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人月の神話〜ブルックスの法則〜

「人月の神話」という本をご存知でしょうか?もしご存知ではない方がいらっしゃいましたら是非一読して頂きたい本です。今回は人月の神話にある「ブルックスの法則」について、私の経験をもとにご紹介します。

■ ブルックスの法則

遅れているソフトウェア・プロジェクトに人員を投入しても、そのプロジェクトをさらに遅らせるだけである。

これがブルックスの法則です。経験あると思います。

「2人月遅延してる?4人投入すれば半月でキャッチアップできるね!」

こんなこと言われたら殺意を覚えますね。私たちシステム屋は「人数と人月は等価交換ではない」ということを身をもって知っています。

■ 等価交換にならない要因

要因はいくつもありますが、主に以下ではないでしょうか。

・増員したメンバーへの教育
・人数が増えたことによるコミュニケーション時間の増加

そのため、遅延したからと安易に増員すれば良いとはなりません。少なくとも等価交換では絶対に考えてはなりません。

■ 遅延したらどうすればいいの?

主に以下のいずれかになると思います。

①リスケ・スコープの縮小
②残業・休日出勤
③可能な限り等価交換に近づけるような増員

理想は①の「リスケ・スコープの縮小」ですが、実際は難しいですよね。リスケしても顧客から追加工数をもらえるとも限らないし、そもそも顧客がスコープの縮小なんて認めません。日本の多くは請負契約ですからね。

その結果、現実的な対策としては②の「残業・休日出勤」になるわけですが、私の経験上でもこれがもっとも確実にキャッチアップ方法です。増員すると、その人のスキルがわからなかったり、理解するまでにかかる時間(教育コスト)がわからないなど、不確実な要素が増えるためにプロジェクト管理が難しくなります。

しかし、②にも限界があるため③の「可能な限り等価交換に近づけるような増員」を考えなければなりません。

例えば、以下のような方法があります。

・教育をしなくて良い知識をもった人を増員する
・教育をしなくても出来るタスクを割り振る
・教育しなくてもわかるような作業手順書を渡す

要するに、教育コストやコミュニケーションコストを極力減らしたうえで増員するということです。

このように、ブルックスの法則というものがあることを理解し、安易な増員はせず、増員するならばそのリスクも踏まえて増員しましょう、ということです。


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