フルーツサンド

先週末は実家に帰っていた。
お盆休みも帰っていたので2週間程ぶりだ。

この2週間、わたしはなんとなく元気がなかった。
職場がピリピリしている気がしていた。みんなイライラしているように感じたし、わたしもイライラしていたと思う。

そういうネガティブな感情って伝染するから、もしかしたら、わたしがイライラを広めはじめた張本人だったかもしれないという可能性は否定できない。

だから家に帰って猛烈な自己嫌悪に陥る日も多かった。

それとは関係なく、この週は金曜日に実家に帰ると決めていた。美容院に行くためだ。
実家から行っても今の家から行っても実は所要時間はそんなに変わらないのだけど、美容院に行くときには実家に帰るという習慣がある。

金曜日は、実家の最寄り駅まで母に迎えにきてもらった。
電車の中で注文しておいた食事が、家に着いたらもう届いていた。2人で食べて贅沢な気分を味わった。

ちょっとお高い黒毛和牛ハンバーガー。わたしはハラペーニョとチェダーチーズをトッピングした。母はアボカドクアトロチーズバーガーを頼んでいた。
ひさしぶりに母とビールも飲んだ。

土曜日は予定通り美容院に行った。
大学生の頃から同じ美容院に通っている。美容師さんは指名していないけど誰が担当になっても優しくしてくれるから好きだ。

髪の毛は短くしてもらった。あごと肩のちょうど真ん中くらいの長さ。カラーはいつもと同じようなオリーブ系。
気に入った。次の日自分の家に帰る前に彼氏に髪型を見せたくなったけど予定が合わず断念した。悲しい。

美容院から家に帰ってしばらくして、犬の散歩に行った。ちょうど玄関を出るタイミングで姉も家に遊びにきた。
来週友人の結婚式があり、その時に着るドレスを姉に借りる約束をしていたので持ってきてもらったのだ。

犬の散歩をするのも夏休みぶりだ。その時よりは涼しくなって、秋のいい匂いもした。
太陽が沈む直前の、長く伸びた影を追いかけて歩いた。

散歩から戻って、姉から借りたワンピースを着てみた。母と姉に見せびらかした。

この日は母と姉と実家の食卓でいっしょに夕飯を食べた。茶碗蒸しとローストビーフ。ちょっと特別なご飯だ。母の茶碗蒸しはツルツルしていて世界一美味しい。

食後にはなぜか3人でフルーツサンドを作った。母の思いつきで材料が用意されていた。
わたしは生クリームをホイップして、姉はぶどうの皮を剥き、母は桃の皮を湯むきした。
どう重ねたら綺麗にカットできるのか、3人であーだこーだ言いながら作る時間がなんだかとても幸せだった。

完成したのはいいものの、食後にフルーツサンドは重いので翌朝食べることにした。
姉も持ち帰って朝食べたらしい。各々で食べたあともLINEで、上手に切れたよ。クリームが多かったね。でもおいしかったよ。なんて他愛もない会話を3人でしていた。

日曜日、フルーツサンドを食べたあと、しばらくのんびり過ごして、また犬の散歩をしてから自分の家に帰ってきた。犬と別れるのは本当に本当にさみしくていつまでも慣れないけれど、気づけば平日にあった心のざわめきがだいぶ落ち着いていた。

わたしは文章がうまくないから、こうやって簡単な言葉でしか表せないけど、大切な家族と過ごす時間が幸せで、そんなことでもわたしの心は軽くなるんだとわかってうれしくなった休日だった。