん体調を優先してや!」とLINE。
彼は、【第14話】で少し触れた、僕が昔、アフリカの小さな島、ザンジバルへ青年海外協力隊として派遣されていた時の先輩隊員。彼も、数年前に大病を乗り越えた経験があり、いろいろとアドバイスをもらいました。
帰り際、「はい、これ」と手渡されたのは、とても綺麗な柄の御朱印帳。
聞けば、なんと、沖縄入りしてから、琉球八社すべてを巡って御朱印をもらい、僕の回復を祈願してくれたそうなのです。その心遣いに、またウルウル。
この日、県高野連の審判講習会もあり、本当なら、僕も何かしらの役割がありました。先輩から「審判講習会、無事に終わったよ」という報告と共に送られてきた動画。審判仲間からのまさかのメッセージに、またウルウル。
そして、最後は、ザンジバルから。
現地にいた頃、地域の子どもたちと一緒に野球チームをつくったのですが、当時の選手たちがコーチになり、今も、野球を続けてくれています。
今週末、ちょうどタンザニア甲子園大会が開催されており、ザンジバルも試合があったのですが、僕の病気を知った彼らは、ベンチにこんな横幕を貼ってくれていたそうなのです。それに、またウルウル……ポロポロ…まで。
僕の病気と、彼らも共に闘うと言ってくれた気持ちに応え、僕も、試合を一緒に闘いました。
この横幕をつくってくれたのは、ファハデイ。
昨年、ザンジバル代表チームが沖縄へ遠征に来てくれた時には、沖縄選抜チームから、彼が先制レフトオーバーの三塁打を打ってくれました。
三塁ベース上で、両手を上げないまま力強く握りしめて、喜びを噛み締めた姿を今でも鮮明に覚えています。
さぁ、明日から治療ステップ2が始まります。沢山の激励をいただいて、また、明日からがんばります。日曜日、戻ってきた病室にて。
(追伸、涙腺を鍛える方法があれば教えて笑)
2023.12.10
※他にも、協力隊OBの皆さまや教え子たちなど、沢山の激励メッセージをもらっていますが、僕の元気な姿を見せるのが1番と思い、お礼も返せず失礼をしています。早く元気になります!