ゼロからのスパイスチキンカレー
昨年の夏にコロナに感染し、味覚嗅覚がゼロになったことで私の食生活は変わった。
一度、完全なゼロを経験するという意味ではコロナ感染も貴重な経験だった。
熱は高いが陽性反応が出なかったので、最初はコロナだなんて思っていなかった。
熱が下がってきて回復の兆しが見えてくると時間がありあまり、YouTubeでプロの料理人による料理動画ばかり見た。特にスパイスカレーに惹きつけられた。
「治ったら早くスパイスカレーを作りたい」
そう思いながらキッチンに行き、その頃はまだ3本しか持っていなかったスパイスの香りを順番に嗅いだ。全くの無臭だった。それで今の体調不良はコロナだ、ということがわかった。のちの検査でも陽性反応になった。
翌日、今度は味覚がゼロになった。
味のしない白米はねちゃねちゃのゴムのようで食べれたものではなかったが、刺激は感じられたのですりおろし生姜の刺激をおかずに白米を食べた。
回復するとすぐに、料理動画に登場したスパイスを買い揃えにスーパーを周った。
動画に忠実に、スパイスカレーの基本であるスパイスチキンカレーを作った。
ホールスパイスをじっくり炒めたり、玉ねぎを飴色になるまで炒めたり、とけっこうな時間がかかった。なのにあまり美味しくなかった。
初心者がすぐにプロに近付けるわけもない、と何度も挑戦した。
以前の私にとって料理はめんどくさくてたまらないものだった。
食材を洗って、切って、さっと炒めて、後片付けをするだけでもできればやりたくないプロセスだった。
それが味覚嗅覚の完全ゼロ状態を経験したことで、ゼロから回復したことで、食事のありがたみが増したのだろう。料理をめんどくさいとは思わなくなった。
スパイスカレーの他に和食と洋食もプロの料理人による動画を参考にして作った。キッチンに向かう時間は長くなり、ガス代は千円上がった。
しかし一向に美味しいスパイスチキンカレーは作れなくて、スパイスカレー作りはやめてしまった。
数ヶ月経ったある日、キッチンに並ぶただのかっこつけたインテリアになっているスパイスを見てもったいなく思った。
そして動画通りではなく、自分の好きに、自由にスパイスチキンカレー作ってみようと思い立った。
プロのレシピに入っていたスパイスを省いたり、プロのレシピに入っていなかったスパイスを入れたり。玉ねぎは飴色でなく、きつね色になる手前で十分とした。
こうして出来上がったスパイスチキンカレーは、見た目こそそれまで作ったものと変わりはなかったが、味は違った。
美味しかった。
あまりに美味しくて、数日おきに作るようになった。
そんなスパイスチキンカレーのレシピです。
レシピ 2人前
オイル(サラダ油など香りのないもの)大2
ブラウンマスタードシード 小2/1
クローブ(ホール) 4粒
クミンシード(ホール)小2/1
すりおろしにんにく 小1
すりおろししょうが 小1
玉ねぎ 半分
トマト缶 40g
鶏肉(もも) 200g
水 100ml
A
クミンパウダー 大2/1
コリアンダーパウダー 大2/1
ターメリックパウダー 小2/1
カイエンペッパー お好みの量 (小4/1推奨)
クローブパウダー 小8/1
シナモンパウダー 小8/1
パプリカパウダー 小8/1
ブラックペッパー 小8/1
塩 小2/1
1
フライパンにオイルをしき、ブラウンマスタードシードとクローブ(ホール)を入れてから一番弱火で火をつける。
適度にオイルの中で混ぜて、焦げ付かないようにする。
2
ブラウンマスタードシードが弾け始めたらクミンシード(ホール)を入れる。
オイル全体にクミンシードの香りがつくように混ぜる。
3
一旦、火を止めてからすりおろしにんにくとすりおろししょうが入れる。(飛び跳ね防止)
一番弱火で火をつけて炒める。
4
みじん切りした玉ねぎと塩(分量外・ひとつまみ)を入れ、きつね色になる手前まで強火で炒める。
5
一番弱火にし、Aのスパイスと塩を全て入れる。
6
すぐに水(分量外・大4)を入れ、スパイスを練り合わせる。
捏ねるようにしばらく炒める。
「6」の工程を3回繰り返す。
7
トマト缶を入れて、全体をなじませる。
8
2口大に切った鶏肉を入れ、強火で表面の色が変わるまで炒めながら全体をよくなじませる。
9
水を入れ、全体をなじませてから蓋をする。
沸騰したら少し火を弱めるのを繰り返しながら5分間煮込む。
できあがり。
玄米と一緒に食べるのもおすすめです。
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