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「競馬パラレルワールド」なお話

後悔はあるけど、未練はない。

僕はよく「オッズは半分でいいから、4コーナー時点で馬券を買わせてくれ!!!」と言う。そこから馬券が買えれば、さすがの僕でも当てられる気がするからこその発言であって、例えば昨日のフェブラリーステークスなら、レモンポップとレッドルゼルのワイドに5万円とかいってるはず。でもメイショウハリオは買えないだろうな。

2月19日(日)、JRAの福永祐一ジョッキーが国内最終騎乗を終えた。来週はサウジアラビアで騎乗するので、実質今週でJRAジョッキーを引退となる。福永ジョッキーのインタビューで印象的だったのが、「後悔はあるけど、未練はない」というコメント。

やっぱり後悔はあるんだ。思わず「もしやり直せるならどのレース?」と聞きたくなった。

競馬は、「もしあの時~だったら」と思うことが多い。もちろん競馬以外にも当てはまるけど、レースと馬券という因果関係の強いアイコンで作られている世界なので、その気持ちが一層強いのだ。俗に言うタラレバ・パラレルワールドだが、競馬はそこにこそロマンがあると個人的には思っている。

やり直したいレース

僕にとっては2016年の宝塚記念がそのレースなのだが、別に馬券的にやり直したいわけではない。マリアライトの勝利は素晴らしいものだったし、あのキタサンブラックを破ったのだから後世に語り継がれるべきレースだと思う。

やり直したいのは2着のドゥラメンテのことだ。ドゥラメンテは、最後の直線で猛然と追い込んできて2着となるものの、ゴール直後に馬場の悪いところに脚をとられバランスを崩す。結局それで脚を痛めてしまい、現役を退いた。

もしドゥラメンテが故障していなかったら、2016年の秋にどんなレースをしたのか。ジャパンカップ→有馬記念というローテで引退したのかなぁとか考えてしまうし、翌年はドバイに再度遠征して、今よりさらに名馬として扱われたのかなと考えてしまう。そして現実より長く生きることができたのかなと。

同時に、存在するはずの産駒がいなくなるのも事実で、なんとタイトルホルダーがいない世界線が出来上がってしまう。2021年の菊花賞、2022年の天皇賞春、宝塚記念の勝ち馬が変わることになる。これもこれで大問題な気がしてくる。

じゃあどっちがいいの?と聞かれると、正直どっちも嫌だと答えたい。事実をより具体的に曲げようとすると、呼応するように別の後悔と恐怖が自分を襲う。たとえ4コーナーからだとしても、やり直さないがいい。「よし、これは脳内にとどめておこう」という気持ちになるから、不思議なものだ。

考えれば考えるほど、事実は事実として受け止めるのが、一番つらく、一番つらくないのかもしれないなと思う。

結局のところ
「後悔はあるけど、未練はない。」
と整理するのが正しいのかもしれない。

皆さんは「やり直したいレース」がありますか?
ぜひ教えてください。

#エッセイ #競馬 #福永祐一





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