非公表裁決/線路に近接する土地が騒音により「利用価値が著しく低下している宅地」に該当するか?
線路に近接している土地について、騒音により「利用価値が著しく低下している宅地」として減額して評価すべきかどうかが争われた事案の裁決例です。
審判所は、請求人の主張どおり、当該土地が騒音により「利用価値が著しく低下している宅地」に該当するとして10%の評価減をすることを認めました。
過去にも騒音を理由として10%の評価減を認めた裁決例はありますし、タックスアンサーにも、「騒音によりその取引金額に影響を受けると認められるもの」が「利用価値が著しく低下している宅地」の例として挙げられていますので、それほど目新しい判断をしているという訳ではないのですが、①当該宅地の評価に当たって用いる路線価が騒音の要因を考慮して付されたものではないこと、②騒音が生じていること、③騒音により当該宅地の取引金額が影響を受けると認められることという要件を明確に示した上で、丁寧にあてはめをしていますので、実務の参考にもなるのではないかと思います。
因みに、この裁決は、請求人が、①相続した土地が広大地に該当するという理由と、②相続した土地が騒音により「利用価値が著しく低下している宅地」に該当するという理由で更正の請求をしたところ、原処分庁が、①だけを認める減額更正処分をしたことから、②も認められるべきであるとして審査請求がなされたという事案だったのですが、そのように更正の請求の理由の一部のみが認められた減額更正処分がなされた場合、審査請求で取消しを求める原処分というのは減額更正処分ということになるのですね。お恥ずかしながら知りませんでした。
感覚的に減額更正処分の取消を求めるというのに違和感があるのですが、更正の請求の理由の一部でも認める場合は、更正の請求に対する理由がない旨の通知処分がなされる訳ではないから、減額更正処分を対象とするしかないということですかね。