お金の話(インフレ率という制約)

① 自国通貨を持つ政府は財政的な予算制約に直面することはない
② 全ての経済は、生産と需要について実物的あるいは環境的な限界がある
③ 政府の赤字は、その他の経済主体の黒字


今回は②の、全ての経済は生産と需要について実物的あるいは環境的な限界があるということについてです。

この生産というのは供給とも言い換えられます。
つまり需要と供給には限界があるということです。

例えばモノを作るとしても1日に作れる量には限界がありますよね?
それは用意できる材料の限界や1つ生産するのにかかる時間、工程などの物理的な限界など色々考えられますが必ず限界はあります。
サービスも同じことです。例えば飲食だったら、材料や調理する人の腕、調理場の大きさなんかでも限界は決まってくると思います。

では需要の限界とはなにかといえば、分かりやすいのはお金です。
いくら欲しいモノがあってもお金がなくては買うことができません。
他にも、いくらお腹が減っていたとしても、いっぺんに何食分も食べられる人はそこまでいないでしょう。

そして供給の限界にたいして需要が大きい、つまりモノやサービスの生産量よりも欲しいという人たちのほうが多い状態ならば黙っていても売れる、どころか値段を上げることもできるでしょう。
この状態をインフレといいます。


逆に需要の限界にたいして供給が大きい、つまりモノやサービスがあってもそれを欲しいと思わない、又は買うことができない。
そんな人たちが多い状態だとモノやサービスを売るためには値下げしたり、付加価値をつけたりすることになると思います。これがデフレです。


経済の状態としてはこのインフレとデフレしかありません。
そしてインフレして値段(物価)がどれくらい上がったか、またはデフレでどの程度値段が下がったかというのを示すのがインフレ率です。
基本的には物価が上がればインフレ率も上がります。


そして現代貨幣理論(MMT)の基本理論に戻ってくるのですが、前回①の説明で国債は借り換えしていけばいいから理論的にはいくら発行しても問題ない、のですがここにインフレ率という制約がつきます。

つまり国民全体の供給能力(生産力)をあまりにも越えて国債発行した場合、インフレ率が上がりすぎてしまう可能性があるということです。
インフレ率が上がりすぎてしまうと、お金が行き渡るまでの時間差でお金を持ってない人達がモノを買えなくなったりサービスを受けられなくなったりしてしまいます。

では国債を発行せずにいて供給能力にたいして需要(お金)がない状態のほうがいいのかというとそんなことはなくて、デフレの状態が続くということは供給能力(生産力)が余っているということで、仕事が余っているということです。
その仕事が余った状態では人を雇っている余裕が失くなる会社もでてくるでしょう。
つまり失業者が増えるのです。そして人を減らした会社が新しい雇用を生み出すことも期待できません。


結論としてはインフレ率は需要と供給のバランスで決まり、上がりすぎても下がっても良くないということです。
ただしインフレ率はいくら国債発行したらどれだけ上がるということは誰にも分かりません。
試算はできてもそれが確実とは限りません。
だから様子を見ながらやっていかなくてはならないということです。

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