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商法総則・商行為法をどうしてもやりたい方の、勉強方法

滝川沙希です。

行政書士試験で商法を勉強するコスパが悪いというのは どういうことか
https://note.com/takisaki/n/ncef0dcaaeb83

以前ご紹介した上記のnoteでは、「商法・会社法は、捨てていけばよいんじゃないですか、まあ商法はちょっとだけ勉強して。」とお伝えしました。

今でも「合格するための勉強法」としては、正しいと思っています。

今回は、①民法の勉強に飽きてしまった方、②商法総則・商行為法に興味があって仕方のない方、③勉強が進んできて、合格を確実にしたい方を対象に雑文をしたためます。

一般法と特別法

当然のことから確認します。

①商法は民法の特別法である。

②特別法だといっても、物権法、家族法については、商法の規定はない。民法総則、債権法との関係で商法は特別法である。

③したがって、商法の勉強をしていることが、裏から民法の勉強をしているといっても、債権法の確認しかできない。

したがって、商法総則・商行為法の勉強が民法の復習になるというのは、限定的な意味で、そうだということです。巷間、復習になる論が強いので、念のため、確認しておきます。

改正

世間では民法改正が喧伝されていましたが、商法も改正されています。
①カタカナ文だったのが平仮名になりましたって、仕事しろよ法務省。

②内容もいろいろ改正され、使われていない条文の削除なんかもあります。たとえば、旧商法514商事法定利率など。

使われているかもしれない条文も変更されています。たとえば旧商法507条(対話者間における契約の申込み)などです。こういうとこは、試験で知識を聞きたくなりますよね。

民法と商法とで規定が重なっている箇所

改正された箇所は、山のようにあります。
民法と同じような規定が商法にも重複して規定がある条文の趣旨は、商取引の反復、迅速性云々っていう、いつものあれですね。
テキストで押さえるときに、理由付けは、いつもそれを基本にしておけばよいでしょう。異なるところだけ(商人間の信義とか)暗記すればよいでしょう。

それで、勉強はテキストでお構いませんが、合間でよいから六法をぜひ使っていただきたいです。
市販の六法では、多くの場合、条文の後ろに参照条文が書いています。そこを嫌になるくらい参照してください。一例をあげます。

現商511条(多数当事者間の債務の連帯)ですと、民法427条(分割債権及び分割債務)とあります。

そこで、さらに民法427条の参照条文をみると、民法428、430、432、436、465・・・。とありますね。これを読んでいくと理解がはかどります。

「連帯債務」の対になる言葉が、「分割債務」であることは、私は商法の勉強中に気が付きました。

こうしたことは、予備校などの出版しているテキスト付録の六法ではできないようですね。

商法学者のテキスト

商法学者のテキストを選ぶとしても、試験対策に使えるものは数冊ほどしかありません。
商法が改正されましたので、古くからあるテキストも、いまでは怖くて用いることができなくなりました。
上で述べたように、商事時効などの規定も、今回の改正で削除されているんですよ。うっかり読んでしまいます。それから比較する民法も改正されていますので、改正民法に準拠していないと、これもまた危険です。

商法学者の文章は好みもありますが、非常に明晰なものが多いと感じています。雑味が少ないと申しますか。

私の好みは近藤光男先生の『商法総則・商行為法(第8版)』(有斐閣 2019)です。もちろん、民法、商法の改正に対応しています。売れているのでしょうか、入手が困難なようです。

この手の本を情報量が少ないという方もいますが、この本270ページくらいのことが頭に入っている方は、そう多くないですよ。ちなみに、この本。民法の条文にも、結構は頻度で言及があります(他の本もそうかもしれませんが)。その意味で、伝統的で安心できる一冊です。

まとめ

商法総則・商行為法の勉強は、民法のためになる(復習になる)こともあります。


できればサポートお願いします。法律学の勉強の苦痛から少しでも皆様が解放されるように活動しています! 新規六法の購入費用に充てていきます(笑)