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PMBOK第7版をざっくり紹介

2021年7月にPMBOK第7版の英語版がリリースされました。PMI会員はPMIサイトからダウンロードできます。英語は苦手ですが雰囲気で一通り読み終えましたので、備忘録を兼ねて内容をざっくり記載します。

■ PMBOK第7版の構成

PMBOK第7版は大きく以下の2つに分かれています。

THE STANDARD FOR PROJECT MANAGEMENT
 (プロジェクトマネジメント標準)
A GUIDE TO THE PROJECT MANAGEMENT BODY OF KNOWLEDGE
 (プロジェクトマネジメントの知識体系の手引き)

■ THE STANDARD FOR PROJECT MANAGEMENT

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プロジェクトに携わる人たちの活動指針となる、プロジェクトマネジメントの原則について記載されています。

▶ Section 1  はじめに
▶ Section 2 価値提供のためのシステム
▶ Section 3 プロジェクトマネジメントの原則

Section1では、プロジェクトマネジメントを理解するための基礎について記載されています。主な用語と概念、この規格の対象者です。

Section2では、プロジェクトが価値を生み出すことについて記載されています。その方法の例や、価値提供システムが最も効果的に機能する情報の流れについて紹介されています。

Section3では、12の原則について記載されています。12の原則の前に4つの価値観があり、その上で12の原則が定義されています。4つの価値はPMBOK第6版から変わりはないですね。

4つの価値
▶ Responsibility:責任
▶ Respect:尊敬
▶ Fairness:公正
▶ Honesty:誠実
12の原則
▶ STEWARDSHIP:勤勉で敬意を払い、思いやりのあるスチュワードである
▶ TEAM:協力的なプロジェクトチームの環境を作る
▶ STAKEHOLDERS:ステークホルダーと効果的に関わる
▶ VALUE:価値を重視する
▶ SYSTEMS THINKING:システムの相互作用を認識し、評価し、対応する
▶ LEADERSHIP:リーダーシップを発揮する
▶ TAILORING:状況に応じて調整する
▶ QUALITY:プロセスと成果物に品質を組み込む
▶ COMPLEXITY:複雑さを克服する
▶ RISK:リスクへの対応を最適化する
▶ ADAPTABILITY AND RESILIENCY:適応性と回復力を受け入れる
▶ CHANGE:想定される将来の状態を達成するために変化を可能にする

■ A GUIDE TO THE PROJECT MANAGEMENT BODY OF KNOWLEDGE

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パフォーマンスドメインについて記載されています。12の原則は行動の指針となりますが、8つのパフォーマンスドメインはその行動を具体的に示したものです。

▶ Section 1 はじめに
▶ Section 2 プロジェクトのパフォーマンスドメイン
▶ Section 3 テーラリング
▶ Section 4 モデル、メソッド、アーティファクト

Section1では、PMBOK第7版の概要について記載されています。プロジェクト管理標準(12の原則)との関係、PMBOK第6版との変更点について説明されています。

Section2では、プロジェクトを成功に導くための8つのパフォーマンスドメインについて記載されています。

8つのパフォーマンスドメイン
▶ STAKEHOLDER
 →ステークホルダーの分析
▶ TEAM
 →プロジェクト成果物の作成を担当する人々
▶ DEVELOPMENT APPROACH AND LIFE CYCLE
 →開発手法、ケイデンス、ライフサイクルの各フェーズ
▶ PLANNING
 →成果物や結果を提供するために必要な調整
▶ PROJECT WORK
 →プロセスの確立、リソースの管理、学習環境の醸成
▶ DELIVERY
 →プロジェクトが達成すべき範囲と品質を提供
▶ MEASUREMENT
 →パフォーマンスを評価し、結果に基づく適切な行動
▶ UNCERTAINTY
 →リスクと不確実性

Section3では、テーラリングについて記載されています。テーラリングとは何か?テーラリングをするためにはどうすればよいのか?が紹介されています。

Section4では、プロジェクトチームが成果物を作成したり、作業を整理したり、コミュニケーションやコラボレーションを可能にするための、思考法、手段、成果物が紹介されています。

■ 所感

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第一印象としては、アジャイル色が強くなった印象があります。例えば、第6版ではアジャイル実務ガイドにしか出てこなかった「ケイデンス」という単語が第7版ではパフォーマンスドメインの中に登場しています。このようにアジャイル実務ガイドの内容が盛り込まれています。

また、私自身が今回の大幅改定で最も気にしていた部分が「プロセスベースから原則ベースへのシフト」についてでした。「第6版までの知識が不要になるのかな?」くらいに思っていたのですが、第7版でもプロセスという単語はそこそこ登場しますし、プロセスという考え方がなくなるものでは無いですね。

あくまでも「ベースが原則なだけであってプロセスの知識は必要である」というのが私の理解です。私としては第6版の知識と紐付けて読むことで雰囲気は掴みやすかったです。

PMBOKは繰り返し読むことで理解が深まるので、しばらくはPMBOK第7版を読み込もうと思います。


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