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努力は才能を超える

今日は一級建築士の定期講習だった。姉歯事件を受けて、建築士を戒めるがごとく始まったこの制度、資格学校のニュービジネスと揶揄される向きもあるが、3年にいっぺん最新の動向を学ぶのも悪くないと思っている。何なら学科試験よりも、現場に近い内容で、資格を持っていない後輩たちにも受けさせたいくらいだ。
定期講習は某資格学校で毎回受けている。今日は時期も時期だったので教室の壁は大人しかったが、試験前になると生徒たちを鼓舞する張り紙で埋め尽くされる。「努力は才能を超える」という張り紙が前にあり、たかが資格試験で何ゆうとんねん、と本気で思う。
一級建築士の試験は、この業界の人間しか知らないと思うが、恐ろしい。多くの受験者が年間100万円くらいの授業料を払って資格学校に通い、激務と平行して毎週宿題をこなし、週末が潰れ、心身すり減らし、それでも受からない。こういう試験は得手不得手があるようで、さらっと受かる人間は一年で突破するが、受からない人間は十年挑戦しても受からなかったりする。
最近は、学生時代に受験できるように法改正があったので、新入社員がすでに合格していて、主任クラスの十年選手が毎年受からないという地獄絵図のような、その時期アンタッチャブルでどんよりと社内に影を落とす自体になっている。
ちなみに、私はどうやら試験を得手としているほうらしく、学科は2年、製図も2年、それぞれ独学で受かった。学科は1年目、友達の結婚式の余興準備で忙しく1か月しか勉強しなかったが、設備の足切りだけで落ち、結構惜しかったので、2年目は調子に乗って実は1週間しか勉強しなかった。もはや試験ゲームのように戦略的に勉強し得点したので、試験後さらっと全部忘れてしまったから、全然偉そうに勉強したとか資格とったとか言えない。なお、あまりに都合がよくて悪影響を及ぼしかねないので、この話は会社では禁じられている。
さて、定期講習。一日かけて300ページのテキストをただただ読み上げるビデオを観る。最後に試験があり、テキストのアンダーラインの箇所から出題される。テキストを見ながら回答できる。テキストには最初からアンダーラインが引いてある。はっきり言って、ぼーっと聞いていても受かる。だけども、定期講習はさすが高齢化が進んでいるので、もう更新ええやんというような大先輩たちはモーレツにメモったり、付箋を貼りまくって受講している。
私はビデオを観ながら、時々入るアフレコ(ページ数を言うところだけ間違えたのか更新したのかアフレコのときがある)を見つけたり、この図をご覧くださいと言って出てくるあまりに小さい図に笑いを堪えたりして過ごす。
そんなだけど、試験はやはり得意らしく、60分あるところ30分で終えて、あとはぼーっと終わりを待って過ごした。めちゃめちゃ真剣に受講していた大先輩は、時間いっぱいかけて必死に解いていた。
だけど、この講習、8回目(24年後)くらいには私もあんな感じで頑張らないとついていけないのかもな…と、敬意すら感じて、眺めているのである。

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