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鴫野考 ポジション

鴫野に住んで7年になる。この間、おおさか東線が開通し、新大阪まで一本に。さらには今年には梅田まで延伸するという。恐ろしく地味な路線だが、今里筋線と同様に、沿線住民にとっては絶妙に便利で、何よりいつ乗っても空いているという稀有な特長をそなえている。
鴫野。そこは住民以外はよほど訪れることのないであろう街。何かありそうで、何もない街。
北には古民家が飲食店に再生され話題を振りまくがもよん。南西に行けば、大阪公立大の新キャンパスが生まれる森ノ宮。西には大阪第四の街、せんべろ、そしてダイエー跡の一大開発が待つ京橋。東にはここも地味ながら、暗い商店街で新しい再生の息吹が生まれつつある放出。
まわりのざわつきはさておき、少しずつ長屋が建て変わり、人口や乗降客が増えるにつれ、駅前が少しずつ新しく変わる(だがあえてなのか、まったく洒落てはない)。一方で、公園には子どもたちが日暮れまで走り回り、夜にはだんじりの練習囃子が迷惑省みず響く。踊るような徘徊老人と道端や公園で談笑する老人の群れ。犬の散歩と野良猫の餌付け。夕焼け色に染まる川面にぷかぷかと渡り鳥、生活ごみ。
日常生活が当たり前のように続く街。それは人口減少と激変の時代においては、ややもすれば貴重な存在なのかもしれない。
今のところそんなポジション。そんな街、鴫野。

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