「ペイン」 作詞作曲 ヒグチ リョウ

「吐き出してしまえよ」 あなたはそんな風に 言うのね
「はじめは苦しいかもしれないけど すぐに楽になるさ」
なんて
吐き出すときの 苦しさなんて 大した事じゃないわ
あなたは優しく 私の背中を さすってくれるだろうし
けれど
私が 吐き出したモノを その手にすくい取って
自分のモノのように 口に含むことが出来るの?
そして
あなたの中に 飲み込んでくれるの?
ねぇ

「君らしくないよ」 どうしてそんな事を 言うの ねぇ
「どんな時でも君は前だけ 向いていたじゃないか」
なんて
「らしくないよ」 ってなんなの 自分勝手な台詞
いつでも自分の 理想の型に あたしをはめようとするの
けれど
あたしは いつだってあたし どんな時でもあたし
全部知ってるみたいに 勝手に否定しないでよ
そして
あたしの知らない あたしを消してよ
ねぇ

わたしを抱いてくれるときは あなたはいつだって前からで
わたしの脇腹に付いている 無数の傷を数えたことなんて
あなたは 無いでしょ
あなたの傷を背負う覚悟を わたしはいつだって出来ているの
だからわたしは背中に傷を 一つたりとも負ってはいないの
あなたは どうなの

私が 吐き出したモノを その手にすくい取って
自分のモノのように 口に含むことが出来るの?
あなたの中に 飲み込んでくれるの?
あたしは いつだってあたし どんな時でもあたし
全部知ってるみたいに 勝手に否定しないでよ
あたしの知らない あたしを消してよ
ねぇ



*この歌詞は佐伯眞魚氏の作品集「青い痛み」の「嘔吐」「烏滸」「覚悟」の3つの詩から引用し1つの歌にアレンジしました        樋口 稜

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