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重たいあなたの心は、どうやら温かかったらしい

あなたが思うこと、それは、あるいは、重たいことでしょうか。
ぼくは、自分自身の思考で、自分自身を、深く・深くまで追い込むのだが、かつてのあなたは、ぼくと同じのでしょうか。あなたのあなた自身を思い浮かべるその顔は、、、どうやら、その表情をする、あなたは、ぼくと反対側の暗い辺たりにいたらしい。

牢屋に入っている囚人を思い浮かべたことがある。
その時、その彼は両手首を、「上」に繋がれていた。
繋がれていると、鉄の錆びたような「音」と「匂い」がぼくの心を物臭さにつかむようで、頭が重くなった。
グッとうつむいたままのぼくは、後ろから光を伴うあなたに救われた、ようだった。
あなたは、必ず「ぼく」の先回りをして、あなたは、多くを言いすぎないようにして後ずさりした。
どうやら、ぼくの小声はあなたの耳に障るようだったが、あなたはその救いをやめなかった。
乏しいぼくの入れ墨に、あなたは優れた、すでに何かしら評価されていたあなたの頭を下げたのだろうか。
あなたの価値は、それにて上昇し得るのだろうか。
あなたの傍にいて、いいのだろうか。
存在していいのだろうか?
ぼくは問う、
居心地の良いあなたのすぐ傍は、一人だけ違う風が吹いていたみたいに、
懐、眼差し、志、手に取った掌。
僕の手を握ったあなたの手を見て、思い出した。あなたを疑う目をしたぼくを見る、あなたは紛れもない愛だった。

いつしか、「私のかつての温かさ」は、すでに横たわってしまった。
どうやら、寝返りを自由にうてなくなってしまったらしい。
自由に喋れなくなってしまったらしい。
指先が冷たくなって、冷たいこともわからなくなってしまったらしい。
私はあなたじゃないから、詳しくはわからないのだけれど、あなたの目線は伝わってくる。
ぼくに良くしてくれたあなたは、必ずしも、冷たくされるべきだったのだろうか。
ぼくは、自分の手を握ると、必ずと言ってよいほど、思い出す。
よく汗をかいたのだけれど、手指の爪と爪との間に、その雰囲気に、頭を擡げた。
まだ、ぼくにも力が無いらしくて、あなたもそれはわかっているらしくて、ぼくの周りのほかの誰かもそれをわかって先回りしているらしくて、、、
みすぼらしいぼくは、機械的な煙草の香りに空を仰いだ。

生まれてきてくれてありがとう。