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交響曲第13番変ロ短調「バビ・ヤール」(ショスタコーヴィチ)

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、ショスタコーヴィチ作曲の『交響曲第13番変ロ短調「バビ・ヤール」』です。(数字は3-285・名曲解説全集第3巻-P281)


ドミートリイ・ショスタコーヴィチ先生。1906年-1975年(68歳)の、ソ連の作曲家でしたね。

『交響曲第3番変ホ長調(メーデー)』の回以来、2回目の登場ですね。


本日の曲は、『交響曲第13番変ロ短調「バビ・ヤール」』。

ちょっと整理が必要そうですね。


ショスタコーヴィチ先生、交響曲は15曲を残しています。

第1番は、19歳ころの作品でした。天才です。

そして、第2次世界大戦が終わった1945年に発表されたのが、第9番です。この第9番が、当局から大批判を受け、第二回作曲家批判事件となります。自己批判を発表したり、オラトリオ「森の歌」を作曲し、挽回を図ります。

戦前はスターリン、戦後はフルシチョフの影響を受けつつ、戦い続けたわけですね。


第13番は、56歳ころの作品ですね。68歳で亡くなりますので、後半に作られた曲です。

元々は交響曲のつもりで書いたわけではなく、エフトゥシェンコ先生の詩をもとに「バビ・ヤール」という声楽と管弦楽のための曲として独立していた曲を作曲していました。この曲を交響曲にまとめようとなり、エフトゥシェンコ先生の詩によるものを4つを追加し、5楽章の交響曲として完成。4楽章はこの曲のために新たに作ってくれたそうです。

バス独唱とバス合唱付き。


第1楽章:バビ・ヤール

第2楽章:ユーモア

第3楽章:商店で

第4楽章:恐怖

第5楽章:出世


バビ・ヤールは、当時ソビエト連邦を構成する共和国の一つであったウクライナのキエフ地方にある峡谷の地名地名だそうです。


この曲、どうやらかなりこの時期にはタイムリーな曲が選ばれてしまったようです。政治的な主張や意図などは一切ありませんので、念のため。


ということで、この第1楽章の「バビ・ヤール」は、実はショスタコーヴィチ先生がソビエトのユダヤ人問題を大胆に扱った作品だったのです。そのせいで、フルシチョフに改作の指示が出たほど。なんだかますますこの時期に扱いにくい感じになりそうですが…、各詩の主題に関連性はないので、このままいこうかなと。


とはいえ、通奏的に「俗物主義」的なものが根底にあり、先生はそれを音楽的に結び付けたようです。


曲は全体的には暗い感じで進んでいきます。

交響曲といえば交響曲ですが、バスのソロはかなり多いです。逆にバスのソロは多いですが、先生らしい交響曲っぽい交響曲でもあります。


初演の際、準備段階から執拗な嫌がらせがありましたが、1楽章が終わった時点で、大喝采。

終了後、ショスタコーヴィチ先生とエフトゥシェンコ先生は舞台に呼ばれ、万雷の拍手に迎えられました。

民衆寄りになった、そんな曲だそうです。


本日の音源は、AVROTROS Klassiekさんのチャンネルを視聴しながら書き進めてきました。ありがとうございます。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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