音MADに対する僕の思想


概要

端的に言うと僕の思想です。「視聴者がいいなと思う動画を作るには」という視点で書いています。

これは僕がよく考えていることです。僕個人としては、作るからには見てくれる人の反応があると嬉しいし、どういう動画を作るとウケるかな?と考えるのが楽しくて作っているところがあるので、そういった思想になっています。

この記事を書いた理由は単純に俺の思想をぶつけたかったからです。なかなか僕みたいな思想を見かけることはないのですが、通話しててこういう話をすると割と同意されている気がするので、公開するべきなのかなと思いました。

でも正直、

こんなこと気にせずに動画を作れ!!!

音MADなんて結局無為だし自己満でしかありません。正直みんな僕みたいに考えて音MADをつくってたら息苦しいしやだな~と思います。音MADに「正解」とされるものはあってはいけないと思います。

これから音MADを作っていく人たちが参考にしたりしなかったりすれば幸いです。

コース料理/ポテチ

コース料理みたいな動画と、ポテチみたいな動画があると思います。

コース料理みたいな動画とは、きちんと練られた合作のような、椅子にちゃんと座ってみたくなるような動画を指します。(例:ウマ娘競奏曲)
一方ポテチみたいな動画とは、歯磨き中にスマホで適当に見るような、簡単にオモロを摂取できるような動画を指します。(例:質問来てた!)

どちらの動画も大事です。そしてどちらの動画が得意かは人に依ります。特に、考えずに作れる人が考えると良さが失われる場合があるので、自分の強みを把握するのが大事だと思います。

ここでは、コース料理みたいな動画について書いています。

良い音MADとは?

当たり前ですが答えはありません。それでも僕なりに一つの答えを書いてみます。

曲・素材・編集

「 曲・素材・編集」は音MADを分解する一つの方法だと思います。(もちろん曲と素材が明確に分類できないこともありますが、ここでは厳密な話はしません。)

組み合わせて、引き立たせる

良い音MADは、曲・素材・編集を組み合わせて、今までになかった価値を生むものだと考えています。
そのような方法はいくつかあります。

  • 素材の良いところを引き立たせる

  • 曲と合う台詞や動きを合わせる(合っているということの面白さ)

  • 編集でストーリーを作る

  • などなど……。

例えば1つ目のものについて解説してみましょう。曲について「このリズムがノれる」とか「この歌詞がかっこいい」とか思ったり、素材について「このCMのこの部分がなんかシュール」とか「このキャラのこの動きがかわいい」とか思うことがあると思います。

音MADは、そういった曲や素材の魅力を、様々なところから組み合わせたり編集を加えたりすることで引き立たせる手段なのではないかと考えています。

そこでは相乗効果があるとなお良いです。「Aという曲とBという素材を合わせると単なる足し算を超えた魅力が生まれる」というようなことです。これはなかなか生まれません。多くのアイデアを出し厳選するという作業が必要となります。僕が音MADを作るにあたって一番気にしていることだと思います。

一方で、組み合わせによっては魅力を殺すことがあることに注意してください。編集もそうです。編集すればするほど良いというわけではありません。

さらに、生み出された価値が新規性のあるものだとさらに良いです。今までにない発想で動画を作ったり、もしくは今までなかった技術で動画を作ったりする必要があります。ここでいう新規性は一般的・俯瞰的であるほどなお良いです。具体的に「(ある曲)×(ある素材)という組み合わせがない」みたいな新規性よりは、「こういった性質を持つ素材をこういう風に使ったことはない」といった新規性の方が価値のあるものだと思っています。

僕の思想に近い記事を貼っておきます:

音MADは「手段」という体であってほしい

音MADから一歩離れた視点で物事を見てみましょう。

先ほど音MADは「 曲・素材・編集」に分解されると書きましたが、そもそも音MAD自体が編集の一方法です。あなたが何かアイデアを持ったとして(例えばこのキャラがこういうことしてたら面白そうとか)、それを表現しようと思ったとき、音楽に合わせる必要はないかもしれないし、原曲そのままで映像だけ自分で作ってもいいですし、イラスト、もしくはコラ画像だけでもいいかもしれません。音MAD以外にも様々な表現方法があるわけです。

上で述べた「引き立たせる」ということに照らし合わせれば、「音MAD」という編集方法自体が曲や素材を引き立たせるものであってほしいのです。言いかえると音MADである理由が欲しいわけです。これは個人的な感覚ですが、音MADを作ることが目的化していると割と視聴者に(意識されなくとも)バレる印象です。

一方、「音MADが作りたい!」と思う人は多いと思います。僕もそうです。そのため、僕は「いろいろ思いついたアイデアの中で音MADが適しているものを作る」「音MAD特有の表現がマッチするものを考える」ということをしています。音MADを作ることから始まってもいいけど、表現したいものについて、手段は音MADがベストであってほしいということです。

文脈について・ノルマの話

文脈は、音MADを語るうえで欠かせないものだと思います。

文脈とは、例えば曲や素材の持つストーリー、今までその曲や素材が使われた音MAD、その投稿者が過去に作った動画など、動画に繋がるようなストーリーのことをいいます。

文脈を使うことで、動画そのものが伝える意味を超えた意味を持たせることができます。人間はストーリーがあると感動しがちです。

特に、音MAD特有の文脈が多くあるのは音MADの特徴でしょう。これを読んでいるあなたも「この曲の音MADではこういう編集をする」(いわゆるテンプレ)とか「この動画は過去にあったこの動画を踏まえている」とかいったものがたくさんあることにお気づきかと思います。付随して、音MADで使われる曲や素材はものすごく音MAD独特です。音MADでしか聞いたことのない曲とか見たことのない素材がたくさんあると思います。

とはいえ、文脈は「伝えなくても伝えることができる」強い武器であるために、サボるためにも使えてしまいます。文脈は使われすぎると陳腐化します。「文脈を使うことが視聴者の心を動かすことに機能しているか?」を常に考えるべきだと思います。

音MADに入り浸かっていると音MAD特有のことを当然のことだと思ってしまうことに注意してください。例えば人力ボカロとかみんな当然のように使ってますけど音MADの文脈ですよ! 人力ボカロがきちんと機能しているかを考えるべきです。

関連するキーワードとしてノルマがあります。例えばラグトレインの手描き・人力ボカロノルマは有名です。ノルマを守るメリットは視聴者に安心感を与えることだったり、今までのノルマを守った動画まで含めて楽しめることだったりします。しかし繰り返しますが、僕は素材を引き立たせることの方を優先してほしいと思っています。(逆張りしろというわけではありません。ノルマとは独立に良い演出を選びましょうという話です。)

さらにいうと、音MADを作るうえで文脈を使うかは、ターゲティング、すなわちどういった視聴者層に見てもらいたいかが関わってきます。音MADを普段から見ている層に届けたいのか、ニコニコを普段見ない層に届けたいのかを意識し、どこまで文脈を入れるかを考えるべきです。

良い音MADを作るには?

コンセプトを決めよう

先ほど、新しい価値を生むことが大事だと書きました。そのためには「どのような価値を生むか?」ということを考えることが大切です。

しかしなにをもってコンセプトというかはかなり難しいところで……。「一貫性がないがなんかノリがいい」みたいなのも立派なコンセプトだと思っています。僕もよくわかりません。

それでもコレだけは大事だと思うことは、視聴者に「なんか中途半端だったな」と思わせないことです。

流行っている曲や素材を使うか

流行っている曲や素材、編集方法を使う方と使わない方にそれぞれメリットがあるように思います。

流行を使うメリット:

  • 再生数が伸びる

  • 説明しなくとも、多くの人に文脈まで含めて伝えることができる

  • 様式美

デメリット:

  • ネタ被りしがち

  • すぐに廃れがち

  • 組み合わせに制限がある

流行を使わないメリット:

  • 自分の好きなものが作れる(自分の好きは視聴者にも伝わる)

  • 自由度が高いのでマッチしたものを選べる

  • ものすごく運がいいと流行らせられる

  • 急いで作る必要がない

デメリット:

  • 伸びにくい

  • 文脈を伝えようとすると大変

もちろん、流行している曲と素材でめちゃくちゃ合った音MADが作れるに越したことはありません。僕個人としては再生数は伸びなくても見てくれる人は見てくれているのであまり気にしていません。どうするかはあなた次第です。

オンリーワンを目指そう

ここでは「他の動画と比べていい動画を作るには?」という話をします。嫌な話ですが……。音MADの数も技術も右肩上がりで、頑張ってもあまり見てもらえない傾向はどうしてもあると思います。だからこそ目標を自分の中に持つことがモチベのうえで大事だと思いますが、多く投稿される動画の中で自分の動画が注目されるためにも、あえてこういう話もしてみようと思います。

言ってしまうと、他の動画の下位互換にならないような動画を作るべきです。技術がとび抜けていたり、素材のチョイスが今までにないものだったり、構成が巧みだったり、などなど。「生み出される価値が新規であればあるほど良い」と上で書いたのはこれが理由です。つまり比べられないのが大事です。

例えば音MADで使われる映像技術に憧れる人は多いと思いますが、正直言ってそれのみで勝負するのはいばらの道です。音MAD界隈には映像がとんでもなく上手い人がいます。評価されてちやほやされたい場合、目に見える技術を付けるだけでなく、自分だけの何かを見つけましょう。(ここでポイントとして、多くの人は綺麗な音声とか賑やかで綺麗な映像とか、わかりやすい技術に憧れがちです。そうでない、多くの人が目指さない・気付かない技術も身に着けるべきだと感じます。)

音MADを見れば見るほど、音MAD以外の文脈から音MADの文脈に持ち込まれるものが音MADにおいて大事だと気付くと思います。(具体的な話をしちゃうと、例えばボカロのMVとか歌ってみたとか参考にしてる人は多いと思いますが、多い分すでに文脈に組み込まれている気がします。新しい風を吹かせたい場合はもっといろいろな動画を見るべきです。)音MAD以外の自分の強みを生かせないか考えてみるのは良いことです。

僕が好きなのは、作者の人生や好きなものがにじみ出ているような動画です。これこそ唯一無二の文脈だと思います。

で、どういう編集を行うか

音MADは、可能性がたくさんある分、これが難しいと思います。僕は全然わからないしできないので話す立場にない気がします……。

以下の文章は今思っていることをつらつら書いているだけで、全然まとまっていないですし、戯言だと思ってください。

やっぱり編集は素材の魅力を引き立たせるものであるべきだと考えています。最近、必要以上の技術は、「高い技術が使われていること自体の面白さ」とか「作者性」とか、場合によってはノイズになるものを高めてしまうなと感じています。

いっぽう厳密に情報を管理しようとすると全然情報量が増やせないのですし、無意味なことがいくらでもできるのも音MADならではの良さです。あまり考えずいい感じに情報量を増やして雰囲気を楽しくすることが僕はできないなと凄く思ってます。また、見る専だったときは純粋に技術を楽しめてたようにも思います。

結論としては結局ケースバイケースだったりバランスだったりだとは思うのですが、もっと詳細に考えたいところです。

まとめ

  • 曲・素材・編集を組み合わせて、今までになかった価値を生もう

  • 曲・素材を引き立たせる編集をしよう

  • 相乗効果を目指そう

  • 音MADの文脈で新しいことをしよう

  • 上のことを参考にしたりしなかったりしよう

ここまで読んでいただきありがとうございました!

書いてみた感想

音MADって良くも悪くも二次創作なんだなって思うし、表現の一形態なのに界隈が形成されてるのが特殊だなとも思いました。


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