見出し画像

なぜなぜ分析とセルフチェックの方法

「なぜなぜ分析」を活用する際に「自分の分析が正しいかわからない・・・」という壁にぶつかることがあると思います。そこで今回は「なぜなぜ分析」と「セルフチェックの仕方」をご紹介します。

■ なぜなぜ分析とは

なぜなぜ分析のやり方は簡単です。

1. 事象が発生した要因に対して「なぜ」と問います。
2. その答えに対して、その要因に至ったのは「なぜ」と問います。
3. また、その答えに対して、その要因に至ったのは「なぜ」と問います。
4. また(以下略)。

一般的には「これを最低5回繰り返しなさい。なぜならそれくらい繰り返さないと根本原因には辿り着かないから。」と言われています。

5回というのは一つの目安でしかありません。なぜなぜ分析の目的は根本原因を突き止めることですので、3回で目的が達成できたのならやめても良いですし、10回やっても辿り着かないなら続ける必要があります。

よく「何回繰り返せばいいですか?」と質問されるのですが「繰り返す回数に決まりはなく、根本原因を解決できる対策を打ち出せるまで繰り返してください」と回答しています。

■ セルフチェックの仕方

なぜなぜ分析の相談を受けている中で「自分のなぜなぜ分析が正しくできているのかわからない」という人が多くいました。その際には、私が実際に現場で使っている「セルフチェック」方法を教えていました。

やり方は簡単で「分析結果を後ろから読む」だけです。例えばこんな事象があったとします。

事象:入力値チェックの実装が漏れていた

これをなぜなぜ分析します。

質問1:なぜ、入力値チェックの実装が漏れたのか?
回答1:入力値チェックの実装を失念していた
質問2:なぜ、入力値チェックの実装を失念したのか?
回答2:コードレビューで査閲者が見落としたから
質問3:なぜ、コードレビューで査閲者が見落としたのか?
回答3:査閲者の観点に無かったから


この分析は間違っています。分析結果を後ろから読むとこうなります。

(A)査閲者の観点に無かったから、コードレビューで査閲者が見落とした
(B)コードレビューで査閲者が見落としたから、入力値チェックの実装を失念した

(A)の文章は「レビュー観点に無かったから見落とした」ということなので違和感はありませんが、(B)は違和感があります。

査閲者の観点になかったから、実装を失念した」

査閲者の観点にあったとしても査閲者が検知できるだけであって、「実装者の失念」とは結びつきません。このように、間違った分析をした場合、後ろから読むと意味が通じなくなります。

なお、話が飛躍しない状態で分析した例は以下です。

質問1:なぜ、入力値チェックの実装が漏れたのか?
回答1:入力値チェックの実装を失念していた
質問2:なぜ、入力値チェックの実装を失念していたのか?
回答2:設計書を見ずに作業したから
質問3:なぜ、設計書を見ないで作業したのか?
回答3:類似の開発経験があったため記憶頼りに作業してしまった

分析結果を後ろから読むとこうなります。

・記憶頼りに作業したから設計書を見なかった
・設計書を見なかったから実装を失念した

意味が通じるので、ここまでの分析に問題はないと判断できます。このように、分析した結果を後ろから読むだけでセルフチェックすることができます。

■ なぜなぜ分析ができるようになる方法

誰でもすぐに問題分析が出来るようになる方法なんてありません。

本やWEBの中には「これさえ抑えれば誰でも出来る」のように書かれているものがありますが、そんなものはありません。唯一のコツは「より多くの分析をすること」だけです。

なぜなぜ分析の練習問題は日常生活にいっぱいあります。例えば「家の鍵をかけ忘れて外出した」というものでもなぜなぜ分析はできます。とにかく実践あるのみです。


最後まで読んで頂きありがとうございました! いただいたサポートは全て執筆活動の資金としてありがたく活用させていただきます。