歌劇「カルメン」(ビゼー)
いらっしゃいませ。
ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。
さて、"本日のオススメ"は、ビゼー作曲の『歌劇「カルメン」』です。(数字は19-324。名曲解説全集第19巻P308)
ジョルジュ・ビゼー先生。1838年-1875年(36歳)の、フランスの作曲家ですね。
久しぶりに早世の天才のご登場です。
父は声楽教師、母はピアニストという音楽一家の環境で幼い頃から音楽に親しんできました。
4歳で楽譜を読み、6歳でピアノを弾きこなし、9歳でパリ音楽院に入学。久しぶりの" THE 天才 "の登場です。
17歳で最初の交響曲と最初のオペラ・コミックを作曲し、19歳の時にはにはカンタータ『クローヴィスとクロティルデ』でローマ大賞を受賞。
オペラ作家を志望していたビゼー先生は、17歳ころから、多くのオペラに取り組んでいきました。ただ、未完、計画のみ、不評のものが多かったのが実際のところのようです。ペースとしては、ほぼ毎年、もしくは表現の仕方としては、ほぼずーっとオペラを書いているイメージです。一時期を除いて
ただ、リスト先生から絶賛されるエピソードがあり、能力的に高いことは間違いないようです。
その能力がオペラで発揮されるのが、歌劇『真珠採り』で、成功を収めました。先生、25歳ころの作品です。その後少し間が空き、歌劇『美しきパースの娘』も¥を発表。先生、29歳ころです。
『カルメン』まで、『真珠取り』からは10年、『美しきパースの娘』からでも7年。結構な期間が空きました。
この間、ピアノ4手とその編曲版の管弦楽組曲の『子供の遊び』や、付随音楽の『アルルの女』、そしてその組曲版が作られています。
現在でも人気の作品が、この時期に多く作られました。
そして、いよいよ『カルメン』の登場です。
歌劇「カルメン」。
ビゼー先生、カルメンを書き上げた翌年に亡くなります。
このオペラ、初演は当時の社会的道徳観に合わず、芳しくありませんでした。ウィーンの上演に合わせてウィーン宮廷歌劇場の支配人が台詞の部分をレチタティーヴォとして上演するための作曲を依頼するも、ビゼー先生、すでに亡くなっておりました。。友人のギロー先生がその作曲を担当し、上演作品として改めて整えられ、ウィーン公演で人気を博し、現在では1級の名作として世界で上演され続けている作品となりました。
オペラを書きたかったビゼー先生、見事にその思いを達成させました。ただ、生前本人が成功を知ることはありませんでしたが。
原作は、メリメ先生の同名の小説。原作は、もっとキツメの内容になっているようです。劇場側の意向でかなりまろやかになっているようです。とはいえ、基本的な登場人物や、舞台上で次々起こる死など、子どもも観にくる劇場としては聴衆の意を汲む必要があたわけです。それでも、なかなか刺激的な内容で構成されていますね。
歌は言うまでもなく素晴らしいですが、このオペラ、管弦楽も素晴らしい。
歌を引き立てるけど、ただの伴奏然としていない。時には支え、時にはあおり、時には先頭に立ち、うっとりとソリストの歌を聴く。
ヴェルディ先生やプッチーニ先生、ワーグナー先生とは違う、唯一無二の作品ができました。
言ってはいけないことはわかっていますが、あと30年生きていたらどんな作品が生み出されたのだろうかと、思わずにはいられません。
=登場人物=
カルメン…タバコ工場で働くジプシー
ホセ…衛兵の伍長
エスカミーリョ…闘牛士
ミカエラ…ホセの許嫁の田舎娘
その他たくさん
=あらすじ=
<第1幕>セビリャのタバコ工場前の広場
町の警備を担当している衛兵のホセさん。交代の時間になる頃、近くのタバコ工場も休憩時間になり、広場に出てくる中に、カルメンさんがいます。
ホセさんのもとには許嫁のミカエラさんが来てお話をしていましたが、ミカエラさんが帰ったあと、タバコ工場でカルメンさんが他の女工さんとけんかをするさわぎが起き、ホセさんがカルメンさんを捕えます。
カルメンさんは最も人気のある女工で、カルメンさんはホセさんに縄をとくよう誘惑し始めます。ホセさんはミカエラさんとのこともあり最初は受け付けませんでしたが、カルメンさんの誘惑に負け、居酒屋で会う約束して縄をほどいてしまいました。
護送が始まりそうになる頃、カルメンさんはホセさんを突き飛ばし逃げ去ります。
<第2幕>居酒屋にて
カルメンさんの一件で牢に入っていたホセさんをしり目に、居酒屋でカルメンさんやホセさんの上役スニガ隊長さんたちが楽しんでいました。
この居酒屋にエスカミーリョさんが現れ、カルメンさんに気のある素振りを見せます。そのあと、ホセさんが居酒屋に現れると、カルメンさんは再びカスタネットを鳴らしながら踊り始めると、帰営のラッパが聞こえ、ホセさんは帰らねばと。カルメンさんは自分を愛しているなら兵隊をやめて自由な生活を送ろうと言って惑わせます。
上役のスニガさんが戻ってきて帰営だと怒鳴ることに対しかっとなって、剣を抜いてしまいます。カルメンさんたちと話していた密輸業者さんが仲裁しますが、上官に剣を抜いてしまった脱走兵となり、蜜有業者の仲間になります。
<第3幕>山の中の密輸業者の休憩地
カルタで占いをすると、まずはカルメンさんが、次にホセさんが死ぬと出ます。何度繰り返しても「死」が出てしまうことにカルメンさんは恐怖を覚えます。
見張りで残っていたホセさん、物音が聞こえて銃を撃つと、伝言があって近くにいたミカエラさんは物陰に隠れ、エスカミーリョさんが姿を現します。
それが恋敵だとわかったホセさんは、エスカミーリョさんに決闘を申し込み決闘になりますが、カルメンさんがエスカミーリョさんを助け、逃がしてあげます。
その時ホセさんはミカエラさんが見つけ、ミカエラさんから、ホセさんのお母さんが病気と伝えられ、心変わりしそうなカルメンさんへの激しい思いをおして、お母さんのもとへと行きます。
<第4幕>セビリャの闘牛場の前
エスカミーリョさんとカルメンさんが闘牛場に現れ、スター格のエスカミーリョさんはそのまま闘牛場へ入っていくと、ジプシーの仲間であるフラスキータさんとメルセデスさんは、カルメンさんに対し、ホセさんが来ているから注意するよう忠告をします。
カルメンさんは、むしろ待っててやるさ、と意に介さずそのまま待っていると、ホセさんが現れます。
ホセさんは、考え直してくれるようカルメンさんに頼みますが、カルメンさんは愛想が尽きてとり合いません。ホセさんはカルメンさんに対し、もう愛さないのかと叫び、愛してることを訴えますが、カルメンさんは「私は自由だ」と。
エスカミーリョさんの様子が場内から聞こえてくると、さえぎるホセさんを突き飛ばして入場しようとします。ホセさんは、エスカミーリョさんを愛しているのかを確認すると、カルメンさんは「愛している」と応じます。
場内からは歓声が聞こえ、一方こちらは緊迫した状況(というのをビゼー先生は見事にあらわしています)。この時点で、ホセさんはかなり激怒の状況です。中に入ろうとするカルメンさんと、入れさせまいとするホセさんのやり取りが続きます。
カルメンさんは、ホセさんが送った指輪を外して投げつけると、ホセさんはカルメンさんにとびかかり、逃げようとするカルメンさんを、短剣で一刺し。カルメンさんは数歩よろけますが、倒れ、ホセさんも呆然と崩れるようにひざまずきます。場内では勝利の興奮で盛り上がっていますが、ホセさんはカルメンさんの上に身を投げ、幕となります。
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いやー、長くなりました。。
実はこの作品、オペラの中で最も好きな作品なんです。
ぜひ、全曲を味わっていただきたいですね。
観どころ聴きどころは、全曲ですww
有名な曲、聞いたことのある曲は、作品中たくさん出てきますので、楽しみながら聞いていただきたいですね。
結末は、アンハッピーなんですが、作品全体の素晴らしさは他の追随をゆるしません。
本日の音源は、個人所蔵の、カラヤン/ウィーン・フィルの1963年録音を聞きながら書き進めてきました。ぜひ観ていただきたいといえば、日本語字幕付きオペラさんのチャンネルをご視聴ください。クラーバー/ウィーン国立歌劇場の名盤です。
本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。
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