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29・デイサービスに行ってみたけど

96才の母は要介護1になり、ケアマネージャーの人も来てくれていよいよデイサービスのデビューとなった。
半日の所と思ったがそれも朝早くて大変らしいので、とりあえず1日のところに決めた。民家で少人数の家庭的なところが見つかり 母と見学に行ってこれならと決めた。

私は、途中何度も心が折れそうになり、母には疲れて無理だから断ろう
と思うのだが、いろんな人にデイサービスは行ったほうがいいからと言われ 手続きを進めていった。

母は “あまり行きたくないけど 娘(私)が自由になるからがんばって行ってみよう” と思ってるらしかった。
私も、もしかして退屈な母の日常が変わるかもと思い、かつ自分に自由な
一日ができるという誘惑に勝てず、とりあえず準備を進める。
自分が無理してめまいで苦しんだ経験から自分を大事にしようと思うのだ。

で、母はディサービスに行きました。
夕方、ものすごく疲れた様子で母は帰ってきた。
いつも気ままに暮らしてるのに、気を使って大変だったんだろう。
母は「ディサービスの人にとってもよくしてもらった」と言うが ベッドに横になることもなく一日がんばったらしい。

私は 一晩眠れずに考えた。どう考えても母には疲れて無理だ。
そして心を決めた。ディサービスはやめよう。そう決めたら心がすごくラクになった。

自由にならない自分の日常にイライラし(コロナもあるのだが)解放されたいと思っていたのだ。母の水分補給や食事、おやつ、室温調節、着るものから 母が出来る家事や やることを考える、母に話しかけるなど、一日気を配ってる感じなのだ。
休みのない日常がどんな悪影響をおよぼすかは、身に染みてわかってる。
マズイ、この希望のない状態は!それで、ディサービスの決心をしたのだ。結果、無理とわかったが、やってみた価値はあった。

まず、ディサービスは無理だとはっきりして、心が決まったこと。
母は ボケ予防に 折り紙などして新しい趣味を開拓するのは無理だし、他の場所に行くのも無理。少しずつ物忘れが多くなり、出来ることも少なくなってきたが それが年を取るってことなんだ。あらがってもしょうがない。母が何より気に入ってるこの家で 衰えつつのんびり余生を過ごしてもらおう。

母は私に「好きなように出かけていいんだよ」と言ってくれてる。
でもディサービスの日に私も出かけてみたら 半日もたたないうちに疲れて、結局、母がいるときと同じように2~3時間で帰ってきたのだった。
こっちも年を取って一日出かけるのが苦痛になってきたと気づいた。
これじゃぁ、母がいるときと変わんないじゃないか。

それに、デイサービスの緊急連絡だが、私は携帯電話をやめてる。
スマホはめまいがするようなクルクル感がイヤだし、夫も私も携帯をやめてからスッキリして 今さら携帯電話など持ちたくない。

母のバッグもしばらくぶりに取り出してみるとだいぶ古くなってる。
デイサービスに行くとなりゃバッグや服も買い替えなきゃなあと思っていたが、母の着やすい服はなかなか見つからない。
家用の服はいいのがあるのだが、外出となると 少しおしゃれな服もある程度数が必要だしなあ。

耳が遠くなった母に 以前買った補聴器を試してみると、使えなくなっていた。母が補聴器はあまり使いたくないらしくほおっておいたのだが、そうするとダメになることがあるらしい。これじゃ会話ができなくてつまらないだろうから、いいのを買わなくちゃダメかなと思案中だった。

あれやこれやのめんどうがデイサービスに行かなくなると一気に解決した。

母はお風呂は毎日ひとりで入ってるし、朝食と夕飯はしっかりごはんを食べてるので、お昼は軽いパンか麺がいいのだ。デイサービスのしっかりした昼食もお風呂も必要ないのだ。

そして、私も気楽に出かけたり好きにやろうと思えた。

あれもこれも、一日デイサービスに行かなけりゃ心に落ちなかったことだ。子供を幼稚園にやる親のように心配はつきなかったけど、試してよかった。私のためにとがんばってデイサービスに行ってくれた母にも感謝。
そして今、デイサービスをやめて 母も私も心から安堵している



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