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記憶に残らなくても

寝ても寝た気がしない。
仕事の事が頭から離れない。
悩みがどんどん湧いてくる…。
そんな時期が何年も続いていた。

睡眠の大切さなんて、
これっぽっちも考えることもなく、
ただ…"今日も、ちゃんと寝れなかったな。"
それで終わらせていた。

毎朝、ゾンビのようにしか起きれなかったのに…
なぜ、睡眠不足が蓄積している事に、
気づけなかったんだろう…。


そんな経験からか、
今は、とても睡眠を大切にしている。
わたしにとって体を休ませるということは、
充電機につながっている感覚。
エネルギーはどんどん出ていく。
そのエネルギーを補給しなければ、いつか倒れてしまう…。

だけど、毎日ちゃんと眠れているわけではない。
毎日脳と体の状態が違うように、
その日によって眠りが良かったり、悪かったり。
体の痛みで、眠りが浅くなってしまったり、
今の時期なら、暑くて寝苦しさを感じることもある。

朝4時半まで目覚める事なく、
夢もそれほど見ず眠れた時は、
今日の睡眠は良かったーと、自分を褒めてあげたい。


日々の悩みが、
睡眠中の夢に出てこない事は、
わたしにとって、とても重要な事だった。
脳裏にこびりついて離れないのは、
不快でしかなかった。

そのため寝る前に色々な事をした。
ストレッチやヨガをしたり、
瞑想や瞑想音楽を聴いたり、
最低の音で落語やラジオを聴いたり…。

何か別のことに夢中になって、
寝る前くらいは、
悩みの塊を粉々に散らしてしまいたかった。
頭の中に宇宙のような空間が広がるように、
全てから解放されたかった。


だから、寝る前にすることは、
全て記憶に残らなくていいと思った。

記憶に残らない事を願う人なんて、いるのかな。
誰しも、誰かの記憶に残りたい。
わたしも本当ならば、誰かの記憶に残りたい。

けれど、24時間情報が溢れた世界で、
記憶に残らない選択も、
あっていいと思った。

疲れきった人に安らぎを与えるその一瞬。
その一瞬だけ、
フワフワした泡になってその人を包み、
やがてその泡は、自然に…ゆっくりと消えてゆく…。

悩みと一緒に消えてゆく。

安らぎを与える引き換えに、
誰の記憶にも残ることはしない。


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