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小さな種は先生だった

穏やかで優しそう、大人しそう…
そんな言葉を、小さな頃からたくさん言われ続けてきた。もちろん今でも変わらない。
その度に心の中では、どうして外見でそう決めちゃうかなって思ってた。

ほんとは、せっかちな人間だったから。


何かを始めた時、すぐに結果を出せる人はどのくらいいるのかな。
今考えれば、簡単ではないことは理解できるけど、子供時代のわたしは分からなかった。
すぐに結果を欲しがる人だった。

1位という輝かしいモノを何も取ったことも、頂いたこともなかったわたしは、
何かで、"スゴイね!"って言われたかったのかもしれない。
何かで結果を出したい、それも早く出したい。
そんな気持ちでいた。

もちろん、うまくいったことは一つもない。

祖母が昔、"短気は損気なんだよ"ってわたしによく言ってた。

今ならよく分かる。


若い頃は大嫌いだった家業の農業を40代に入る前くらいから、手伝い始めた。
それがきっかけで野菜や花を種から育て始めた。
そこで学んだことがあった。

小さな小さな種。
種は、
水を与えられ、
少しずつ硬い殻を破り、柔らかい葉をだす。
毎日時間をかけて少しずつ成長し、
花が咲き、
実になり、
色をつけ、
甘さをつけ、
わたしたちのために時間をかけて、育ってくれる。

すぐに結果を出そうとせず、じっくりとじっくりと育っていく。

その時、
わたしに足りないものは、
この過程ではないかと実感させられた。


スピードを求められるこの時代に
すぐ結果を出せないのは、
マイナスかもしれない。

だけど、小さな種に教わったことは、
わたしのせっかちを、少し和らげてくれた。
言葉のない先生だった。

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