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校正:街、町、漢字の使い分け。悩ましい問題

こんにちは。こんばんは。
今回は「町」と「街」について書きたいと思います。

統一すればいいというのはその通りですが、この問題は実は一筋縄にはいきません。

町:townのこと。またはstreet、区市町村のひとつ下の区画のこと。
街:街区のこと。市町村の中心地、street。
参考。
(通り:street)
(村:village)
(市:city)
(区:特別区23区[city])、政令指令都市の区[ward])
(首都、都:capital、大都市[metropolitan])

さて周辺の用語を見てみましょう。
「市町村」「城下町」「門前町」「町奉行」「町ぐるみ」「町おこし」「町外れ」
「ご町内(ちょうない)」「町内会」「下町」
「街明かり/町明かり」「街中/町中(まちなか/まちじゅう)」「街角/町角」
「中心街」「繁華街」「商店街」「スラム街」「金融街(ウォール街/ウォールストリート)」
「市内」「市外」「市役所」「市制」「市政」「市立図書館」

「町」の一つの使い方として「市町村」の「town」という意味があります。
この場合は「アルハンベル町」のように書き、基本的にこういう時は「街」の字は使われません。異世界でもだいたいそうです。
「森を抜ける道の途中には町があった。ベルドの町だ。今日はここで一泊する」
とまあこういう感じに使います。

「街」には上記の通り「町の中心地」という意味合いがあります。
「城壁を抜けるとそこには街があった。一面の家並みは圧巻だ」
こういうことですね。特に異世界の場合、城塞都市は内部が密集していて、城門の内側全部が街みたいな場合があります。
同じ「町/街があった」と書いてあっても状況によって字は異なります。
もちろん「町」を使っても間違いではありませんが「商店町」という風には普通は書かないので「街中(まちなか)」のことを指すときに揃えるとするなら「街」と書くことになると思います。

「街」の中には「貴族街」「住民街」「商業街」「スラム街」というような区画、街区があるときもあります。「貴族区」「住民区」「商業区」のように「区」という場合もありますね。
英語だと「street」=「通り」が使われることもあります。「貴族通り」「金融通り」ですね。

対して日本の場合では「御徒町」のように市町村の下の行政区画としての「町」もあります。「秋葉町」「城内町」「港町」といった塩梅です。

さて、どの「町」ないし「街」を指すのか、でその都度判断が必要です。
面倒ですが、置換で一発統合というわけにはいかないのは御覧の通りです。

最後に「ダウンタウン」と「下町」について。
ダウンタウンは直訳すれば確かに下町なのですが、意味は異なります。
ダウンタウンというのは「商業区」「繁華街」のことです。元々は地図で南側が下側だからだそうです。アメリカのマンハッタン島のウォールストリート金融街があるところが有名です。
アップタウンというのは住宅街がある丘の上のこと「なになにヒルズ」のイメージといえば分かりやすいと思います。
対して「下町」というのは「山の手」の対義語ですが「山の手」が江戸の右側(西側)で江戸城や大名屋敷、さらに東側の新宿方面は何もない荒れ地でした。「下町」は浅草、両国、葛飾など江戸城の左側(東側)の隅田川沿いで、古い長屋などがある住宅地や職人街のようなイメージでしょうか。

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