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2020年読書日記32

『苦しかった時の話をしようか』 by 森岡毅

私淑ーー直接に教えは 受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと。わたしにとってマーケティングで私淑している人が、著者である森岡さんです。そう、当業界の超有名人であり、USJを超V字回復したことでよく知られています。マーケティングの手腕はUSJ復活を題材にしたいくつかの著書で描かれており、わたしも社内で担当するビジネス研修のネタとしていくつか拝借しております。なので私淑なのですが。

そんな森岡さんには当時大学生の娘さんがいらっしゃって、彼女が就活に挑もうとしている際に送った個人的アドバイスを書き留めていたそうな。それを目にした編集者が「これは世に出すべき!」と力説して生まれたのがこの本、という触れ込みです。ほら、読みたくなってきたでしょ? 日本一のマーケッターと言われる森岡さんが我が子にどんな話をしたのか……。読後に思ったのは、こんなスゲー父親にオレもなりてーということとと、我が子が就職する前に読んでネタ元バレないようにアドバイスできていたらよかったなというズルい気持ちでした(苦笑)。

就職を前にしたコトバなので、本書の内容は、職選び、会社選び、キャリアの作り方、そのベースとなる自分の強みの見つけ方、鍛え方、軸の持ち方など。学生向けかと言えばそうとは限らず、社会人になった人にもとーーーーーっても役に立ちます。稀代のマーケッターは普段からこんなこと考えているのか、こんなコトバを持ち合わせているのか、こんな思考を組み立てているのか、と驚きの連続。個人的には、自らのブランディングについての件が参考になりました。いまのところ、今年読んだ書物のナンバーワン! 間違いなく。一方で副作用もあり、同じ人間なのにビジネスマンなのに、この差は何??? と自分の浅さに哀しくなってしまう反作用もありました。身も蓋もなく言うと。

あまたある啓発書とはまた違う、非常に血肉の通ったマーケッターのコトバ集的な一冊。繰り返し言いますが、この本を引用して(さも、自分の体験談として)娘、息子とキャリアの話をしたかったと痛切に感じた次第です。


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