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悪くない気がする

先週の木曜日の日記。

ひさしぶりに予定がなく、家事もそんなに溜まっていない、1人で過ごす休日。
いつも通り何もせずダラダラ過ごすのでいいかなぁと思っていたけど、ここのところ気持ちが晴れないから、スイッチを切り替えるためにも重い腰を上げて出かけることにした。

少し前から気になっていた、お寺の中にあるカフェに行くことに決めた。
なんとなくだらけた気分が抜けなくて、ほとんどメイクなしで出かけた。電車に乗っている間もぼんやりしていた。

駅に着いて歩き出すと間もなく、長い上り坂に出会った。
こんなの聞いてないよ〜。と思いつつ、しかたないのでのぼりはじめる。途中で立ち止まったらもう歩けなくなる気がしてひたすらにのぼる。

自分にとって大きなことをはじめる時、はじめるまではあれこれと迷って計画を練ってみるけど、動き始めたら一気に進めていくことができる。

途中で休んで考え直してもいいのに、息が切れてきたところでやっと道のりを振り返る。

気軽に始めて動きながら考えるっていうことができないんだよな。

と、ただの坂道と自分の人生を重ね、無駄に感傷に浸っていることに気がついて、ものすごく恥ずかしくなったころ、坂道のてっぺんに到着した。

てっきりそこにお寺があるのかと思ったのに、地図を見るとそこから少し下ったところらしい。せっかくのぼったのに、と理不尽なことを言いたくなる。

広くて立派なお寺だった。
カフェがあるらしい場所にたどり着いたが、やけに人が多い。その日はそこで大きな葬儀が営まれていた。
そもそもここはお寺で、カフェ目当てに行くこと自体間違っているかもしれないし、ガッカリしたと思うべきではないよなと、なんとも言えない気持ちになって、ひとまず心の中で手を合わせた。

それから広い境内を歩いた。春というには眩しすぎる初夏の陽射しの中、静かに歩いていると少し心の波が鎮まった気がした。
今日はカフェで座ってお茶するよりも、外の空気を吸って歩くことが必要だったのかもと思えてきた。

じんわり汗をかいてきたので、どこかに移動することにしたけれど、お寺のこと以外決めずに出てきてしまったのでプランがない。
たくさん歩いたので、これ以上歩いて何かを探す体力もない。
とりあえず、来た時とはちがうもう一つの最寄駅まで向かってみる。

駅に到着してようやく思い出したけど、そこはわたしが一人暮らしを始める時に利用した不動産屋さんがある駅だった。

前の仕事を始めたばかりで、まだ新しい環境に慣れていないのに、もっと何かを変えたくて思い切って引っ越しを決めたあの時の自分と、それから2年半経ってまた新しい生活を始めた今の自分を比べてみても、結局何も変われていない気がした。

いろいろ悩んでいるようであまりしっかり考えられていないというか、悩みすぎて大切な何かを見失っているというか、そんなふうにも思えてしまうけど、そんな自分の性格や生活を案外気に入っている。

それならまあいいか。

近所で済ませればいいのに、なぜかその駅前の銀行でお金をおろしてから電車に乗って帰ってきた。

結局何もしていないような、短い散歩だったけど、この数時間もわたしは案外気に入った。

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