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「セッターのバックセットが割れます」

前回に続いて「質問箱」でいただいたものです。
前回に続けて長くなります。
「質問箱」って、相手の状況聞けないから、全部説明したくなっちゃうんですよね。ていうか、「noteのネタになるやん!」と思ってシメシメだったりして。

バックセットは「目標地点を見ないで上げる」わけですから、重要なのは次の2点です。

1.身体がどこにあっても、「目標とする位置を認識」できる

コート上のいろんな位置から、目に見える範囲のネットやアンテナやコートのラインを頼りに、目標に正確に背を向けることができるか? そこから正確にバックセットできるか? 移動しても位置を認識できているか? 動きながらでも位置を認識できているか? 確かめましょう。


2.「ボールが目標に向かって飛ぶ位置」でボールを捉えることができる

ボールが飛ぶ方向は、次の動画で説明されているように、「身体→ボール」を結ぶ線の方向になりますので、「ボールを捉える位置」が適切かどうかが鍵を握ります。 【フォーラム】セットのバイオメカニクス(後編)

バックセットが割れる(ネットから離れる)要因としては、ネットから離れて上げる場合、レフトとライトで身体の向きをかなり変えなければならなくなるので、ライト方向に背中を正対させづらいということが考えられます。特に、一旦クイック(近いスロット)に上げる体勢を取ると、ライトへのトスを適切な位置で捉えるには、かなり身体を移動しなければライト方向に背中を正対させることは難しいでしょう。

「セットが割れる」というのがどんな状況で起きているのか

観察してみて欲しいですね。

・見ないと目標の位置が分からない
・動くと目標の位置が分からなくなる
・素早く動く(時間の余裕がない)と分からなくなる
・ボールは「どこでとらえればどこへ飛ぶ」のか分からない
・前にも上げれる体勢からバックセットすると捉える位置がぶれる
・ネットに近づけてはいけないという不安から離してしまう

これらのうちどの要因と考えられるか? または、それ以外か?
効果的な練習を考えるということは、状況把握なしにはあり得ませんね。

「効果的な練習方法」は?

これらの問題に共通して効果的な練習があります。それは、

「ボールをどこで捉えればどこに飛ぶか(身体・ボール・目標の位置関係)」をひたすら確かめる

ということです。

動画でも説明されているとおり、「身体がどこを向いているか」は問題になりません。ネットから離れた位置でレフト方向に正対していても、捉える位置が適切であれば、ライト方向に正確なコントロールができます。「クイックに上げる体勢を取ると、ライトへのトスを適切な位置で捉えるには、かなり身体を移動しなければならなくなる問題」も捉える位置が少しずれるようにするだけで簡単に解決します。

上げる方に身体(正面または背中)を正対させようとすると、余裕がない場合「身体を回転させながらセット」するようになり、ボールを捉える位置が曖昧になって「身体→ボール→目標」のラインが崩れてきます。また、捉えるときのボールの位置と出すときのボールの位置が違う、つまり「持って方向を変える」というキャッチの反則にもつながります。「正対させる」よりは「回転を止める」方を優先させた方が、正確なコントロールへの近道と考えています。もちろん、「正対させる時間があれば、正対させても良い」わけですが。

練習方法としては、まず「どこで捉えるかでボールの飛ぶ方向をコントロールできる」という感覚をつかむことが必要になります。動画の「天使の輪が身体で理解できるということですね。

次にシンプルな練習としては、ネットから離れた位置から「レフトに正対してレフトに上げる・レフトに正対してライトに上げる・ライトに背を正対させてライトに上げる・ライトに背を正対させてレフトに上げる」というのをやります。原則として「遠い方に正対して、近い方へサイドセット」で行います。

できるようになった「動き」を付けていきますが、「どこで捉えれば飛ばしたいところに飛ばせるか」の試行錯誤になっているかどうかに気をつけます。試行錯誤が成立していないようなら、少しやさしい余裕の持てる条件にし、感覚をつかめそうなら同じボールを出し、つかめたと思ったら位置を変えたり要求スピードを上げたり、といった「観察に基づいた課題の調節」が重要ですね。

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