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本まとめてみた ー脳を鍛えるには運動しかないー

今日はこちらの本について、
自分なりに内容をまとめていこうと思う。

特に第2章の「学習 ー脳細胞を鍛えるー」について。
ここでは脳細胞の構造や、それらが運動に関係する仕組みを、
科学的に説明してくれている。
僕の好きな内容になっているので、まとめていこう。

脳を鍛えるには運動しかない


超まとめ

■人間の思考や行動はニューロン同士の信号伝達によってもたらされる
■神経伝達物質
 これを媒介として信号伝達が行われる。
 中でもその調整機能を持ち重要なのがセロトニン/ノルアドレナリン/ドーパミン
■BDNF(脳由来神経栄養因子)
 脳のミラクルグロ(栄養因子)のようなもの。
 ニューロンのインフラ構築、整備、調整を担う。
■運動による効果
 BDNFと、新たなニューロンを増加させる。
 しかしそのままでは新たなニューロンは死滅する。
 ニューロンを使う活動(複雑な運動、社会的活動、etc…)をすることで、新たな回路として生き残る。



脳内の「ニューロン構造」

脳は様々なタイプの無数の細胞から構成されている
それらが数百種の異なる化学物質を介して、互いにコミュニケーションを取り、私達の思考や行動を決めている。

一つのニューロンは他の10万個ほどのニューロンから情報を受け取り、それを総合して自身の信号を送り出している。
ニューロンの枝と枝の結合部位はシナプスと呼ばれ、最も重要な場所だ。
※シナプス同士は接触しているわけではないが、つながり部位のことを「結合」と呼ぶ。

電気信号がニューロンの軸索を通って分岐した枝の先のシナプスまで行くと、神経伝達物質がそれを化学信号に変えて次のニューロンに伝える。

信号を受け取る側のニューロンの枝は樹状突起と呼ばれ、そこで神経伝達物質は受容体に受け止められ、それによって細胞膜のイオンチャネルが開かれ、信号は電気信号の形に戻る。


脳内の電気信号を担う/調整するもの
→神経伝達物質


精神医学がそれよりも重視するのは、脳の信号操作とすべての活動を調整している一群の神経伝達物質だ。

【すなわち、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンである】

それらは脳内に1000億個あるニューロンの1%に過ぎないが、影響は甚大だ。
ニューロンに命じて、もっとグルタミン酸を作らせたり、ニューロンがより効率的に情報伝達できるようにしたり、受容体の感度を変えたりする。
また余計な信号がシナプスに伝わらないようにして、脳内の「雑音」を小さくしたり、逆に他の信号を増強したりする。

グルタミン酸やGABAのように信号を送ることもできるが、第一の役割は、情報の流れを調節して、神経化学物質全体のバランスを調整することだ。

■セロトニン:
 気分、衝動性、怒り、攻撃性に影響する信号を増強
■ノルアドレナリン:
 注意、知覚、意欲、覚醒に影響する信号を増強
■ドーパミン:
 学習、報酬(満足)、注意力、運動に影響する信号を増強

※精神状態を改善するために用いられる薬の殆どは、これら3つの神経化学物質に働きかける。だがそのシステムは非常に複雑で、どれかを増減すれば決まった結果が出るわけではない。
一つを操作すると、その影響は連鎖的に広がっていき、人によって現れる効果は違ってくる。


ちなみに・・・

脳内の信号送信の約80%を担うのは、2種の神経伝達物質、グルタミン酸とガンマアミノ酪酸(GABA)で、それらは互いにバランスを取り合っている。

■グルタミン酸:
ニューロンの活動を活発にして、連鎖反応を始動させる。
→連鎖反応が繰り返し起こることで、ニューロンの「結合」が促される。

■ガンマアミノ酪酸(GABA):
上記活動を抑える。


ニューロンの回路を構築/維持するもの
→BDNF(脳由来神経栄養因子)


神経伝達物質と等しく重要なものとして、別の種類の分子グループがある。
(中略)
その分子グループは「因子」と総称されるタンパク質群で、最も有名なものは脳由来神経栄養因子(BDNF)だ。

神経伝達物質が信号を伝えるのに対して、BDNFのような神経栄養因子は、ニューロンの回路、つまり脳のインフラを構築し、維持している。

BDNFは脳にとって、ミラクルグロ(化学肥料)のようなもの。
(例)
■シナプスの受容体に結びつき、イオンを放出して受容体部位の電位を上昇させ、信号を即座に強くする。
■細胞内では遺伝子を活性化させ、BDNFやセロトニン、シナプスの材料となるタンパク質をもっと作るように指示を出させる。

BDNFはニューロンの機能を向上させ、その成長を促し、細胞の死という自然のプロセスから守っていると言える。

【以下メカニズムにおいて、中心的役割を果たすのがBDNFなのだ】

例えば、脳が情報を取り込む(学習活動)ように命じられると、自然にニューロン間の活動が起こる。
(中略)

具体的には、まず軸先に蓄積されているグルタミン酸がシナプスを通じて次のニューロンに送られ、受容体の構造を変える。すると、需要部位の電位が上昇し、グルタミン酸を磁石のように引き寄せるようになる。
グルタミン酸の信号が”さらに送られ続ける”と、そのニューロンの核細胞の中にある遺伝子のスイッチが入り、シナプスの材料となる物質がもっと作られるようになる。こうして土台が強化され、新しい情報が記憶として定着していく。
(中略)

学習を繰り返すことで、シナプスそのものが大きくなり、結合がより強くなるということだ。
ニューロンは木に似ていて、その樹上の枝には葉の代わりにシナプスがついている。やがて新しい枝が出てシナプスが増え、結合は更に強くなる。
こうした変化は細胞の適応の一つの形であり、シナプス可塑性と呼ばれている。

※可塑性
固体に力を加えて弾性限界を越える変形を与えたとき、力を取り去っても歪(ひず)みがそのまま残る性質。塑性。


運動すると特に海馬にてBDNFが増加する
→海馬は学習活動に影響する領域


BDNFと運動の研究が積み重ねられていくうちに、BDNFがニューロンの存続だけでなく、その成長(新しい枝が生える)にも重要で、ゆえに学習にとっても重要だということが明らかになった。
(中略)

運動が学習のメカニズムを細胞レベルで強化することを証明する道が開かれたのだ。
BDNFは情報を取り込み、処理し、結びつけ、つながりをもたせる(=学習)のに必要な道具をシナプスに与える。


ニューロンは後天的に増加させ、その配列も変えることができる


一昔前の科学的定説:
脳のニューロンの総数は生まれつき決まっていて、脳は青年期に完成したあとは変えられない。

近年の科学的定説(1998年以降):
脳のニューロンは失われても、増加させることができ、その配列も変化させることができる。
=ニューロン新生を促し、さらに結合を促す

ニューロンは白紙状態の幹細胞として生まれ、発達していくが、生き残るにはなにか仕事を見つけなければならない。大半はそれができずに死んでいく。
生まれたばかりの細胞がネットワークに接続するにはおよそ28日かかり、既存のニューロンと同様に、それらには「使用がもたらす可塑性」が当てはまる。
すなわち生まれたばかりのニューロンは、使わなければ死んでいくのだ。

※使用による可塑性:
環境刺激や社会的刺激による脳への刺激によって、新たなシナプス結合が促され、ニューロン構造が変化すること。

ニューロンは運動によって生まれ(ニューロン新生)、環境から刺激を受けて生き残っていくのだ(ネットワーク接続=シナプス結合し脳内回路の一部となる)。

【実験1】マウスに運動させてみた。
マウスに対して回し車一つをおいただけでも、生まれるニューロンの数に大きな変化があったのです。
しかし、ただ走るだけではニューロンは対照群のそれと同じペースで死んでいく。手持ちのニューロンが多くなるだけなのです。
それらが生き残って、回路を作るにはその軸先に信号が流れなければなりません。

【実験2】マウスに運動+複雑な活動もさせてみた。
マウス用プールに水を張り、そのプールを4分割し、1区画だけに足場を置いた。これを、運動前と、運動後の合計2回渡らせる。
水が嫌いなマウスは、1回目で足場を覚え、2回目は落ちないように逃げる必要がある。

「運動したマウス」は、スムーズに足場を思い出し渡ることができたが、
「運動してないマウス」は思い出すまでに何度も落ち時間がかかった。

さらにその後、海馬のニューロン総数を比較してみると、
運動マウスのほうが2倍もニューロン数が多かった(新生ニューロンと、その定着が確認された)。


感想

疲れたあああああ
今日はココまで!

ニューロンの構造については他で勉強していたので知っていたけど、
BDNFについては初耳だったから読むのが楽しかった。

運動や複雑な運動がBDNFの増加や、ニューロン新生/回路化を促すということも新たな知識だった。

運動大事だなぁ。

この先の章では「ストレス」「うつ」「注意欠陥障害」などなど…
脳の問題に関する章が続きそうなので、
読むのがより楽しみです~

では!


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