糞バイ5


1 AX-1

 今でこそマルチパーパスという概念が定着しているが、このバイクが出た当時はそんなものは無かった。そしてこの中途半端さが異常にキモがられ、全く人気が出なかったバイクである。

 この分野はホンダがAX-1で切りひらき、それをすぐにヤマハがTDR250で追う、市場が成熟してきたところでカワサキがKLE250アネーロで横からかっさらう、みたいな事をしていた。

 外国では見事このジャンルが花開いたが、国内では2010年以降じゃないのかな?このジャンルが受け入れられたのは。日本の場合このジャンルの楽しさに気付いていた人はこぞってBMWを買っていた。

 そう、昔の水平対向の妙にサスが長いBMWのあのシリーズである。ちなみに日本でこのジャンルが好きな人らは殆どがBMWに乗り、日本のバイカーの趣向である「オンでもオフでも速さを求める」という価値観から逸脱し、「旅、景色、苦労、思い出」をバイクに求めていたため、「ビーマー」と呼ばれて他のバイカー達からはウザがられていた。

 筆者はこの黎明期のマルチパーパス三種のうちどれが糞バイク道楽に当てはまるかを推考したのだが、KLE250アネーロはパラツインの146kg、カスタムベースの250としてはちょっと重い。そしてTDR250は2スト45PSの134kgという誰がどう見てもヤベー奴だったので取り上げない事にした。

KLE250アネーロ。前の記事で取り上げたNX4に似ている。カワサキは元々アメリカ市場から発展しただけあって外国にウケるデザインを作る。それにしてもこの頃のカワサキの色使いは独特である。ZXRシリーズも凄かった。
TDR250。レーサーTZのエンジンがベース。クソ速い。ショートコースならレプリカも敵ではない。ヤマハのマルチパーパスとは?白煙を上げながらけたたましい2ストサウンドを奏でてどこでも爆走する事か?景色なんて見えないよ速すぎて。

 一方AX-1は126kgと滅茶苦茶軽い。軽いバイクはどんな遊び方をしても楽しい。

前後オンタイヤにワンオフマフラー。うひょー楽しそう。
ガチモタ。ホイールはゼルビスのらしい。楽しそう。
ん・・・?なんか方向性良くわからないが、楽しそう。

 さて筆者ならどうするか。まずキャストホイールをスポークに交換してオフ適正を上げる。とは言えこのバイク、海外モデルのNX250ドミネイターの場合最初からスポークホイールである。

やっぱスポークのほうがしっくり来るデザインしてるなあ。

 但しこの海外版はリアブレーキがドラムである。うん!微妙。そしてフロント19インチだと絶対コーナーでアンダーになるから17インチで統一だ!!

 それモタードじゃんって突っ込まれそうだが、シート形状に注目して欲しい。これらの初期のマルチパーパスは使い道をアドベンチャーっぽく設定している割にシートがオフ車のままである。長時間走行はケツが痛くなってまず無理。アドベンチャーは無理なのだ。これは短時間で楽しむバイク、せいぜい1-2時間が限界のバイクなのである。

 フロント19インチのままでオフを楽しまないのかい?という声が聞こえてきそうだが、それなら普通にオフ車買ったほうがいいだろう。じゃあモタード化するんだったらモタード買えよ!みたいな更なる突っ込みが待ってそうだが、ここで見るべきはカウルの存在である。

 通常モタード車は高速道路の走行は糞キツい。だがこのカウルがある事により高速も楽ちんとなる。これは新ジャンルである。ドゥカティのハイパーモタードがモタードに別角度からアプローチしたように、これは新ジャンルを確立する可能性があるのだ。

後輪をディスクのままスポークに変えるにはNX650の後輪を流用すれば良いようだ。ディスクもそのまま使えるらしい。スペーサーが必要になるがこの人はワンオフで作ったらしい。https://forum.nx250.de/viewtopic.php?t=1572

 即ち高速走行+モタード。これをハイスピードモタードと名付けよう。名付け親は筆者である。で、今AX-1の最高速を調べたら147kmと出て来た。ちなみにKLE250アネーロは137km。AX-1の6速がロングに振られている証拠である。うーんもうちょっとパワー欲しいな。エンジン弄るか。

 AX-1のエンジンはMD21。もともとのシリーズはXLR250。但しXLR系統は全部空冷である。何でこれだけ水冷なのか。互換性はない。子のエンジンだけ独立しすぎていて何の移植も望めない。

 しかし諦めずに外国のフォーラムを漁っていたところ、どうも中国から出ている300ccキットというのがあるようだ。しかしこれ欠陥品でオイルラインを自分で穴空けて作る必要があるらしい。まあ、これはパスだな・・・

 色んな言語で検索をかけてみたがエンジンについては確固たるパワーアップ方法が全く確率されていない。読者の誰か知らないかな?

 
 さてじゃあ足回りに話を戻そう。再び外国のフォーラムチェック。

外国のマニアhは気合が違う。兄弟車三台持ち。


 レビューを見るとマルチパーパスなのにどちらかというとオン向き、と結構な割合で書いてある。よっしゃ、じゃあオンタイヤだ。どうせ砂利道程度だったらブロックにしても変わらないし。

 またリアサスに難があるようでどうも柔らかすぎるらしい。交換だ交換!しかもフロント17インチ化で前が下がった分、後ろも下げよう。下げるのはショック自体を短くしても良いし、ショックの受け軸を下に溶接し直しても良い。

多分足まわりはこんな感じになる。写真のバイクはNX650 フォークとフロント NX650 ホイールハブ/NX650 リアホイールリム搭載。NX250 ホイールハブを使用すると、XL600R の 2.50-17 リアホイールリムを使用できると書いてあった。メモメモ。
このマスクかっけーな。BMW G650X-Moto から取ったらしい。これとカウルを一体化させて新しく作りたい。二つ目キモいし。
お!これはなかなか理想に近いぞ。マスクあたりのカウルをもうちょい膨らませたいな。そしてフロントフェンダーはいらん。

 尚上記のバイクのフロント周りの部品。
『KTM 48mm WP フォーク (2006 450smr 以降)、KTM トリプル クランプ、ブレーキ 320mm フローティング ローター、FTE ベリンジャー ラジアル キャリパー、ベリンジャー ラジアル マスター シリンダー、オール ボール レーシング nx250 ヘッド ベアリング
-オール ボール レーシング nx250 ヘッド ベアリングを受け入れるために、KTM ステアリング ステムを下に向けました。
- フォークを短くする必要があるかもしれません? 純正の nx フォークと比較して、フォーク キャップのアクスルトップから約 4 インチ長くなった。』

 リア
『オーリンズ 2000+ スズキ バンディット 600 ショック』

 またSV650のショックを移植している例もあった。足回りはなんとかなりそうである。


シールドは大型化したい。写真はカタナのシールド。アチェルビスのシールドも付くようだ。

まとめると筆者のやりたいAX-1改造
・前後17インチ、オンロードタイヤモタード化
・エンジンをなんとかしてパワーアップ、出来ればボアアップ
・カウルを膨らませて高速に対応させる。キモい二つ目は却下

 こんな所である。散文で済まない。しかし情報が本当にないバイクなのだ。

 今現在でも議論が活発なフォーラムはこちら。
https://forum.nx250.de/index.php
 (ドイツ語)


2 フリーウェイ MF03

 最強通勤快速バイク、それがフリーウェイである。コンパクトな車体、なんと10インチのホイール、デカいメットイン。今でこそこの手のコンパクトで排気量の大きなスクーターは人気が出てきたが、フリーウェイが出て8年後くらいのスクーターブームはどいつもこいつも車体が馬鹿デカくて、単に金のない若者がVIPカー代わりに乗っていただけであった。

 この小さいスクーター車格に大きなエンジンは2015年あたりにホンダがインドネシアでバリオ150を作った時に一つのジャンルとして確立されたがそれまではこのフリーウェイの独壇場であった。バリオ150のホイールサイズ、フリーウェイより100ccも少ない排気量という点を勘案すれえば未だにフリーウェイが有利である。またホイールのサイズもバリオは14インチ。フリーウェイのほうが小回りが効く。

 というかバリオ150ってネシアでは20万くらいなのに日本で買おうとすると40万くらいしやがるので6万―12万で投げ売りされているフリーウェイの勝ち。

 近所にフラっとお出かけ。なんか用事出来たから高速でも乗るか。小さいから駐輪もなんか場所簡単に見つかるだろ。こんなノリで乗るのには最高の足バイクである。筆者は昔大手町のイタウ銀行に隔日で用事があったのでガチでこれが欲しかった。

 筆者と同じ事を考えていた人は多いようで、ビッグスクーターブームが丁度終焉を迎えた2007年頃にフリーウェイを改造する人が多く出て来た。右足後輪ブレーキが難点であったが、左手ブレーキに改造した車体がすぐに出回った。

典型的改造フリーウェイの例。センスがない。風防取ってどうする。

 このバイクについてはエンジンを弄る必要は全くない。ノーマルマフラーはちょっともっさりし過ぎているので変えるのが良い。エンジンを弄るのはそれだけで良い。

 問題は足回りである。フリーウェイは足回りが貧弱。そして殆どの中古フリーウェイはリアサスがヘタっている。または折れかけている。謎の中国製リアサスがあるのでそれを付けよう。なんか中国人ってバイク禁止されてるのに日本の絶版車のバイクの部品作ってるよな。どこで乗ってるんだろう・・・それとも滅茶苦茶なマニアが警察の目が届かない奥地にでもいるのか。絶版車乗りとしてはありがたいが、採算取れてんの?


 で、外装である。実用性を出来るだけ残しつつ、古臭さを隠さなければならない。まずプラスチックのインナーの部分、大抵の車両はここが経年劣化で変色している。ここを塗らなければ駄目なのだが、昔のビッグスクーターの改造のノリでここを明るい色にしてしまうとイタいバイクになってしまう。

イタい例
うう・・・

 そして風防を取ってはならない。筆者がチェックしたカスタムの中で合格点は以下のこいつらだ。

ガンダム感あるな
これは滅茶苦茶センスある
うむ


 ここから珍車

は?
PS250乗れよ・・・


 そこの貴方もフリーウェイで通勤快速を作ってみないか?





3 TDM850または900

何故かこの98年型が一番投げ売りされている。顔がロックマンの敵キャラ。

 今日の最後はコイツだ。TDM850。カワサキのZR-7Sと迷ったがあちらは空冷4発の5速で族車改造くらいしか選択肢がないのでこっちにした。このバイクヨーロッパでは飛ぶように売れたらしく、その反動で2023年現在あちこちで投げ売りされている。

この900も結構投げ売りされている。

 ヤマハのこのミドルクラス並列二気筒シリーズは人気の波が激しく、確かFJ600なんとかかな?それも投げ売りされている。多分みんな乗ってすぐ飽きてしまうのだろう。思えばTRXも酷評の嵐だった。ちなみにTDMはだいたい20万前後で投げ売りされている。

話題に上がったTRX850.形を見てわかる通りTDMと同じスーパーテレネベースの5速エンジンである。

 このTDMはデュアルパーパスかな?と思いきやオフを捨てよりオンに向けたモデルである。その証拠にホイールは前18、後ろ17インチと滅茶苦茶中途半端な構成になっている。

 そしてタイヤはオンロード。これは筆者が前述のAX-1で作ろうとした高速モタードとほぼ同じコンセプトである。じゃあそのまま乗れば良いじゃん!という声が聞こえてきそうだが、糞バイク魂とはカスタム魂。目立ちたい!!

 オフ車のメリットの一つにハンドル位置が高く、乗用車のミラー位置とカブらないのですり抜けがしやすいというのがある。このTDMもそれに当たる。パラツインで車体が細い。しかもライディングポジションはオフ車と同じ直立、つまり楽。

 ここから選び出される答え=公道最速、つまりストファイ。検索すると出てくる出てくる。

うーん、サイドカウル外すと個性消えるな・・・
没個性
駄目だ・・・


おっ!かなりいい!!ショートマフラーも決まってる。

別角度から。これは当たり。


これもいいな。上のやつとシートとホイールは同じか。


優勝

 但し前18、後ろ17インチのバランスは実走してみる必要がある。筆者の予想ではかなりアンダーステアな感じになると思う。

 今日はこの辺で。次回最終回か今回で最終回。そろそろネタ切れ。


 

 

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