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行動経済学の使い方【本のレビュー】



伝統的経済学では合理的な判断ができる人を前提に理論を構築している。
きゃべつを買いたいときに近隣の店のきゃべつの値段を比べて、一番安い店のものを買う。こういう判断を常にする人間だ。
しかし、実際には毎日すべての買い物でそんなことをする人間はいない。
値段の比較をせず一番家の近くの店に置いてあるきゃべつを買う人も多いだろう。
行動経済学ではこのように合理的ではない人間を対象としている。人間の意思決定の癖を4つにまとめた。
・プロスペクト理論
・現在バイアス
・社会的選好
・ヒューリスティックス

貯蓄をしたいができない、仕事の納期がいつもギリギリ、ダイエットを計画通りに実行できない。
こうした人間の特性を行動経済学では明らかにしている。
これを読めばあなたの行動、意思決定をよりよいものにできる。

プロスペクト理論

人は選択するときに期待値を計算して合理的に判断することはない。
80%、90%という高い確率を低いと感じたり、10%や20%の確率を高いと感じたりすることもある。
また損失を回避する傾向もある。1万円得たときの喜びを10とすると、1万円を失った時の悲しみは-10になると考えられるが、実際には-20のように損失の悲しみを大きく捉えてしまう。
例えば株式。購入した株の株価が上昇したときに利益を確定するのは簡単にできるが、下がったときになかなか損切りできない行動である。

現在バイアス

ダイエットの計画を立てたの人が「やっぱりダイエットは明日からにしよう」とケーキを食べる。これを行動経済学では現在の楽しみを優先し、計画を先延ばしすると説明する。人間は近い未来のものをより魅力的に感じてしまう。
先延ばししないためにコミットメントを活用することができる。
ダイエットしたいのであれば、お菓子を家に買い置きしない。

社会的選好

伝統的経済学では人は自分の利得だけを考えて行動すると想定するが、行動経済学では自分の利得に加えて他者の利得にも関心を示す。これを社会的選好と呼ぶ。
1万円をAさんとBさんで分け合う。Aさんが条件を提示し、それをBさんが受け入れたら2人ともお金を受け取れるという。伝統的経済学ではAさんが9,999円、Bさんが1円という配分を提示されてもBさんは受け入れるという考えだ。拒否して1円ももらえないよりも受け入れた方が得だからだ。
しかし、この条件で実験したところ、Bさんの立場になった多くの人は自分の配分が3割未満になると拒否している。自分の利得が他者よりも低いと満足度が下がるということである。

ヒューリスティックス

伝統的経済学では人間は情報を活用して合理的な推論に基づいて意思決定をすると考えられてきた。しかし、実際に人間は情報を集められなかったり、正しく推論できなかったりして合理的な意思決定ができない。そのため直感的な意思決定をしてしまう。これをヒューリスティックスと呼ぶ。
商品の数が多すぎるとどれが一番いいのか判断できなくなる
上・中・下の3種類の商品がある場合、真ん中を選ぶ
このように内容、価格を吟味して商品を合理的に選ばず、直感で選ぶ。

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