精密採点DX-Gの裏加点について

はじめに

こんにちは。こじがみさまです。
以前からよく見かけていた裏加点についての話を少しだけ書いてみようと思います。
こちらの採点については本業ではないので、Aiの記事ほどしっかりした内容ではないと思いますが、気が向いたらぜひご一読くださいませ。


集計アプリにおける裏加点値の表示

裏加点についての話題となるといろいろな切り口がありそうですが、今回は集計アプリ上で表示されている値についてのお話がほとんどになると思います。
一旦裏加点とは何のことかだけおさらいします。

「裏加点」とは?

カラオケ採点、とりわけ精密採点DX-Gに興味のある方なら誰しも一度は聞いたことのあるワードだと思います。
精密採点DX-Gの基本的な仕様で、ひとつ前の「精密採点DX」と(ほぼ)同基準で算出された値(素点)が表示された後、ボーナス点が加算される演出が入って最終的な総合得点が表示されます。正確な記述をしようとするとボーナス点および総合得点については少々厄介なので、以降では一旦素点についてのみ言及します。
では素点はどのように決まっているのでしょうか。超ざっくりとしたイメージとしては、「リザルト画面に五角形のチャートの形で表示されている5つの値から算出された点数に、声質に応じて補正がかかって素点が決まる。」という感じです。内部プログラムを見たことがない以上おそらく正確な記述ではないので、あくまでもイメージとして認識してください。つまり、チャートの埋まり具合で大まかに点数が決まるだけでなく、チャートには現れないまた別の補正要因があるわけです。一般にはこの補正値のことを「裏加点」と呼んでいます。
これも内部のプログラムを見てみないと正確なことはわかりませんが、多くの人が「倍音が多く入っているほど加点されやすい」と言っており、筆者自身もその認識で概ね間違いではないと思います。実際にイコライザーを使って高周波域を強めると同じようなチャートでも点数が高めに出ます。ピッチシフターで12半音上の音をミックスしても同様です。
以上をまとめると、「倍音の入り方によって点数が変動するが、リザルト画面に直接表示されているわけではない隠し項目のようなものである。」ということになります。以上が裏加点についての基本的な説明となります。

集計アプリを使った裏加点の確認

では、裏加点がどの程度効いているいるのかを判断する術はないのでしょうか。いいえそんなことはありません。先ほど述べたように、「同じようなチャート同士で比較して点数が高めなら加点が強めに効いている」というような判断をすることができます。どんどんデータを集めていけばだんだん正確な差が見えてくるようになりそうですね。詳細は存じ上げませんが実際に過去にこのようなデータ収集をした人がいるようで、今ではそれをもとにして自動で裏加点を算出してくれるアプリがあります。「Octaria」(旧「集計分析」)というアプリがそれに当たります。

裏加点を知れる範囲には限界がある

しかし、あくまでもアプリ上の値は「素点とチャート5値から差し引きして得られた値」です。内部の裏加点の値を直接取得しているわけではないので、当然正確な値にはなりません。これはアプリの問題ではなく、我々利用者側に確認可能な範囲はここまでだという話です。

(追記)
以下に書かれた内容について、「憶測でものを語る前に一回開発者と話すべきでは?」という趣旨のご指摘を頂き、仰る通りだと思い問い合わせてみました。結果としては当初から書いてある通り、「取得元のデータに裏加点の値はないので、アプリ側で推測で計算させて表示している仕組みです」とのことでした。また、他のサイトでも用いられていた計算方法を使っているものの、なぜ中途半端なところに基準値が設けられているのかについては、信憑性のある憶測は立つものの正確なことまではわからないようです(また不正確な記述が増えてしまうのもよくないと思うのでここでは触れないでおきます)。
(追記終わり)

以下にいくつか妥協しないといけない点を挙げます。

①絶対的な値はわからない
これは自分の理解不足かもしれませんが、あくまである程度正確にわかるのは複数のリザルトを比較したときの裏加点の付き方の「差」でしかないと思われます。絶対的な値を求めるには裏加点0の基準がどこにあるかを特定する必要があり、(少なくとも自分の知の及ぶ範囲では)同採点内だけでこれを特定することは不可能だからです。
理系の人向けに例えると、どこかに電位0の点を定義しないと電位の値を求められないですよね。電位「差」である電圧なら2点を比較すればわかります。ポテンシャルエネルギーで考えても同様だと思います。
話を戻すと、精密採点における裏加点の絶対的な値を知ることはできず、あくまでも「前回よりも裏加点が改善された」「今日はいつもよりも裏加点が入りにくいな」などといった「比較」にしか用いることはできないのではないかと思います。
一応MIDIデータによる検証で倍音成分を一切含まない音声を入力し続ければゼロ点を求められるかもしれませんが、これもあくまで「含まれている倍音の量がゼロのとき裏加点もゼロになるような関係になっていて、倍音以外のファクタはない」ことが前提になってしまうと思います。

②チャート5値の小数部分の影響が一切考慮されていない
リザルト画面に表示されるのはあくまでもチャート5値の整数部分のみです。ランバトで音程が小数第三位まで表示されることからも想像できるように実際には小数部分が存在すると考えられます。総合得点が例外を除き有効数字5桁で表示される以上、引数も5桁以上はあるはずだと考えられるので、少なくとも整数値で算出されているわけではないと言っていいでしょう。
そうすると、あくまでもアプリ上の値は「素点とチャート5値から差し引きして得られた値」である以上、小数部分が.001なのか.999なのかで話が変わってきてしまいます。これが5つ分重なると結構誤差が膨らんでしまうかもしれません。
(追記)解析勢からの情報により各チャート値にも小数第三位まで存在することが明らかになりました。そのため②で仮説としていたものは正しいと言えるでしょう。(追記終わり)

③素点99.901~99.999点の場合に100.000点に補正される
該当するリザルトは多くはないと思いますが、一応この仕様によっても最大で約0.1点ずれてしまいます。

④チャート上限よりも素点上限の方が圧倒的に到達が早い
これが誤解を生む一番の要因と言っていいでしょう。当然ですがソテカンしてしまうとそれ以上素点は上がりません。そのため、仮に計算上チャートから算出される値に裏加点を足したら100を超えてしまうことがあったとしても、実際の素点は100になってしまいます。このはみ出した分のズレはアプリ上でどのように現れるかというと、裏加点からその分が差し引かれてしまいます。当たり前といえば当たり前ですが。ソテカンした時に下2桁が15か65で固定になるのはそのためです。

ここまで表示値が実際とずれてしまう要因についていくつか書きましたが、ちんぷんかんぷんな人もいると思うので、具体的な値を用いて説明します。
まず、アプリ上の値はチャート計500かつ素点100.000点の場合に裏加点が0.115点であるような基準が設定されています。これが①に書いた「基準がどこにあるか」です。
次に、音程は95以上だと減点なし、94だと0.15点減点、93だと0.30点減点、92だと0.45点減点、91だと0.75点減点…と値が割り振られています。
安定性は100だと減点なし、99だと0.05点減点、98だと0.10点減点、97だと0.20点減点、96だと0.25点減点…です。
表現力は99以上だと減点なし、98だと0.05点減点、97だと0.10点減点、96だと0.20点減点、95だと0.30点減点…です。
リズムは99以上だと減点なし、98だと0.05点減点、97だと0.10点減点、96だと0.15点減点、95だと0.20点減点…です。
ビブラート&ロングトーンは100だと減点なし、99だと0.15点減点、98だと0.20点減点、97だと0.25点減点、96だと0.30点減点…です。
では例えば、音程94、安定性99、表現力98、リズム98、ビブラート&ロングトーン98で素点99.844点のリザルトがあったとしましょう。チャート5値で減点がない場合、100-0.115を計算すれば裏加点ゼロのときに素点99.885点というのが基準だとわかります。上のリザルトだと、音程で0.15点、安定性で0.05点、表現力で0.05点、リズムで0.05点、ビブラート&ロングトーンで0.20点の減点があることになるため、仮に裏加点がゼロならば
99.885-(0.15+0.05+0.05+0.05+0.20)=99.385
なので素点は99.385点になるはずです。しかし、実際の素点は99.844点なので、99.844-99.385を計算して0.459点の裏加点が入っているはずだ、と推定できます。これがアプリ内で表示されている値です。

おわり

一旦ここまでで公開します。

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