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高校女子バレーの面白いフォーメーション

前回訪問したときは2人だけのチームでしたが、この春に新入生5人+マネージャー2人が入部して、県の春季大会に出場、見事1回戦を勝ち抜きました。

その春季大会2回戦を見たのですが、【誰がトスを上げるのか分からない、トスを上げに行っても間に合わない】ということが目立っていたので、そこが整理できればと思って訪問しました。

選手たちの間では「ツーセッターからワンセッターに変えたい」という話もありながら、ワンセッター候補の選手は「自分が打たなければ」というのもあり、いろいろ試してみたい状況とのことでした(まずは「選手の意思」が尊重されています)。

スパイクスイング、オーバーパス、スイングブロックでいろいろ遊んでもらった後、6人入って「レセプションからの攻撃」練習をやってもらいました。

システムがなかなか驚きで、【レセプションを常に同じ3人だけでやり、かつそのうち2人がツーセッターもやる】という「3対3バックアタックゲーム」をベースにしたような組み立て(セッターのどちらかがレセプションしたらもう1人がセットアップ、別の選手がレセプションした時は後衛の方がセットアップ)でした。

現在プレーできる選手が6人だけ(+ケガ人1人)で、うち1人は最近バレーを始めたばかりの高1初心者だし、2人は試合でスパイクを打ったことがほとんどないような感じで、このやり方がチームの現在の最適解なんだと思いました。

ツーセッターがレセプションもするので、「レセプションに構えてから、自分が取らなかった時はセッターとして前に出る」ために間に合わないことが多く、先週見た【誰がトスを上げるのか分からない、トスを上げに行っても間に合わない】が多発していたと考えられます。

そこで
・普通の「後衛から出るセッター」よりもさらに【時間的余裕】つまりパスの高さが必要
・ネット際に出されると対応できないことが多いので、【ネットに近づけない】
ということを意識してもらいました。

ハードヒットできるアタッカーも3人だけなのでバックアタックが重要になりますが、【スロット被り】で「誰が打つトスか分からない」のを回避する方法が必要でした。

それ以外にも「誰のボールか分からない」ことが起きやすいので、【それぞれの場面で誰が判断して声を出す(指示する)責任を持つか】を整理しました。

3人を核にした組み立てですが、ブロックには全員が跳ぶし、アタックも全員がアプローチすることをサボらないように徹底されていました。初心者の選手も含め、今後各選手が力をつけてきた時にどんな組み立てができるのか、とても楽しみなチームです。


次に、6人入って「ラリー中(相手アタックに対するブロック&ディグ)からの攻撃」練習

ラリー中は、ツーセッターの前衛の方がミドルにいたりレフトにいたりで混乱していたのですが、基本的に前衛の方がセットすることにはなっていたので、それならと常にミドルにいてもらうようにしました。

チャンスボールの時だけでも後衛からセッターが出るパターンも試したかったのですが、ツーセッターの2人が後衛でパスの中心にもなっているので、当面は取り組めないと考えました。

前衛のセッターはラリー中はトスに専念するしかないということになりますが、1本目を取って開き、バックセンターにいるもう1人のセッターにトスを上げてもらって攻撃参加することはできそうです。

さらに、その1本目をトスにして、後衛のセッターがツーでバックアタックを打つ&フェイクセットということも彼女たちならできると思います。wkwk

とても面白いバレーになりそうですが、ベースは
・全員がブロックに跳ぶ
・全員が攻撃参加する(真ん中からしか打たない選手、ライトからしか打たない選手もいるけど)
・どこからでもバックアタック

が当たり前になっていたのが大きく、後は交通整理するだけでしたね。

チームとしていろいろ制約があるからこそ、オンリーワンの「最適解」を選ぶことになりやすいのだと思いますが、「ツーセッターで常に2人ともレセプションに入る」というのは思いもよらないパターンでした。指導者がとても柔軟な発想を持っているということですね。

アスリートセンタードが実現している結果だと思います。
小杉先生、素晴らしい体験をさせてくれてありがとうございます!

初心者の選手はスパイクジャンプが分からない状況でしたが、「2人でリズムを合わせてスイングブロック」で十分つかんでもらえたと思います。やっぱり「スパイクジャンプを覚えてもらいたかったらスイングブロックから」ですね!

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