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クラリネット三重奏曲イ短調(ブラームス)

いらっしゃいませ。

ようこそ、CLASSIC BAR VERSTECKへ。


さて、"本日のオススメ"は、ブラームス作曲の『クラリネット三重奏曲イ短調 Op.114』です。(数字は12-393。名曲解説全集第12巻P392)


ヨハネス・ブラームス先生。1833年-1897年(63歳)、ドイツの作曲家でしたね。

前回の登場は、『ピアノ協奏曲第1番ニ短調』の回でした。


ブラームス先生、クラリネットをメインにした室内楽を4曲書いています。

本日の曲『クラリネット三重奏曲』、『クラリネット五重奏曲』『2つのクラリネット・ソナタ』です。


実はこの4曲、作曲の時期が集中しています。58歳ころから61歳ころなんです。この頃、ブラームス先生は創作力の衰えを感じており、大曲の作曲をやめようとしていました。

身辺の整理をはじめ、遺書まで書こうとしてた時、マイニンゲンの宮廷を訪れ、ミュールフェルト先生に出会った事で前言撤回、クラリネットの曲を4曲書くきっかけとなったのです。

リヒャルト・ミュールフェルト先生。当時のドイツで最も有名なクラリネットのヴィルトゥオーゾ。元はヴァイオリニストとしてマイニンゲン宮廷管弦楽団に入団したそうですが、後にクラリネット奏者に転向して、まさかの当代随一のクラリネット奏者に。とんでもない人ですね。


そのとんでもない人に、ブラームス先生会っちゃったんです。

もう無理だと終活を始めようとしてたブラームス先生に、やる気を与えてしまったのです。ありがとうございます。

ミュールフェルト先生の演奏が、技術的にも、表現的にも、当時のブラームス先生の心にズバッとはまったのでした。


初演は、クラリネットをミュールフェルト先生、ピアノはブラームス先生で行われています。この曲が完成する頃には、ブラームス先生のスランプはまだ脱していなかったようですが、晩年の集大成としてここから始まる4曲は、どの曲をとっても優れています。

作曲・初演の時期的には、ワーグナー先生の『パルジファル』のおよそ10年後で、『マーラー先生の交響曲第2番「復活」』の作曲中、シェーンベルク先生もアウヴズ先生はもう生まれている、そんな時代に、最後の正統派ロマン派の大家が、THEロマン派的な響きと香りを詰めた音楽を残してくれたのです。

ありがとうございます。


本日は三重奏ですが、ぜひそのまま五重奏とソナタも続けてお聞きください。

改めて、ブラームス先生の偉大さがわかります。

技術は恐らくいうまでもなくなんでしょうけど、なんとも言えない良い雰囲気なんです。後期ロマン派、国民楽派、新ウィーン楽派の音楽では聞くことのできない、大事なものがここに詰まっています。



本日の音源は、VideoClassicaさんのチャンネルを視聴しながら書き進めてきました。ありがとうございます。


本日もご来店いただきまして誠にありがとうございました。

またのお越しをお待ちしております。

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