中華文明が覇権を握るためには

 現在、中国が破竹の勢いで世界を牽引している。このまま順当にいけば過去のアメリカのように世界を制覇する事が出来るだろうか。筆者の答えはノーである。

 アメリカは軍事、経済的にも強かったが、文化力も高かった。よって他国を文化的侵略出来た。実は世界の覇権を握るにはこの文化的侵略が重要で、軍事的、経済的なんてのはオマケでくっ付いて来るに過ぎない。

 1980年代にどっかの学者が預言した言葉に、「世界の若者はカリフォルニア化していく」というものがあった。果たしてその通り、世界の若者はカリフォルニア化した。

 ギラギラした改造車に乗り、ファーストフードを食べ、HIPHOPを聴き、ダボダボした服を身にまとった。世界中がカリフォルニア文化に飲み込まれたのだ。東海岸のニューヨークスタイルが流行したわけではない。世界中がカリフォルニアに憧れを抱き、真似したのだ。

 世界中の優れた人材が西海岸に集まり、世界を牽引していった。同じような事を中国が出来るかというと上述の通り答えはノーである。それは白を聖とし、黒を穢とする文化があるからだ。では中国が直面している二つの問題を解説しよう。



1 深刻な嫁不足

 いきなり話のレベルがダウンしてしまったと思うかもしれない。しかしこれは巡り巡って日本が直面している少子高齢化に直結するので中国としては文化力云々以前に必死にならなければならない問題である。

 基本的に先進国というのは女の質が低下する。ついでに値段も高くなる。中国の場合一人っ子政策の影響で女児を堕胎してしまう習慣があったので男女比が滅茶苦茶偏っており、ますます女の質が低下し、値段も高くなっている。

 普通にしていると非婚からの少子化となるので、どの先進国も発展途上国から女を引っ張ってくるパターンが多かった。例えばヨーロッパは東欧から、アメリカは南米から、中東はインドからなんてのが代表例である。

 我々日本の場合は東南アジアが多かった。2000年以前だとそれこそ中国が多かったが、中国が経済的に発展したため、中国人の女にとって日本は魅力のある土地では無くなった。

 さて、では中国人が同じように東南アジア、またインド、現在盛んに投資しているアフリカから嫁(婿)を引っ張って来れるのか、答えはノーである。ここで「白を聖とし、黒を穢とする文化」が脚を引っ張る。

 「白を聖とし、黒を穢とする文化」これは肌の色の事である。中華文明では白はホーリーであり、黒はダーティーなのである。しかもこれは絶対である。これは差別というよりは、違う生き物を見る目に近い。

 中華文明では黒人やインド人の存在は無かった事になっているのである。特にコンサバティブな1990年代以前生まれの人間にとって、肌が黒い人々の存在はエイリアンである。別の惑星の違う生き物くらいに思っている。

 しかも中国には「孝」の精神がある。よっていかにリベラルな外国育ちの息子/娘が肌の黒いパートナーを見つけたとしても、両親及び一族が反対する。彼等にとっては親>>伴侶 は当たり前である。一族及び両親の恥となるならば、結婚はしないのである。

 であるからして、物理的に子孫繁栄が難しいのだ。文字通り国内は深刻な非婚現象/嫁不足に陥っているし、アメリカ人のように最初から人種を跨ぐのが前提なわけでもないから、国外に拡散していきようがない。中国人同士で内輪でやっていくしかないわけである。これが問題その1である。



2 肌の色によって格が付けられてしまう文化

 「白を聖とし、黒を穢とする文化」では肌が黒いだけでもうロウクラスとなる。この絶対的基準がある限り、黒い人々が中華文明を受け入れるわけがない。何せ「美しい、ブサイク」という感覚ではないのである。「白は上!黒は下!」なのである。

 例えばある時、日本の東にいきなり超文明を持った大陸が浮上してきて、そこが絶大パワーを発揮したとする。ところがそこにいる人間達が、「青い目以外は人間じゃない、穢れている。人間として下だ!」とかのたまっていたらどう思うだろうか。日本人はそこに出稼ぎに行きたい、とか思うだろうか。

 同じ事が中華文明圏で起きているわけである。肌が黒い人々は中国本土生まれで普通語と現地語を堪能に操り、漢詩に詳しく、習字が超一流だったとしても絶対に中華文明の一員として認められる事はない。穢れているからである。

 ただ肌が黒いだけで、絶対に認められる事はない。これが中華文明が抱える最大の問題点である。この価値観がある限り、世界に冠たる中国、中華、とはなれないわけである。これが問題その2である。


3 どうしたら「白を聖とし、黒を穢とする文化」を根絶できるか

 これは非常に難しい。実は昔のアメリカも白人しか認めないという風潮があったが、アメリカの場合はその白人自体も移民だったので白人も黒人も同時に歴史を作っていく事になったのが功を奏した。

 ところが中国には既存の文明がある。オマケに白人を「肌が白いから尊い」なんて崇拝している始末である。90年代以降生まれこそこの価値観は薄れてきているが、根絶はなかなか難しい。

 筆者が中国共産党の幹部だったら、いきなりアフリカ人やインド人と結婚して人民の度肝を抜いて価値観をぶっ壊す作戦に出るが、実際の彼等は親と親族を気にしているのでそんな事は出来ない。手詰まりである。



4 日本はどうするべきか

 実はこの「白を聖とし、黒を穢とする文化」は日本にはない。日本は東アジア、東南アジアの中で唯一「ガングロギャル」や「日焼けマッチョ」が流行った稀有な国である。

 日本の場合は言語が非常に大事で、見た目が黒人だろうと白人だろうと、阿吽の呼吸で日本語が操れるかどうかが大事である。これさえできれば日本生まれでなくても日本人になれる。

 日本の体勢派は移民受け入れに反対なようだが、正直氷河期世代の未婚率を鑑みると、移民を入れないと少子化からの労働力不足問題の解消は不可能である。

 そこで筆者は日本の持つ文化力、そして日本文化の持つ寛容性を生かして、言語さえ完璧ならどんどん受け入れるべきだと考えている。体勢派の多くは外国文化に日本が飲み込まれる事を恐れているが、日本の文化力は相当に強い。

 筆者は今ボスニアなんて僻地にいるが、ここでも「カラテ」「ジュードーカ」「モッタイナイ」「センセイ」をはじめ日本語の単語はそこら中に溢れている。日本の文化は強いのだ。

 体制派が心配しなくても知識人を保護し続ける限り、日本文化は守られ、日本人が消滅する事は絶対にない。語彙は知識のある人間の言語に合わせられる。日本人全体が勉強を辞め、外国語の語彙に頼るならひょっとしたらひょっとするが、知識の蓄積量を勘案するとそれでも日本語及び日本文化は滅びないと考えるのが普通である。

 以上


追記

見た目と言語の例

「見た目が日本人なら言語に少々違和感があっても日本人だと思える。見た目が外国人ならどんなに日本語が流暢でも日本人ではない!」と言う人は以下の二つの動画を見てみてほしい。(決してディスっているわけではない)


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