「ヴォルデモートなんていない」1章/音楽小ネタ


 ハリー・ポッター二次創作「ヴォルデモートはいない」、ひとまず一章完結ということで自己満足の趣味の記事です。作中では小ネタとしてサブタイトルや固有名詞などを音楽から引用しており、その辺の振り返り記事となります。

・本記事は本編の没入感を損なう可能性があります。作中の設定、解釈などにはほとんど触れませんので、小ネタに興味がなければスルーして一切問題ありません。完全に自己満足の蛇足です。

・ネタバレが多少あります。本編を先に読み通すことをオススメします。

・書くにあたっての参考資料とかちゃんとした後書きのようなものも記事にする予定ですが、これは完結後にまとめてやる予定。

・自分で入れておきながら忘れてるやつも結構あるので、抜けてるそれっぽい箇所指摘してもらえると答えられるかもしれません。冬眠前のリスかよ。


 テーマとして「マグル生まれの排斥派vs受容派」という対立を扱っている関係もあり(参考資料もそのあたりのものが並ぶ予定です)、意識してブラックミュージック(ジャズ、ヒップホップ、黒人霊歌など)を小ネタの上では取り入れています。 加えて、「ハリー・ポッター」の舞台はイギリスということでイギリスにゆかりのある音楽も多めに配置しています。

3話目サブタイトル

03.クリーン・クリーン

 トップバッターにはイングランド出身のThe Bugglesのトラック、Clean, Cleanから引用。そんなに深い意味はなく、直球でハリーたちが鍋を洗ってるシーンをそのまま意味しているのですが、一方で歌詞は戦争についてのもので、そんな生易しい世界じゃないよ? というのを暗示していたりもします。

4、5話目サブタイトル、および6、7話目サブタイトル

04.ホワイトホールと黙示録(1)
05.ホワイトホールと黙示録(2)
06.超大質量ブラックホール(1)
07.超大質量ブラックホール(2)

 これもイギリスのロックバンド、Museのアルバム"Black Holes and Revelations"とその収録曲"Supermassive Black Hole"より引用。

 "ホワイトホール"というイギリスの地名は日本で言うところの霞が関で、ウェストミンスター宮殿や首相官邸、最高裁などの政府機関が立ち並んでおり、魔法省の入り口もここにあるという設定になっています。

 その地名とのもじりでホワイトホールとしつつ、後半は省をあげてスネイプ(とジェームズ)を追い回す圧力をブラックホールに例えたのですが、あんまり良い例えとは言えなかったかも。

4話目冒頭

1989年6月2日 魔法省地下8階 カフェテリア「月並みな星(ハムドラム・スター)」

 イギリス、マンチェスター出身の現代ジャズの旗手、GoGo Penguinのアルバム"A Humdrum Star"をそれっぽく訳してみました。「月並みな星」っなんか”ハリポタっぽい”訳っぽいと思うんですけれど、どうでしょうか。

 スリザリン出身生3人の密談(と見せかけての他愛ない雑談)の舞台です。ブラックミュージックのジャンルの曲を意識して取り入れてると前述しましたが、スリザリン生にまつわるシーンはジャズ、グリフィンドール生のシーンにはヒップホップ……みたいな使い分けは、そんなに厳密ではないですがちょいちょいしてます。

7話目モブ

「いやいや、そんなビビるなよ! あれは飲み仲間のリッジさんだ。とても温和な人でな……ごきげんようハージェスト。昨晩のランカシャーは見事だったな! あそこのチェイサーは酷すぎる、俺がやったほうがマシなんて言ったのを謝るよ」

 イギリス出身の大天才、Mike Oldfieldの名盤、"Hergest Ridge"をそのままもらってます。モブに関しては名前だけはWizarding World内に設定がある人物から苗字だけ借りるとかそういうケースのほうが多いですが、Mike Oldfieldは大好きなので一瞬で使うモブはわりとこんな感じでもらってきてちょいちょい使うかも。

7話目、グリフィンドール出身者が伝統的に集まる店

ポッターが足を運んでいるのはイギリスの伝統的なスタイルのパブ、「ジンとジュース」だ。

 アメリカのヒップホップMC、Snoop Doggの曲名"Gin N Juice"。そのままですね。グリフィンドール生のための店ということで、上で書いた通りヒップホップから引用です。

8話目サブタイトル

08.オールドスクールに代わりはない

 アメリカのヒップホップMC、2Pacの"Old School"の歌詞"Nothin' like the Old School..."をそれっぽく……? したものです。ちょい苦しい和訳かもしれない。

 ヒップホップにおける"オールドスクール"は1970年代、ヒップホップ黎明期を指しており、この曲は当然それを歌った曲となっています。サブタイトルはもちろんホグワーツを指しており、993年創設のホグワーツと1970年代のヒップホップのダブルミーニングっぽくなるのは面白いかな? と思って使ってます。

9話目サブタイトル

09.きっと僕ら友達、だからお願いここは一つ君のおごりに

 日本のヒップホップMC、鎮座DOPENESSのトラック、乾杯の歌詞から引用。収録されてる100%RAP、名盤だと思うけどいつのまにかiTunesからもSpotifyからもなくなってしまった(前はあったと思うんだけど)。まあ、酔っぱらいの陽気な歌です。酔っぱらい3人のシーンに合わせて。

9話目飲んできた店の名前

「『交流・直流』か、覚えとこう。サイモンゲームにファミコン? 最近のマグルの電化製品は愉快なものが多いな」

 オーストラリアのハードロックバンド、AC/DCをそのまま直訳。そんな深い意味はないまま適当に使いました。

10、11話目サブタイトル

10.I got bills, I gotta pay.(1) 
11.I got bills, I gotta pay.(2)

 アメリカのR&Bソングライター兼シンガーのLunchmoney Lewisによるトラック"Bills"の歌詞から引用です。

 Billsというのは請求書を指していて、「頑張って仕事して請求書を払って家族を食わせなきゃなんねえ!」っていうコミカルな曲です。ハリーとドラコでお金のやりくりをさせられる平和なシーンということで、こういうものを。

10話目モブ

そうだな。マクラッケンおじさんが不良在庫をまだ抱えてるかも。

 クィディッチ用品の中古業者として、The Usedのボーカル、Bert McCrackenの名前をお借りしました。

 The Usedがそのまま中古品を意味してるのでそのままです。その直前に出てくる"メグ姉さん"はWhite StripesMeg Whiteから名前を借りた記憶はあるのですが、今読み返してみるとおそろしく周辺情報がないので割愛。


10話目、絵画が喋る謎の言語

「ランバ・ラ・ワラ・ヘ?」
「何度言われてもわかんないよ!」
「ふーん。たぶん古ゲール語ね。発音がほぼ失われている言語を合言葉に使う。賢明な仕組みね」

 大嘘です。古ゲール語どころか架空言語です。イギリスの音楽プロデューサー、Nick Woodによる"Passion"です。KIRINチャレンジカップなどでスポンサーソングとして多用されているので、サッカー好きなら聞いたことがあるかも。

 ありえない言語から持ってこようってことで、冒頭の歌詞を適当に耳コピして使用。

12、13話目サブタイトル

12.トロールと口喧嘩はありえない(1)
13.トロールと口喧嘩はありえない(2)

 日本のヒップホップMC、ANARCHYの"Kill Me"の歌詞をもじって使用。街であったらトロールよりANARCHYは怖いです。

14話目サブタイトル

14.魔法にかけられて

 アメリカのシンガーソングライター……説明不要ですね。Taylor Swiftの"Enchanted"……と同名のディズニー映画の邦題が「魔法にかけられて」のため、そのまま使ってます。

 女性視点の片思いソングでなにかないかなー、と思ってこれを使いました。魔法に関わるものがタイトルや歌詞で使われてるものは普段から収集しておく。

15話目サブタイトル

15.ワンダフル・クリスマスタイム

 ご存知、Paul McCartney! もちろん出身はイギリス。大名曲で大定番のクリスマスソング、"Wonderful Christmastime"です。語るだけ野暮。

15話目待ち合わせ場所

「レイ・デイヴィス広場? ずいぶん遠いな。ここから真逆だぞ」
「あそこはデイヴ・デイヴィス広場だ」

 イギリスを代表する兄弟ロックバンド、Kinksの二人です。もしかしたら二人は魔法使いで、1991年のダイアゴン横丁に銅像が立ってる……というのもありえなくはない。

16話目サブタイトル

16.祝祭広場のクリスマスマーケット

 日本のジャズ・ピアノトリオ、H ZETTRIOのクリスマスソング、"祝祭広場のクリスマスマーケット"です。かわいい曲。

 14話目のホグワーツにヒンメリが飾られているのは、同じアルバムに収録されている"光のヒンメリ、輝く街"をサブタイトルとして使おうとしていた名残だったり。


17話目サブタイトル

17.静かに揺れよ、愛しい荷車

 黒人霊歌、Swing Low Sweet Chariotより。非常に多くのアーティストによって歌われている曲です。

 歌詞は黒人奴隷の(場合によっては自由黒人の)北部州への亡命などを意味しているとも言われており、歴史的に非常に重い意味を持っています。

18話目サブタイトル

18.何食わぬ顔してるならず者

 日本のヒップホップMC、MC漢による"何食わぬしてるならず者"です。ヒップホップ界隈は悪人のための曲名を探したら事欠かない。

19話目サブタイトル

19.La Femme Chinoise

 日本のテクノグループ、Yellow Magic Orchestraの"中国女(La Femme Chinoise)"より引用。

 中国系イギリス人とされるチョウ・チャンが冒頭に出てくるってだけの話ですね。YMO使いたかった欲が先行してるかも。

20話目サブタイトル

20.自由は獲得しなければならない

 アメリカのジャズ・サックス奏者、Pharoah SandersYou've Got To Have Freedomより。

 大大大大名曲ですね。省による抑圧に立ち向かうためのタイトルとして使わせていただきました。

21話目サブタイトル

21.キープ・イン・ザ・ポケット

 日本のDJ、トラックメイカーであるDJ DECKSTREAMによるKeep In The Pocket。上のPharoah SandersのYou've Got To Have Freedomをサンプリングしており、20話目と21話目はセットになっての配置でした。

 完璧に自己満足ですがこういうのがやりたくてサブタイトル芸してた。

22話目サブタイトル

22.彼は欲しいがままに得点する

 イングランドのフットボールクラブ、アーセナルFCのチャント(応援歌)のHe Scores When He Wantsより。

 クィディッチのシーンということで、イギリス国内のフットボールの曲を使おうということで採用。その他(イングランド以外のクラブのチャントも)もろもろチェックしてるのでどっかで使いたいですね。

23話サブタイトル

23.親愛なるヴァレンタインさんへ

 日本のヒップホップMC、DOTAMAハハノシキュウによるアルバム"13月"収録、"02月 親愛なるヴァレンタインさんへ"より。

 コミカルなバレンタインソングです。バレンタインの曲の中で人類を滅亡させる発想は流石。

23話中に出てくる服屋さん

エンペラーズ・ニュー・クローズで服を一緒に見て歩きたい。

 Wizarding World内に設定のある店ばっかり並べてるなかで、しれっと紛れさせたのがこれ。

 Panic! at the Discoのトラック、"Emperors New Clothes"です。アメリカのロックバンドですが、バンド名はイギリスのロックバンド、The Smithの曲から引用したということでイギリスと縁がある……といえなくもないかも。

24、25話目サブタイトル

24.Enemy Approaching(1)
25.Enemy Approaching(2)

 Toby Foxによって開発されたゲームUndertaleより"Enemy Approaching"。そのままの意味で、敵と接触……つまり、ジェームズが探りを入れてるシーンから始まるのですが、2話目でダンブルドアが呼び出しを受けていたこともまた敵からの接触だった、みたいな意味を込めています。

 あんまりサブカルチャーからの引用はやらないと決めてて、例外的に使ったんですけど……イギリスのゲームだと勘違いしてたんですよね。やらかした。

 25話文中

偉大なる建築家にしてデザイナーとして羽ばたいたレイブンクロー生、カルロスに頼み込んでホグワーツにもつけてもらいたいぐらいなんじゃが、

 こんな一行で察するのは不可能なんですが、どこから引用したかというと建築→Build→Build An Arkということで、スピリチュアル・ジャズバンドのBuild An Arkのプロデューサー、Carlos Ninoからいただいてます。


26話目サブタイトル、および文中

26.Smells Like a Beer
ナイン・オクロック! よく覚えている。最後までうちのビールを扱い続けてくれた。店内にアップライトピアノが置かれていて、少し薄暗い店内で音楽がいつも流れていた。
拡声装置(マイクロフォン)からはいつも爽やかなビールの香りを感じ取ることができた。

 アメリカのシンガーソングライター、Billy JoelPiano Manより。

 そのままですね。名曲ですしわかりやすい。ビール醸造所(ブルワリー)の話なので、歌詞にビールが含まれているものから探しました。"Michrophone Smells Like a Beer"も"It's nine o'clock"も歌詞中のフレーズです。

26話目モブ闇の物品

「これは黄金纏(ゴールドラップ)という名のナイフだ。まあ、性質上……闇の物品と言えるかな。抵抗があるかな?」

 本当に小さい小さいネタなんですが、スウェーデンのジャズピアノトリオEsbjörn Svensson Trioの"Goldwrap"を使ってます。なんか申し訳ない使い方だ……

27話目サブタイトル

27.ラン・アンド・ガン

 日本のヒップホップMC、サイプレス上野より"RUN AND GUN"。そのまんま走って撃ってるシーンだから使ってます。

28、29話目サブタイトル

28.蛇・ダーティソウル(1)
29.蛇・ダーティソウル(2)

 アメリカのロックバンド、Twenty One Pilotsの"Heavydritysoul"より。いろいろタイトル迷った挙げ句ダジャレに逃げてる。いや、ダジャレじゃなくてへうげものリスペクトってことで……

へうげものサブタイトルの例

画像1

30、31話サブタイトル

30.Manoeuvres in the Dark(1)
31.Manoeuvres in the Dark(2)

 イギリスのシンセポップデュオ、Orchestral Manoeuvres in the Darkからいただいてます。直訳したら「暗闇への操縦」とかになるのかな。真っ暗闇の下水道の箒で突っ込むのそのままです。

32話サブタイトル

32.夜を使いはたして

 日本のトラックメーカー、STUTSにヒップホップMCのPUNPEEがフィーチャリングの最強の組み合わせによる名曲"夜を使いはたして"です。1章とはいえ物語の締めくくりに向かう曲といえばこれしかない。(とはいえもう一話残っていますし、このアルバムも同じかそれ以上に大好きなKMCの"Rock the Bells"が残っています)


33話サブタイトル

33.The Beginning and the End

 ラスト! そのまま「始まりと終わり」ですね。次の章への布石をばらまきつつ、締めの回です。いろいろな回収のために詰め込みすぎたせいか結構長くなったかも。

 これはイングランド出身のプログレッシブバンド、Anathemaの"The Beginning and the End"より引用。昨年活動停止になったバンドです。残念。


 以上、音楽小ネタ集でした。「ヴォルデモートはいない」、2章もよろしくお願いします。点数もくれ。

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