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前代未聞! 東京五輪のバスケット決勝は午前中試合開始

五輪運営の鍵を握っているのは、米国のテレビ放映権料だ。
NBCテレビは開催地の決まっていない2032年までの五輪放映権を獲得しており、一大会あたり約1400億円。
そして、日本人のように夜通しで生中継のテレビかじりついて五輪を観るなんてことを米国人はしない。
就寝前にベッドで五輪を見る。これがベストだと思っている。
独占放映権を持つテレビ局は、米国時間の夜まで競技結果を放映せず、夜に録画を流す。
ネットのある生活をしていて、競技結果を夜まで知らないでいられようがない。
すると、テレビの録画放映は低視聴率にあえぐ。

これを打開する方法が、競技時間を米国に合わせることだ。
競泳は早々と午前中決勝が発表されていたが、バスケットボールの決勝、3位決定戦は米国時間に合わせることが公表された。
具体的にスケジュールを見てみよう。

2020年 東京五輪(1年延期が決まる前の予定)
男子決勝戦  2020年8月8日(土)11:30~13:30
男子3位決定戦2020年8月8日(土)20:00~22:30
女子決勝戦  2020年8月9日(日)11:30~14:00
女子3位決定戦2020年8月8日(土)16:00~18:00

男女の決勝、3位決定戦の4試合のうち、男女の決勝がいずれも午前11時30分開始。
しかも、男子決勝⇒女子3位決定戦⇒男子3位決定戦⇒翌日、女子決勝の順で行われる。
男子決勝が、午前中試合開始。そのあとに男女の3位決定戦をやるとは前代未聞だ。

バスケットボールは、東京五輪で行われるプログラムの中で、開会式、閉会式、陸上、競泳に次いで入場料が高価だ。
(1)開会式12000~30万円
(2)閉会式12000~22万円
(3)陸上3000~13万円
(4)競泳5800~10.8万円
(5)バスケット3000~10.8万円

それだけメディア(放送する側からしても)価値が高いということ。

では、過去にアジアで行われた五輪のバスケットボールは、どういった扱いを受けたか。

●1988年 ソウル五輪(試合開始時間)
男子決勝戦  1988年9月30日 12時00分
男子3位決定戦1988年9月29日 21時30分
女子決勝戦  1988年9月29日 12時00分
女子3位決定戦1988年9月28日 21時30分
*男女とも決勝は正午開始。3位決定戦は夜試合開始。

●2008年 北京五輪(試合開始時間)
男子決勝戦  2008年8月24日 14時00分
男子3位決定戦2008年8月24日 12時00分
女子決勝戦  2008年8月23日 22時00分
女子3位決定戦2008年9月23日 19時30分
*男子は3位決定戦、決勝共に昼間開催。女子は夜開催。これは中国女子が強豪であり、4強に残る可能性が高かったためと推測される。結果4位で終了している。

ちなみに申し上げるが、バスケットボールにNBAのスター、ドリームチームが参加するようになったのは1992年のバルセロナ五輪からだ。
ソウル五輪は、米国代表も大学生主体のチームで、準決勝でソビエトに敗れている。
米国代表はこの敗戦を契機にプロ選手で構成されたドリームチーム結成を決定しているのだが、このときのソ連代表には、アルヴィーダス・サボニスがいた。

サボニスは、ソ連崩壊後はリトアニア代表として1992年 バルセロナ、1996 アトランタの両五輪で銅メダルを獲得し、1995年に31歳でNBAのトレイルブレイザーズに入団している。
このとき息子のドマンタス・サボニスが生まれている。
ゴンザガ大でプレイしていたが、八村塁とも1季だけチームメートだったのではないか。

アジアで開催される五輪は、しばし米国のテレビの犠牲になる。
昨年年行われた平昌五輪では、フィギュアスケートは全種目が午前10時開始、遅くとも午後2時半ごろまでに終了するスケジュールが組まれていた。
そういえば羽生結弦の演技は会社で見たなあと言う人も多いだろう。
これは時差は14時間の米国東海岸のテレビ視聴者に合わせたもの。
米国人はベッドでフィギュア観戦をし、午前0時半に競技終了とともに寝ていたのだ。

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