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ホーバスJAPANパリに向かって針路をセット。

男子バスケ代表は45年ぶりに出場した東京オリンピックからホーバス体制となって約1年経ちました。

目標は来年のワールドカップ2023でアジアで1番の成績を収めて、パリオリンピックの出場権を得ることだとJBAは発表しています。

日本代表はワールドカップ2019、東京オリンピック2020でラマス体制のもと八村、渡邊のNBA選手を擁して国際大会に出場することが叶いました。

しかしながら、まだ1勝をあげることができていません。ここからステップアップして来年のワールドカップ2023で1勝を挙げてパリオリンピック出場に近づけてほしいところです。

8/25、8/30にはワールドカップ2023アジア地区最終予選Window4が行われます。
8/25はイラン(FIBA 23位)と敵地で対戦し、続いて8/30には沖縄でカザフスタン(FIBA 68位)を相手に戦う予定です。日本はFIBA38位です。

日本はワールドカップ2023本戦がフィリピン、インドネシア、日本の共催のため、開催国枠で出場が決定しています。そのため、ワールドカップ本戦を見据えてアジア地区予選は選手のセレクションや戦術浸透をすることができます。

イランはFIBAランクはアジアで1番上位のチームです。パリ出場に向けてワールドカップアジア地区予選でイランと対戦することは本戦でアジア1位となるための試金石となるでしょう。

そんな中、8/13、14日にゼビオアリーナ仙台でそのイランを招いて国際強化試合が行われました。

今回は馬場雄大が東京オリンピック以来の代表参加です。ホーバスHCが構築中のチームがどのようにステップアップしているのか見てみようと思います。

ホーバスHCの目指すバスケとは(6月の会見)

6/7にJBAは代表チームの強化方針の発表をしています。そこでホーバスHCが会見でプレゼンした内容が今回のイラン戦でも表現されていました。

この時話された強化方針は以下の通りでした。

ペイントのシュート確率が高いのでそこから打つ。
できなければ3P。男子もこのスタイルでやる。

つまり、スペーシングをして、速さを活かしてペイントアタックをする。フィニッシュできなければキックアウトして3Pを狙う。東京オリンピックで銀メダルを取った女子のスタイルを取り入れるスモールボールと言われるバスケットです。

日本の速さを活かす戦術としてホーバスHCが挙げていたのは、

カッティング、バックドアカット、オンボールスリップ、トランジション、ピック&ロール、スポットショットです。

そのためには、各自の役割を知る、そしてチームメイトの役割を知ることが必要だと話します。 ペネトレイトする人、スポットショットを打つ人、スクリーナー、バックドアカットを狙う動きなどそれぞれが自覚してチームメイトの動きを理解することでチームプレーが成り立っていくこという事です。

課題として挙げていたのは、

・3Pシュートの確率を上げたい。3Pシューターを探している。

・ディフェンスリバウンドがまだまだ足りない。大きい選手を探している。

・ターンオーバーをもっと取りたい。そして早いペースに持っていきたい。

こうした方針を掲げていました。今回のイラン戦ではこうした課題をクリアしてホーバスHCの思う方向が見えてきたと言えるのではないでしょうか。

イラン戦第1ゲームで見えたこと

第1ゲームは82-77のスコアで日本が勝利を収めました。

このゲームをペイントアタック、3Pシュート、ディフェンス、リバウンドで分けて見ます。

ペイントアタックでは富樫、河村、馬場が担っていました。馬場のペイントでのフィニッシュスキルの高さ、アシスト能力は19点4アシストで証明されました。富樫はスピードで切り裂き、ペイントアタックと共に要所で積極的に確率の高い3Pを打つので相手ディフェンスは嫌がっていました。そしてもっとイランを嫌がらせたのは河村の速さとパスセンスでしょう。10分のプレータイムで6アシストは驚異です。

スポットシューターとしてハマったのは須田です。
3Pを6/7で沈めてチームハイ20点。トップ、コーナー、ウィングでパスが捌かれるとしっかり沈めました。後半イランのペリメーターシュートの確率が上がって追いつかれた際に引き離した長距離砲は日本には必要です。また、井上の2本の3P成功はイランのディフェンスをストレッチするのに効果的でした。

ディフェンスではタイムシェアをしながら動きまわり、常に相手との間を詰めて身体をぶつけてプレッシャーをかけていました。スイッチさせてミスマッチを狙うイランに対しても素早くローテーションできていたのでリバウンド以外はよく守れていました。ターンオーバーは17個、ファストブレイクからの得点も11点とホーバスHCの狙っているディフェンスはできていたと思います。

一方で課題が残るのはリバウンドです。
日本のリバウンド29本に対してイランは36本です。
しかし、日本はオフェンスリバウンドが14本(イラン12本)とれておりオフェンスリバウンド率も48%あったことは好材料でした。

イラン戦第2ゲームで見えたこと

翌日の第2ゲームは日本にとって良い試合でした。スコアは80-58で日本が格上イランに22点差で勝利しました。

この日もペイントアタックで存在感を見せたのは富樫と河村です。この2人のアジリティは大型の選手はもちろんジャムシディやヤクチャリなどイランのエース選手もついていけません。富樫がアシスト6、河村は5本です。河村は3Pも1本決めました。今後河村がサイズを克服して世界に通用していくためには3Pを武器にすれば素晴らしい選手になると思いますし、若いので可能性が高いと思います。
さらにペネレイトが良かったのは馬場に加えて比江島でした。馬場はチームハイ21点、比江島は3P2/3を含む12点でした。

この日の3Pシュートは12/40(30%)でよくありませんでした。スポットシューターの須田、西田が0本です。マークされていたにせよ、好不調の差が大きいです。代わりに富樫4/7、井上2/7、馬場2/5、比江島2/3と、どこからでも3Pが狙えるのはホーバスHCの目指すところではあります。

この日のディフェンスは第1ゲームよりもっと素晴らしく、アジア1位のイランを58点に抑えてイランの良いところを出させませんでした。富樫、河村がスティール3本、馬場も2本。河村のスティールから馬場のボーズハンドダンクと馬場のスティールからのワンハンドダンクで会場は大盛り上がりでした。ターンオーバーはイランから23本誘発しています。

しかし、リバウンドは前日よりさらに取れていません。日本28本に対してイランは41本です。このシリーズはイランのエースビッグマンのハダディが来ていないのでアウェイで対戦するワールドカップ予選ではさらなる苦境が想像できます。せっかくディフェンスで23本ターンオーバー誘ってもリバウンドを取られてしまうとポゼッションは同等になってしまいます。リバウンドでこの日のチームハイが172センチの河村の5個であったことからもリバウンドの意識をチーム全員が持つことが必要であったと考えます。

パリに向けて前進するAKATSUKI JAPAN

イランとの国際強化試合の翌々日、8/25、8/30のワールドカップ2023アジア地区予選Window4の予備登録メンバーが発表されました。

久しぶりにニック・ファジーカスが選出され渡邊雄太、馬場雄大も名を連ねています。比江島、張本天傑とオリンピック経験メンバーも呼ばれて、さらに河村、吉井、井上などのフレッシュなメンバーはホーバスJAPANに定着し始めています。

この2戦でホーバスHCの激しいディフェンスから早い展開のペイントアタックと3Pシュートのバスケットをする。というはっきりとしたビジョンが提示されプレーで表現されました。方向性は明確に示されました。

ワールドカップ2023アジア地区予選は日本は1stラウンドでグループBに所属してオーストラリア、中国、チャイニーズタイペイと戦いオーストラリア、中国に2敗づつして2勝4敗です。8/25からの2ndラウンドではイランの他オーストラリア、中国、カザフスタン、バーレーンと戦います。

この強豪との本気の対戦の中でホーバスJAPANがさらに成長して来年8月のワールドカップ本戦で1勝以上をもぎ取ってパリへの道乗りを切り拓いてもらいたいと切に願っています。

がんばれ!AKATSUKI JAPAN

photos by kii
写真はkiiさんにご提供いただいています。

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