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笹子餅

 まだ中央線沿線に住んでいた頃、週末の行楽といえば、中央本線沿線の山梨・長野方面へ行く事が定番でした。まだ平成の時代、高尾から乗り換えるオレンジの電車とは違う、横須賀線もどきの色分けの向かい合わせの座席の電車での移動は、非日常を味わえるひと時でした。
 東京都から神奈川県へと入り、やがて山梨県へと向かう頃になると、各駅停車の電車ながら、どこからともなく車内販売のカートがやって来て、売られていたのが笹子餅でした。

 今の長椅子の電車では考えられない長閑さがあり、つい買ってしまう事もしばしばでした。そんな長閑さも、特急電車での旅が主流になる頃には見られなくなり、駅や高速道路のサービスエリアでの販売のみになりました。
 今では車内販売自体が絶滅危惧種となっていて、一部でしか見られない光景となっています。
 笹子餅自体は今も健在な様ですが、販路は製造元と笹一酒造の酒遊館という所のみになってしまっている様です。

 観光業界自体が沈下して、駅弁も各地で姿を消しつつある状況です。銘菓を抱える菓子屋でも大変な状況となっています。

 笹子餅をもう一度食べたいとの思いもありますが、この状況下ではなかなか叶わない願望です。福岡の老舗の様に、どうにか生き残って欲しい一品です。



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