ファウルで勝ち切った価値ある1勝。広島ドラゴンフライズ戦
尊い、尊い。でも泥くさい勝利でした。
ゲームから少し時間が経ってしまいましたが、感動の気持ちを残しておきたいのでブログに書きます。
1/22の第19節第2ゲーム、アウェイ広島戦のアルバルクはまさに満身創痍。ケガ人続出でどうするんだ状態です。
大貴がヘルニアでインジュアリー入り。
笹倉はインジュアリー明けですが、コンデション調整で帯同なし。
コブスも足首のケガでインジュアリー入り。
そして当日の日曜日、ただでさえPGがいないのにゲーム1でPGとしての時間帯もあった小酒部がウォームアップしていないじゃないですか。ゲーム1でどこか痛めたらしい。
ええっ、今日どうするんだ?
そんな始まりでした。
広島ドラゴンフライズの脅威
対する広島は強豪ひしめく西地区1位。
平均得点84点(4位)FG%47.7%(2位)3P%35.6%(3位)と1/27現在オフォンススタッツがめちゃくちゃ良いチームです。
ゲーム1でもフラッシュ寺嶋くんや中村拓人くんの速さにはアルバルクのガード陣はついて行けていませんでした。
おまけにオフェンスお化けエバンスが今節から復帰しているではないですか。
外は川崎時代からやられている辻がいます。
広島に走られて、外も決められてハイスコアゲームにでもなってしまったらこの日のアルバルクは到底太刀打ちできるはずもなかったのです。
決して広島に3Pとファストブレイクを許してはいけない。
バックコート陣が手薄のアルバルクのストロングポイントはインサイドのサイズ、ロシター、カークです。ここからコツコツ、ペイントでポイントを取ってオフェンスリバウンドを奪ってポゼッションを稼ぐしかなかった。
それしか、なかったのです。
矛盾するミッション
広島に走られてはならない。スリーを決められてはならない。
でも強みのオフォンスリバウンドは取らなきゃいけない。
ファストブレイクやトランジションを止めるにはハリーバックしないと止まりません。
しかし、オフェンスリバウンドを取るためにゴール下でビッグマン2人が粘ると、どうしても戻りが遅れます。
リングに跳ねたボールが広島に取られたら、寺嶋は速い。メイヨもブラックシアもさらにエバンスも、広島はビッグマンが全員走れるため、数的優位を取られてファストブレイクを許すことになります。
実際にゲーム1では13点のFBポイントを許しています。
ハリーバックとオフェンスリバウンド。
勝つためにはその対立する命題をクリアしなければならなかったのです。
さらに誰がゲームコントロールするんだ?問題。
この日アルバルクのPGは藤永と金沢から1ヶ月のレンタル移籍のボヤルキム、そして特別指定の宇都宮くんしかいません。
宇都宮くんとボヤルキムはまだ合流して間もなく、ボヤルキムに至ってはチーム練習は1回しかしていないらしい、ぶっつけ状態です。
毎回違うセットオフェンスを見せてくれるアドHCのバスケに、ぶっつけ本番でフィットするわけありません。
フィットするわけなかったんです。
しかし、
ウクライナからの救世主はやってみせました。
ウクライナ代表の実力者、ボヤルキム
広島のファストブレイク、トランジションをいかに止めたか?
薄くなったPGをどうしたのか?
PGについてはきっと策なんてものはなかったのだと思います。「なるようになった?」のじゃないか。
藤永とボヤルキムは2人でPGをタイムシェアしていました。
ボヤルキムは2ゲーム目でほぼチームにフィットしてディフェンスローテーションもオフェンスの展開も不都合なくこなすばかりでなく、ゲーム1では3P3本、9得点。この日は、3P2本を含む11得点とインパクトを残しました。
よく、こんな凄い選手が日本のB3にいたなと、びっくりするとともに、リーグ戦の大事な時期にチームのエースガードの移籍を了解してくれた金沢武士団に感謝するばかりです。
アルバルクに衝撃が走ったのは第4クォーター残り3分23秒です。頼みのPG、藤永までエバンスとの衝突でケガをしてバックヤードに下がってしまいました。
そんな危機的状況の中、アルバルクが最後まで戦えたのは救世主ボヤルキムのおかげでした。
ボヤルキム選手の祖国ウクライナは今戦争で大変な状況ですが、日本でバスケができることに対して彼がどう感じているのか?是非聞きたいな、と思います。
某有名ライターさんがチャンスがあれば聞いていただけるそうなので記事を楽しみにしたいと思います。
ファウルでゲームをコントロール
この日は、トランジションディフェンスでの遅れは
ファウルを使って止めていました。
それでも寺嶋に痛い場面でスティールから速攻されたりしていましたが、この日広島のFBポイントは9点に抑えています。
さらに3クォーター終わりでスコアは47-46と1点差ですが、超のつくほどのロースコアゲームに持って行けていました。
ケガ人続出でスクランブル状態のアルバルクは相手のトランジションを止めるためにファウルが嵩んでいます。
4クォーター残り3分で藤永がケガでコートを離れる時には4ファウルが吉井、サイズ、カークの3 人です。
速攻の危機をファウルで逃れてきたツケが溜まっています。
そして第4クォーター残り2分41秒、エバンスがセットしたスクリーンにぶつかったボヤルキムが笛を吹かれて4つ目。すでにアルバルクも広島もボーナススローです。
続けて残り2分6秒にはザックがエバンスにファウルしてザックも4つ目です。
オンコートではザック、カーク、ボヤルキムの3人がリーチでした。
ゲームはエバンスのフリースローが決まって62-61。1点差でアルバルクのリードです。
その後アルバルクは安藤とボヤルキムのフリースローで1点ずつ2点を加えて64-61とリードを広げます。
広島の24秒オーバータイム、ロシターのラインクロスと其々のターンオーバーを経て、
残り13秒で3点差、広島のポゼッション。
ミリングHCはタイムアウトを要求します。
広島はコートに朝山を入れて寺嶋、辻、エバンスでハーフコートから13秒使ったオフェンスで3Pを沈めてオーバータイムに持ち込む算段です。
広島はハーフコートから寺嶋がブラックシアに入れて寺嶋に返す。
寺嶋はトップでドリブルして左に流れてエバンスがピックに行きます。安藤が寺嶋について行き、サイズはショウに出て寺嶋にダブルでつきました。
空いたエバンスがトップでボールを要求します。
寺嶋からボールが出たところ、
ザックがエバンスに飛び込みファウルをして残り4.7秒、時間を刻みました。
ナイスファウルです!
ザックはファウルアウトですがベンチで全員のタッチを受けていました。
しかもエバンスのフリースローは2本外れ、リバウンドから溢れたボールはアルバルクのポゼッションとなりました。
残り1.4秒。
アルバルクはタイムアウトを残していました。
そういうところ、アドHCは策士です。
アルバルクのハーフコートからのボールインに広島は最後ファウルゲームに出ましたが着実にフリースローで加点したアルバルクが66-63で連勝しました。
私の中では今シーズンベストゲームです。
華麗なバスケット戦術の勝利ではありませんが、満身創痍の中、泥臭くもぎ取った価値ある1勝です。
今後アルバルクはメンバーが揃わない厳しいゲームが続きます。
「言い訳をするのは簡単」それでも「言い訳をしないで戦い抜いた」選手、スタッフをブースターとして誇りに思いますし、応援にも力が入ります。
最後にアドHCの素晴らしいコメントを見てほしい。
photos by kii
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