ブックオフで考え過ぎる日本の貧富

 「じゃあ返さなくていいの?」

 それに母親が何か答えたが聞こえなかった。
 続いて男の子は「ありがとうありがとう」と母親に言った。とても大きな溌剌とした声で。

 男の子は嬉しそうに「おしりたんてい」の本を両手で頭上に掲げた。

 発言からしておそらく、いつもは図書館で借りるのだろう。

 小さなブックオフでこの場面を見た私は、本一冊買ってもらっただけでこんなにも嬉しがる男の子を微笑ましく思った。それと同時に男の子の母親の気持ちにもなった。

「新品じゃなくてごめんね」

 別の日。土曜日の日中にブックオフの大型店に行った。
 工場地帯の殺風景な地域にあるブックオフスーパーバザール。目当てである本の売り場に辿り着くまでに食器や日用品、服にバッグが並ぶ売り場を通り抜けて行ったのだが、どの売り場もものすごく混んでいた。
そしてレジは長蛇の列。

 そして思った。日本は大丈夫なのか、と。
 廃盤などで中古でしか手に入らないものを求める人を除いて、ここにいる殆どの人は私も含めて「裕福」の部類には入らないはず。新品を買う余裕はないから中古品で安く済ませたい人たち。
 そういう人がこんなにたくさんいて大丈夫なのだろうか、と不安になった。

 でもこの瞬間も、繁華街のデパートに行けばブランド物を買っている人が大勢いるはずだ。ということは日本は大丈夫なのか。

否、格差が広がっているということなのだろう。

それか私の考え過ぎだ。

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