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兼近さんと中野先生の新書


 中野信子先生と兼近さんの共著「笑いのある世界に生まれたということ」は読んで大満足でした。いいな!中野先生いいな!!兼近さんと脳の話できていいな!!!!わたしも兼近さんと中学生の発達と心理について語り合いたいyo!!!!!と、一介の地方公務員が大学教授をうらやんでいます。図々しい。

 巻末には、兼近さん書き下ろしの文章も載っていて、この部分は脳科学ではない、「しなきゃいけないことがあるのに何にもしないで一日が終わり、でも自己嫌悪したくないからとにかく自分に言い訳を考える」という、どこにでもいる等身大の32歳成人男性の姿そのものでした。もうみんな同じですね!中学生も教員もお笑い芸人も、休日の夜に後悔している人々のなんと多いことか。でもまあそのうち、Rー指定さんが歌っていたように「このポンコツの操縦の仕方」が分かってくるはずなので、その日を楽しみにしていましょう。

 いろいろ興味深い話題が語られていて、笑うという行為に脳科学からアプローチしている中野先生と、ひたすらストイックな兼近さんの対談はとても楽しそうでした。


以下、印象に残った箇所を引用しておりますので、ご注意ください。








印象的な箇所1

中野「ちなみに、フランスのお笑いは、エロネタが多い気がする(笑)」
兼近「え、スケベなんですか。」
中野「たとえばフランス料理のネタで。」
兼近「食べたことないです。」
中野「じゃあ、今度ね。フランス料理で・・・(略)」

中野信子/兼近大樹:「笑いのある世界に生まれたということ」

 ばっさり。
 フランス料理のネタというトピックで、いきなり「自分の経験」に興味が向く内向型の兼近さん。それに対してあっさり「今度ね」とあしらって本題に戻る中野先生。やり取りが痛快でした。大事な連絡の最中に、「先生!きのうやけどした!!」「うん、お大事に。で、明日は午前授業なので下校時刻が(略)」とかいうやり取り、学校で100回近くしている既視感です。




印象的な箇所2

中野「笑いの起源や歴史をたどると、たとえばかつての欧州における道化というのは権力者を笑うことによって民衆の不満を解消するという役割を担っていました。(略)」
兼近「なるほど、ガス抜きですね。」

中野信子/兼近大樹:「笑いのある世界に生まれたということ」

 「道化による体制イジリ」を「ガス抜きですね」とちゃんと捉えて言語化する頭の回転の速さたるや。そりゃ中野先生も白目になるわ。

 このくだりで思い出したのが、同じ中野で「怖い絵」シリーズの著者・中野京子先生の著書「名画の謎 陰謀の歴史編」。ジャン・レオン=ジェロームの「仮面舞踏会後の決闘」の項にて【中世ヨーロッパでは(略)王侯の耳に痛い真実を語らせるため」に宮廷道化が「飼われ」、ひどい扱いを受ける代わりに何を言っても罰せられない「愚者の自由」を手に入れた】とありました。自由がほしくて道化になる利口者も登場したとか。
 このジェロームの「仮面舞踏会後の決闘」という絵画、実は以前EXITcharannelでEXITのお二人がアートカードでゲームをした際に、兼近さんが選んだカードだったんですよね。欧州の道化の歴史をご存じだったのか、そうではないのか、分かりませんがものすごく勘が良いというか、独自の回路で本質に向かう人だなぁと思った覚えがあります。

 今であれば、この絵をどのように読み解くのでしょうか。兼近さんは視覚情報をすごく早く読み解くのですが、読み解き方がけっこう独自路線だったりするので、本当におぎやはぎさんと一緒にぶらぶら美術館で絵画を見てほしいと思っています・・・!!

 (ちなみに上記のアートカードゲームで兼近さんが他に選んだのはピカソの青の時代の作品でした。これもこの「笑いのある世界に生まれたということ」の中で兼近さんがピカソを鑑賞されたこともおっしゃっていて、感激しました。兼近さんに中学校鑑賞授業の王道「風神雷神図屏風」を見せて秒で本質にたどり着くさまを見て戦慄を覚えたいです!!!!!!)




印象的な箇所3

兼近「知らない人がふざけるのを見ても嫌悪感を覚えるだけだけど、良く知った友だちのおふざけはおもしろい」

中野信子/兼近大樹:「笑いのある世界に生まれたということ」

 これはもう中学生のおふざけを見ていると本当にそう思います。というか、本来は小学生のふざけ方なのですが、中学生の、特に男子は14歳くらいまで「自分が楽しい、みんなも楽しい」という感覚が残っていますよね。自分と他者の区別があいまいで、教室内でバカ騒ぎをしてよく叱られています。部室では受けたんだけど・・・残念ながら、教室は公共の場なのです。今度からこのフレーズを使って生徒を指導しようと思いました。

 ただ、一方で公共の場の秩序を極端に維持しようとする生徒もいます。小学4年生くらいの女子児童で「静かにしてよ男子!」って怒ったりする子がいますね、あれがやっぱり中学生まで続いている場合がある。中学校の教室って、このように各個人の感覚の凸凹が混在した空間だから、しんどく感じる人もいるのだと思います。





 改めて笑いのある世界に生まれたということを考えてみると、確かに、幼い子どもが大型犬に抱き着いて爆笑している動画の「笑い」と、お金を払い宿泊場所を予約し公共交通機関を乗り継いで演芸場へ行く人たちが求める「笑い」は違うのだろうな、という気がしてきます。

 でも、そういうことじゃなくて、この本の本質は、「出会いによって人生が変わった人がいます」「その人が生き延びてくれてうれしいです」「これからもお元気で」という中野先生のメッセージなのかもしれません。

 

 



余談ですが、この本で描かれる兼近さんは以下のような日々を送っています。

自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める

文部科学省「学習指導要領」第3章「特別の教科 道徳」の「第一 目標」より

 学校にほぼ行っていない人が、教えられなくても本人のもつ良い方向へ向かいたいという願いでもって、このように人生を生きていることが、本当に本当に尊いと思いました。

 だから、何もせずに終わった休日があってもいいじゃない。








【今更、QJのラヴィット特集の話】
 少し前のQJのラヴィット!特集が公式に「ラヴィット!って学校みたいだよね」と言ってくれて、大変感慨深く拝読いたしました。なぜそのように感じるかというと、私たちの多くが幸か不幸か「学級の一員」を経験しているからなのでしょうね。

 ラヴィット!は、朝の8時から楽しく陽気にバラエティ番組をやっています。この朝8時という時間帯、玄関を出ることなくリビングに戻ってきたお子さんの少しの安らぎになればいいと願っています。情報を扱わないので、社会から取り残されているような罪悪感めいたものが少なくて済むと思う。
そんな中で3月9日にはレミオロメン「3月9日」を歌ってくれたりして、ぐっとこみ上げるものがあります。

 QJでは川島さんが金曜ラヴィットは「夜間学校みたい」「文化祭色が強い」とおっしゃっていて、「良かった!!!!!」と思いました。どういうことかといいますと、数年前、第7世代華やかなりし頃、バラエティで「第7世代って共学の私立高校みたいだよね(それに比べて俺たちは工業高校だ)」というイジリを見て「いや、宮草とEXITがいる時点で定時制夜間部なのでは?」と思っていたのですが、「夜間高校呼ばわりすることは、中卒の彼らを下に見た発想ではないか?」「いや、夜間高校を下に見ているのか?」「この印象に偏りはないのか?」といろいろ考え込んだ時がありました。しかし、川島さんがおっしゃるだけでそれはもう金曜ラヴィットは「夜間高校」でいいんだ、と安心しましたし、夜間高校にはくっきー!パイセンがいるから安心だし、EXITさんは文化祭のさらに後夜祭で司会をする生徒会と運動部推薦ってことでいいんだと思えるようになりました。(くっきー!先輩のインスタ、めっちゃかわいいですよね・・・。)

 そしたら、Xの「はみだしラヴィット!」に宮下草薙と共に登場した兼近さんが「居残りラヴィットでしたっけ?」とおボケになられて(本気かもしれない)宮下草薙とEXITが居残りしている・・・なんてかわいい居残り教室なんだ・・・放課後に居場所ができて良かったね・・・・!!と訳の分からない感動がこみ上げたのでした。実は宮下さんと兼近さんの波長が合ってるのが好きです。理系男子独特の変なノリでずーっとしゃべってるところをずっと聞いていたい。


 QJは一貫して「ラヴィット=学校」という切り口で番組を特集しているのですが、その大きなよりどころはなんといっても川島さんの存在だと思います。川島さんが学級担任に見える。ただ、自分は教員の習性で、教室がうるさくなりすぎて真子ちゃんや赤荻アナの説明が通らなくなると「静かにしなさい!」と声を出したくなってしまいます。生放送じゃなかったら、川島さんに「先生が話し始めるまで、2分38秒かかりました!」というアレをやってほしい所です。





【メシドラは胃薬を用意してあげてください!】
 実は小食だということがばれてしまった兼近さんの胃腸が毎回心配なところではあります!さっそく苦しそうにしている!!!!もしスケジュールが許すのであれば、特番時代のように朝から1日ゆったりと適当にぶらついてほしいです。
 メシドラは、同年代の男子がわちゃわちゃ世間話をしている様子が楽しい。満島真之介さんの溢れんばかりのスポーツマンシップに裏打ちされた前向きオーラについていこうとしている兼近さんが微笑ましい。時々年上の満島さんにバッサリつっこまれているのも小気味良い。兼近さんと満島さんは同じ学校だったらたぶん交わらないグループではないかと思うのです。単純にバスケ部と野球部は文化が違うので。でも、こうしてみると人はちゃんと大人になって文化圏の違う人とも交流して、違う所を認め合ったり、MDウォークマンで爆笑したりするんですね。やっぱり同じものを経験し、分かち合うことって大切なんだなと思いました。
 車内で二人が急に歌い始めるのも愉快です。学生の頃って誰かが突然歌い出しても気にせず一緒に歌いますからね。若さの特権なので、みんなどんどん歌を歌ってほしい!でも授業中は歌っちゃだめですよ!

 第1回目の喫茶店から、兼近さんが兼近大樹全開で、そわそわしつつ少し今後が楽しみになっていました、すみません。人見知りをテンションで乗り切るためにやたらと饒舌になるところとか、少し注意されただけで過剰に反応してしょんぼりするところとか、お手洗い貸してと言えず追い込まれてしまう所とか、「し、しょうがく5ねんせい・・・?(失礼)」とツッコみを入れつつ、こうやってこの人はだんだん成長していくんだな、と感じました。そうしたら第3回目のマザー牧場ではもう自分から率先して店に突撃してましたからね、相変わらず成長速度が鬼早いですね!

 ドライブ中の車内で、なんとなくふと真面目な30代の若者の会話が流れるのも素敵です。高卒認定試験に挑戦中の兼近さんが、語学を学んでみたいとおっしゃったのが、すごく良いことだ!と思いました。言葉を学ぶことって本当に大切だと思います。言葉遣い一つで、感情や価値観などの「人間」がにじみ出てきますから、ぜひ、さらにさらに言葉に対する感受性を磨いていってほしい。そしてもっと素敵な日本語とそれを裏切って期待を超える話芸を我々に届けてほしい。

 メシドラにはいつか山田裕貴くんやハナコ岡部さんがゲストで来てくれそうなので、ものすごく楽しみです。美味しいものをたくさん食べる岡部さんはいつ見てもいいものだ!










 佐久間宜行PのYouTubeチャンネル「NOBROCK TV」で、パルスの倉兄ことインパルス板倉さんの「妄想板倉軍団を考える」が最高過ぎました。そう、きっとEXITさんは11時過ぎに「今まで生放送でした!」と言って飲み会に駆け付けてくれる・・・・もちろんりんたろーさんは山添さんと共にいつまでもつきあってくれるし、兼近さんだって12時まではきっといてくれる、「40分しかいれないけど来ました!!」っつって、翌日突破ファイルのロケでも来てくれる・・・・はず。という妄想が本当に楽しい「妄想板倉軍団」でした。板倉さんもう一度EXITANNXへ来てほしい。