ハッピーファンアート音MADの作り方!
音MAD Advent Calender 19日目の記事です。
ハッピーファンアート音MADを、作りたいよ~~~~!!!!!!
この記事は次の記事と合わせて読むとより理解が深まると思いますが、この記事だけでも読めます。
1. はじめに
ハッピーファンアート音MADとは……?
これは私が勝手に名付けました。
実際に例を見てもらった方が早いと思います。
キャラクターやコンテンツの魅力がその作品を知らない人にも伝わるような音MADが並んでいると思います。
この記事では、ファンアート音MADとは、キャラクターや作品、コンテンツの魅力を伝えるための音MADのことをいい、ハッピーファンアート音MADとは、その中でも楽しく元気な雰囲気のものを言うことにします。私が勝手に名付けたものです。
熱量と動画内での感情の幅、自由な編集(ストイックでなさ)が特徴なのでは? と考察しています。
概要
この記事では、なぜ上で挙げたような動画がコンテンツの魅力をよく表現しているのかを明らかにし、ハッピーファンアート音MADを作るうえで欠かせないことをまとめることを目標にしています。
ただ音MADの良し悪しは主観である以上、この記事も主観を元にして書かれています。あくまで筆者の一意見として捉えてください。
この記事を書いた理由は複数あります。
前書いた記事から自分の価値観がアップデートされたため
良いファンアート音MADが増えてほしい!見たい!
音MADの、コンセプトや構成といった、実際に動画として落とし込むより前の段階の話があまりされていないように感じたため
今後音MADが一つの表現形態として普及していったとき、こういった方向性の動画が目標とされると推測されるため
いわゆる「音MAD界隈」が全体的に向かっている方向が、音MADにおける新しい表現になっている気がして、ファンアート的な音MADにあまり目を向けられていないように感じる
表現形態で繋がっている界隈だから、そうなるのは自然
そうなるとファンアート音MADの主役は音MAD界隈よりはそのコンテンツのファンになるのかも
2. この記事の基本となる内容
一番大切なこと
ファンアート音MADを作るうえで一番大切なことは
いかにしてキャラクター/コンテンツの魅力を最大限伝えるか
だと思っています。
しかし、人間が一度に受け取れる情報量には限界があります。
そもそも音MADという表現形態は情報量が多くなりがちです。というのも、
そもそも完成されている音楽に、
人の声や効果音を追加し、
台詞まで追加し、
画面にキャラクターや文字を映したりする
わけですから、情報量が多くなって当然です。
特にハッピーファンアート音MADの場合、そもそも情報量の多さが特徴の一つです。
人間が一度に受け取れる情報量はそんなに多くないと思っています。
おそらく台詞の意味を初見でちゃんと咀嚼できる人はほぼいないでしょう。
その限られた情報量の中でいかにキャラクターの魅力を最大限伝えるか、今から書いていこうと思います。
直感的情報と論理的情報
音MAD(に限らないと思いますが)から伝わる情報には直感↔論理という軸があると考えています。
言いかえると右脳↔左脳、非言語↔言語、でしょうか。
直感的情報とは、いろいろな音が聞こえて気持ちがいいとか、リズムが良いとか、映像の刺激とか、言葉で表しにくいような、感覚的に味わえる情報を指します。
一方で論理的情報とは、キャラクター/コンテンツの持つ文脈だったり、台詞の内容だったり、動画の持つギミックだったり、言語で表せる情報を指します。
それぞれの情報には異なる特徴があり、どちらもファンアート音MADを作るうえで大事だと考えています。
直感的情報はたくさん受け取られます。割と突き詰めた分だけ直感的な動画の印象をより良くできます。音MADの肉付けの部分であり、基本的にハッピーファンアート音MADの情報はこれで出来ていると感じます。
一方で論理的情報は一度にちょっとしか伝えられないものの、動画のインパクトを残す、動画を覚えてもらうために欠かせないものだと思います。重要な文脈や台詞を適切に使うことで、「ちゃんとこの動画を作ってる人はわかってるな」感が出ます。音MADのコアの部分になることも多いです。
ハッピーファンアート音MADの場合は、直感的情報と論理的情報の比率を8:2、ひいては9:1くらいにするのがよいのかもと考えています。
キャラクター/コンテンツを引き立てるには?
キャラクター/コンテンツを引き立てるために大事なのは、キャラクター/コンテンツの引き立たせたい魅力を、きちんと曲の雰囲気、台詞の内容、映像の雰囲気などで表現することです。
表現の要素はベクトルみたいなものだと思っています。キャラクター/コンテンツのもつベクトル、様々な映像の技法のもつベクトルなど、様々な方向の向きのベクトルがあります。
そこで、曲の雰囲気、台詞の内容、映像の雰囲気などのベクトルの向きをできるだけそろえることによって大きいベクトルを作ることが大切だと考えています。
言いかえると、音声や映像の表現はキャラクター/コンテンツに沿ったものの方が良いということです。
さて、今まで、伝わる情報のほとんどは直感的情報だと書いてきました。直感的情報は、曲の雰囲気、台詞のテンション、映像の雰囲気から伝わってくるものです。
つまり雰囲気さえ合っていれば意外と何でもよいということです。これは音MADだから許されるもの、音MADらしさの一つだと思います。私は今まで情報を全然増やせないでいて、正直今も悩んでいるのですが、これに至った結果、少しやりやすくなった気がします。
もちろん、雰囲気があってなかったらノイズになってしまうのでそこは注意です。
3. 直感的情報の伝え方
雰囲気を決める
ファンアート音MADを作るうえで一番最初に行うべきことは、雰囲気を決めることです。
我々が音MADを見た後に一番残る印象は、動画全体の持つ雰囲気だと思います。
例えば、じゃじゃうまーっ!だったらゴールドシップの破天荒で楽しい感じが動画全体を通して伝わってくると思います。
記事の一番上で挙げた例はハッピーな動画中心でしたが、そうでないキャラクター/コンテンツに沿ったファンアート音MADも多くあります。
この動画は少女終末旅行の静かで余白感のある雰囲気が、漫画を使ったモノクロでシンプルな編集によってよく表現されていると思います。
補足:音MADへの向き不向き
ただ、キャラクター/コンテンツにも音MADへの向き不向きがあると思います。というのも、音をリズムに合わせることそのものに面白さ、滑稽さがあると思うからです。
面白い・元気のある・破天荒なキャラクターが作りやすいのかなと思います。
もちろんそうでないキャラクターでも良い音MADがたくさんあります。
展開を決める
上で書いたことは動画全体の話でしたが、時間軸まで含めて考えてみましょう。
テンションがずっと同じだと視聴者が飽きてしまいます。単調であるべき理由があるなら別ですが、特に理由がないならテンションに幅をもたせた方が楽しませる動画になると思います。そもそもこれもハッピーファンアート音MADの特徴かも。
そこで大切なのは、曲の持つ展開を最大限利用することです。
上でも書いたように、曲のそのパートがもつベクトルと、音MADの編集によるベクトルの向きをそろえることが大事です。
例えば典型的なJ-POPの場合、イントロ→Aメロ→Bメロ→サビという流れがあると思います。そこで、
イントロで視聴者を掴む
Aメロで普通の楽しい感じで繋げる
Bメロでちょっと雰囲気を変えてサビに持っていく準備をする
サビで開放する、一気に盛り上げる
という風に曲の展開に合わせて音MADの盛り上がりを作ると、見飽きさせず、さらにキャラクター/コンテンツの魅力の引き立つ音MADになります。
ノイズを減らす
直感的情報は、どちらかというと増やすというよりは純度を高めるといった方が近いかもしれません。
良い音MADを作るには没入感が大事です。
例えばリズム感が微妙だったり、(悪い意味で)変な映像だったりすると、視聴者はそこで引っかかってしまい、没入感が失われてしまいます。
ノイズを減らし気持ちよさを作る作業は非常に地道かつ非常に難しい作業です。正直、僕もうまくできないことがありますし、完璧にできるだけで一流音MAD作者になれます。
例えば「なんとなく初心者感のある映像」も引っかかる要素になってしまいます。それがわかったら苦労しないんですけどね~
4. 論理的情報の伝え方
今まで直感的情報について主に書いていきました。
しかし論理的情報も大事です。
論理的情報は視聴者にはちょっとしか伝わらないと書きました。
論理的情報を最大限伝えるには、いかにわかりやすく伝えるか、いかに視聴者に考えさせずに理解させられるかが大事になります。
連続させる
人間は、同じ性質の情報をまとめて受け取ったほうが理解しやすいです。
視点、場面、感情などが似たものを固めることによって、視聴者はより理解しやすく、より世界に没入するようになります。
ストーリーを作ることも大事だと思います。普通の台詞でも、ストーリーによって名言になったりしますよね。ただ、これを音MADで伝えるのは、かなりの制約になるのでとても難しいです。気持ちよさを大事にしながらいい感じに両立させるのが大事だと思います。
これは上で書いた「展開を作る」ということと関連しています。
直感的情報の力を借りる
例えば元気な映像だったら元気な内容を言っているのだなと推測できますし、暗い映像だったらネガティブな内容を言っているのだなと推測できます。
そういう意味でも、きちんと雰囲気に沿った編集をするのが大事だと思います。
またこの記事は、台詞やシーンの効果音や映像演出による補強について書いています。
強い情報を強い場所に置く
これめちゃくちゃ大事です。
キャラクター/コンテンツの、象徴するような台詞や、一番面白い台詞といったものがあると思います。
それを、サビに入る直前とか、サビの一番最後とか、視聴者が一番注目するような場所に置くことで、最低限一番重要なことを視聴者に伝えられるとともに、一番魅力的な部分を記憶に残させることができます。
視聴者の知識に頼る
音MADは原曲や台詞や音合わせや映像など要素がそもそも多いと書きました。
しかし、既に知っている内容は理解する必要がありません。それを使って理解させる内容を減らすことができます。
ルールを守る
展開にはルールがあります。
例えば、「いいことが起こりそうなフラグ」があると思います。逆境を乗り越えた先とか、力がみなぎってる感じとか、そういうものです。
5. 「期待に応える」ということ
ちょっとまとまりが悪い内容にはなるのですが、大事なことなので書きます。
動画を再生する前や再生中、人間は次の展開を予想しながら見ていると思います。
そこで期待以下のものを出されると悲しくなるので、その期待に応える、もしかしたらその期待を超えることが必要になると思います。
6. 最後に
ここまで書いてきたことは、ある意味で最低限のことです。
これらがある程度できたとき(あるいはできていなくとも)、勝負になるのはアイデアだと思います。
曲とキャラクター/コンテンツの組み合わせ、動画のギミックなどなど…… アイデアはさまざまな場所で必要になってきます。
良いアイデアを思いつくのは難しいですが……。良いアイデアを思いついたとき、それを最大限活かすのに大事なことを今まで書いたつもりです。
みんな、音MADを作ってくれ~~!!!!!