ニューロマンサーほとんど分からんかった

今は半ギレでこの文章を書いているところです。

そもそも、読んだ本に対する感想を脳内で言語化出来るようになったのでnoteへの投稿をしなくなっていたのですが、さすがに今回は意味が分からなかったので整理するために記事にします。雑記です。

世界観

  • 「マトリックス」という電脳空間があり、そこへ意識を没入させる(今に置き換えると、マトリックスがインターネットで、没入がVRか)

  • フィリップKディックに近い退廃的な雰囲気

  • 地球外で生活する人もいる

  • 人より優れた人工知能を作りたい

良い点

初版が1984年とのことで、東西冷戦が佳境に入っていた頃、オイルショックで世界中が不景気の頃、日本のバブル景気が顔をのぞかせていた頃です。

この時代において既にインターネットとVRの関係性に着目していることがこの小説を歴史的な一冊たらしめているのでしょう。
インターネットの構想はあったでしょうし、ガジェットの諸々もある程度揃っていたとは思うのですが、それらを関係付けて話にするのがどれだけ難しいか。
例えば今でも未来的なガジェットは出揃ってますが、それらを包括的に取り込んで一つの未来物語を作れ、と言われても無理な話です。その無理なことをやっているからこそ唯一無二の作品なのだと思います。
また注目すべきは人工知能にも言及していることで、人工知能が規格を超えないよう見張る「チューリング機関」があるというのが現代の問題まで先回りしているみたいで面白いです。

あと、所々で日本の電化製品が描かれることから、なんとなくこの時代の価値観を敷衍させたものであることが分かります。凄かったらしいですからね、知らないですけど。

悪い点

でここからが本題です。とりあえず読んでいて腹が立ったところを箇条書きにします。

  • 説明がない

  • 誰が喋っているか分からない

  • 会話が小粋過ぎて破綻している

  • ゴールが見えない

  • キャラがブレブレ

端的に言えば、SF以外の全要素がダメです。読み物として終わってます。

SFに過度な説明を求める気はないですが、さすがに省き過ぎです。
だったらいっそのこと一人称視点にして、もう分かりきってる世界観をわざわざ説明する必要がない、ということにすればまだ納得出来ますが、何故か三人称視点で話を進めるのでただ読みづらいだけです。
電脳空間へ没入する主人公を、物語に没入しきれてない僕が眺めている、という皮肉みたいな読書体験になりました。ありがとうございました。

誰が喋ってるか分かりません。勢いだけで会話が流れていきます。
ただこれに関してはもう割り切って、会話は流した方がいいかもしれません。少なくとも自分はその方が肌感覚に合いました。

小粋な会話は土台が整ってからでないと成立しません。世界観を説明しないくせに、小粋な会話で雰囲気を軽やかにされてもついていけてないです。
なんとなく、初めて仕事上の会議に出席したときのことを思い出しました。専門用語をつなげて悦に入っていたあいつのことです。

SFにはありがちなので別に良いのですが、これは特にゴールが見えません。
ただゴールが見えないならまだしも、これに関してはゴールしたかどうかも分からないです。
最後のあれは、自分の過去の記憶だけを電脳空間に保存した、みたいなことで合ってるんですか?
噂によればこれには続編があるみたいなのですが、それは知らないことにします。
続編を読むくらいならここがゴールで大丈夫です。

キャラも捉えどころがありません。味方が敵になって、敵が味方になって、そういうのは終盤で説明がついたのでまだ納得出来ますが、序盤は本当に誰が誰か分かりません。
あと複数の呼び名を使い分けてきます。
「フラットライン」「ディクシー」「構造物」これら全部が一人の呼称です。
そんなロシア文学みたいなことしないでください。ただでさえ読みにくいのに。

総括

散々悪口を書き連ねましたが、面白いのは面白いです。
それはSFとしての面白さであり、必要不十分の地の文としての面白さでもあります。
ここから派生していった作品の多さからも、この小説の存在意義は無視出来ないと思います。
ここが原液で、映画のマトリックスがそれを薄めて分かりやすくしたもの、という解釈が正しいでしょう。
この前のジブリの「君たちはどう生きるか」が宮崎駿の原液であって、ファンが卒倒するくらい感動していたように、この小説もSFの原液であって、世界中のSFファンを虜にしてきたということでしょう。
ただ根っからのSFファンでもない、ジブリファンでもない自分としては、原液作品は肌に合わなかったです。
でも面白いのは間違いないです。でも友達には絶対おすすめしません。


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