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真夏の喫茶

昨日、病院に行った後いつも通り薬局に行って処方箋を渡した。
薬を受け取るまで1時間ほどかかるということだったので外出することにした。

いつもは、この時間に近くでご飯を食べたりコーヒーを飲んだりするのだけど、昨日は病院に向かう前から、帰りに家の近くの喫茶店に寄ると決めていたので、ほかの暇つぶしを考えた。

そうだ。と思いついて、スマホで近くの郵便局を検索した。書類を送るのに切手が必要だったのと、友だちにお手紙を送る用のかわいいイラスト入りの切手があればいいなと思ったのだ。
調べると郵便局まで徒歩8分とあったので、行ってみることにした。

しかし、土地勘のないところで住宅街の中にある郵便局を目指すのはなかなかの高難易度。道に迷って20分以上炎天下で歩くことになってしまった。毎日クーラーの効いた室内で過ごしている人間にとっては過酷な試練だ。しかも、ようやくたどり着いたそこの郵便局にはかわいい切手は売ってなかった。ふつうの切手ならコンビニで買えるじゃん〜。

薬局にヘロヘロと戻りながら、徒歩8分のマップと自分の体力を信じたことと、朝ごはんをしっかり食べてこなかったことを後悔した。
すれ違った自転車を漕ぐ制服姿の高校生や、野球のユニフォームを着た子ども達が眩しい。


無事に薬を受け取ったあと、熱いままの体で自宅の最寄り駅に向かった。
そしてやっと今日のお目当ての喫茶店に到着。

ここにくるのは2回目で4か月ぶり。前回初めて来た時、素敵なお店だからまた来ようって思っていたのにもう4か月も経っていたのか。行くぞ!って気合入れなきゃ出かけられない自分が憎いよ。

お店は近所のおばあちゃんたちで賑わっていた。空いている席に座って待っていたら、店員さんがお水とメニューを持って、「もうお米終わっちゃったのよ〜」と言いながら来てくれた。「大丈夫です、じゃあ、チキンチーズサンドで!」と言うと、「あ!チキンも終わっちゃったんだって、ごめんね〜」と言われた。「あ、じゃあー、、」と考えていると、キッチンにいるお店のママに「ハンバーグあったっけ?」と聞いてくれた。ハンバーグはあるとのことだったので、「じゃ、ハンバーグサンド!」と答えた。ほんとは、チキンの次はたまごやきサンドに気持ちが傾いていたんだけど、せっかくなので。

「はい!ハンバーグねー!」と言って、キッチンに注文を伝えにいってしまった。飲み物も頼みたかったんだけどなと思いつつ、シャキシャキと働いているのを見て、まいっかと思った。

ハンバーグサンドが届いたときにでも飲み物を頼むことにしようとメニューに目を移す。アイスコーヒーを頼むつもりだったけど、メニューを見ていたらクリームソーダにも惹かれてきた。喉が渇いたからコーヒーをごくごく飲みたい気分だけど、冷たいアイスがのったクリームソーダも捨てがたい。

窓側を背にしたソファー席は日差しが暑く感じて、少しでも涼しい椅子の席に移動する。向かい側になった窓の外に浮かぶ白い雲が流れていくのを眺める。さっき歩いていた時は太陽の眩しさがうっとおしかったのに、ここにいると爽やかに感じる。

そうやってハンバーグサンドを待っているうちに、どんどんお腹も空いてくる。サンドイッチとクリームソーダは胃が苦しいんじゃないかと思ったけど、今ならいける気もしてきた。

決めきれないうちに、出来上がったハンバーグサンドを持ってきてくれた店員さんに「飲み物聞いてたっけ?」と聞かれると、反射的に「クリームソーダで!」と注文していた。すると元気に「クリソーひとつ!」というオーダーが飛ぶ。
クリソー、、、。

ボリューム満点のハンバーグサンドは、デミグラスソースをまとったジューシーなハンバーグが、トーストされた食パンにレタスとトマトといっしょに挟まれている。その半分も食べ終わらないうちにクリソーがやってきた。
窓から見える夏空に、鮮やかなクリソーはとってもお似合いだ。

クリソーのアイスクリームが溶けきらないうちにと思って、ハンバーグサンドをパクパク食べる。デミグラスソースが口の周りにつくのも気にせずかぶりついて食べた。腹ペコだったのであっという間だ。

おかげで、アイスクリームがほとんど溶けないうちにクリソーにたどり着いた。氷に接しているところがシャリシャリしてちょうど美味しい頃合い。

鮮やかな緑色のメロンソーダは、喉に滲みる甘さだった。上にそっと浮かんだバニラアイスの甘さをほとんど感じないほどだ。だけどやっぱり、あのシャリシャリ部分は特別感がある。クリームソーダのあの部分が美味しいと教えてくれたのはちびまる子ちゃんの漫画だった気がするな。

アイスクリームが溶けてくると、メロンソーダが白く濁って甘みもまろやかになる。これぞクリームソーダ。これぞ夏。夏してるなぁとうっとりしながら飲み干した。

ほてった体もだいぶ冷めてきたし、気合を入れなおして店を出て、エアコンの効いた家のリビングのソファを目指し、大急ぎで帰ってきた。クリームソーダで冷やした体もあっという間に溶けていく。

喫茶店の店員さんも、ハンバーグサンドも、入道雲を眺めながらのクリームソーダもみんな最高だけど、わたしにとって真夏のカフェ時間はちょっとしたチャレンジだ。
あと、慣れない町で郵便局を探すのも危険。



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