マガジンのカバー画像

映画とわたしたち

20
映画及びドラマに関するエッセイ。(昔は批評めいてました)
運営しているクリエイター

#テレビドラマ感想文

『いちばんすきな花』

 一輪の花を差し出されて、必死に口角をあげようとしてみる。花束をもらったときの正解の反応も、「一番好きな花はなんですか?」と訊かれた時の答えも持っていない。それでもそこかしこで花は咲いているし、それどころか咲き乱れるという表現もあるほどだし花屋は同じ駅の中に2件ある、2社が乗り入れている程度のそれなりな駅だったのに2件ある。花に縁がないや。そんなわたしでも、好きな色ならば明確に答えることができる。わたしはとても赤が好き。瀧本緑というペンネームでものを書いてはや2年以上経つけど

『わたしの一番最悪な友だち』

 27歳になっても、面接が苦手なままだった。今日だってキャベツを15分煮込んだりむね肉を削ぎ切りしたりしたけれど、こんなこと転職活動のさなかではとてもできたことじゃなかったと思う。それくらいに面接のある日々というのは憂鬱だし、正直もう、会社員になれたのだから二度と面接をしなくていいとずっと思っていた。思うというか安堵していた、ここ3年ほどは。にもかかわらず欲をかいて、やれキャリアアップだと志してしまったばかりに「いちばん」苦手な行為であるそれとわたしは再び対峙していた。