見出し画像

2020年読書日記

『アンマーとぼくら』by 有川浩

せっかく綴っているのにオススメできない読書日記は非常にツライ。私は有川浩が大好きです。『空の中』を皮切りに自衛隊三部作に惚れ込み、『図書館戦争』にしびれ、『三匹のおっさん』で溜飲を下げるなどなど、ニッチなジャンルをテーマにして有川節と称される文体や台詞回しに虜になって主だった作品を購入、読破してきました。当初はオタク向けだったのが売れっ子になるにつれてだんだん一般大衆ぽっくなり、尖りなくなったかなというタイミングで徐々に読書対象からフェードアウト。つまり、しばらく読まない時期が続くことになりました。

そんなある日、本屋で見かけた「有川浩最高傑作」の帯。書評によると、かりゆし58の名曲「アンマー」に着想を得て沖縄を舞台にした2人目の母親との3日間……とあります。うん、確かに名作の予感。

が、が、が。小説の骨子はいいと思います。母息子のかけあいもリズム感あり、かつての有川節を彷彿。人物造形も悪くはない。なんですけど。なんというか、上面感? オタクっぽさなくなっただけに深く入ってこないです。フツーの泣かせるいい小説になっている気がしてなりませんでした。作者自身このような小説書いていていいのだろうか、と悩んでいるのではないかなと余計な心配をしてしまった!

母息子が亡き父親との想い出を振り返りながら沖縄の名所をめぐるのですが、あまりにも観光ガイドチックで、もしかしたら沖縄観光局とのタイアップなんじゃないかしらと疑ってしまうことも。それでいて沖縄特有の空気があんまり伝わってこないんですよね。『るるぶ powered by 有川浩』って感じ? 仕事ではネガティブ思考をやめてポジティブ思考と散々言っているくせに辛口書評になってしまいました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?