⭐『日経ビジネス』の最新号から注目記事を3本選りすぐってご紹介します。「時事深層」は主に若手記者の独自取材に基づいて執筆された記事です。最近では1記事ごとに見開き2ページにまとめられています。
<2023年10月16日号から厳選した記事は、次の3本です>
1 アマゾンがアレクサに導入 生成AI、リアル世界の司令塔に
2 EV急速充電器の規格争い テスラ、使い勝手で日本に圧勝
3 ウォーレン・バフェット氏も指摘 米景気、軟着陸阻む「時限爆弾」
1 アマゾンがアレクサに導入 生成AI、リアル世界の司令塔に(TECH 時事深層)
生成AI(人工知能)がいよいよPCのブラウザーやスマートフォンのアプリを飛び越えて、物理的な世界につながろうとしている──。
5つの新機能
①パーソナライズと文脈の理解
②会話機能の強化
③アレクサ自体の人格
④「リアルな世界との接続」
⑤「信頼性」
セキュリティーシステム
ソフトウェアで対応
著者 島津 翔しまづ・しょう
シリコンバレー支局
大学院にて建築家・内藤廣に師事した後、2008年に日経BP入社。建設系専門誌記者、日経ビジネス記者、日経クロステック副編集長を経て、2022年10月から現職。ビッグテックや大手半導体、米国スタートアップを取材中。
⭐コメント
「生成AIが進化し、いよいよ物理的な世界につながろうとしている」というところまで来ました。これからも進化は加速していくことでしょう。
私たちは情報を収集するだけでなく、利活用するためにリテラシーの向上に励むことが欠かせません。
2 EV急速充電器の規格争い テスラ、使い勝手で日本に圧勝(MOBILITY 時事深層)
電気自動車(EV)の急速充電器の規格争いで米テスラの存在感が高まる。欧米の自動車メーカーだけでなく、日産自動車やホンダも米国ではテスラ規格を採用すると発表。日本も独自規格の普及を進めるものの、実際に比べてみると、使い勝手の良さでテスラに軍配が上がる。
EV急速充電器の5つの規格
日本の現状
スーパーチャージャーとチャデモを充電速度で比較(スーパーチャージャー)
スーパーチャージャーとチャデモを充電速度で比較(チャデモ)
スーパーチャージャーに軍配が上がる
データの収集と活用
ガラパゴス化が再現される?
著者 薬 文江 やく・ふみえ
日経ビジネス記者
2011年日本経済新聞社入社。証券部や企業報道部で、電機・IT、スタートアップ、中国テック、商社業界などの取材を担当。22年4月から日経ビジネス記者。
⭐コメント
今後EV普及に伴いEV急速充電器の供給が不可欠です。EV急速充電器への電力供給は、太陽光発電や風力発電だけで賄えるのか懐疑的です。
また、どんなにEVが脱炭素を目指し、サステナブルな商品であっても、化石燃料を使った発電でEV急速充電器に給電するのであれば、脱炭素もサステナブルも絵に描いた餅です。
遅かれ早かれ原発再稼働の是非が議論される時期が到来するでしょう。
3 ウォーレン・バフェット氏も指摘 米景気、軟着陸阻む「時限爆弾」(GLOBAL 時事深層)
米株式市場では9月に発表された経済指標の底堅さから「ソフトランディング(軟着陸)説」が有力視されている。「ハードランディング(強行着陸)説」を唱える著名エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏は四面楚歌。だが金融関係者は同氏の見解に近く、着々と不況の準備を進めている。なぜ市場と現場に乖離があるのか。背景にはウォーレン・バフェット氏も指摘する、知られざる「不良債権の種」があった。
米国の8月雇用統計
米国の住宅ローン(固定金利)
知られざる「不良債権」
商業用不動産ローン(変動金利)
金利上昇と需要低迷
軟着陸では済まない
著者 池松 由香ニューヨーク支局長
北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス編集部。19年4月からニューヨークに赴任。
⭐コメント
金利が上昇すると株価が下落するという事実が存在します。
とりわけハイテク企業が多く上場しているナスダック市場ではそれが顕著です。
投資家から見ると、金利高は企業の追加融資が困難になり、利息を含め元本の返済が厳しくなると考えられるからです。
一方で、米国の銀行は不良債権の先延ばしに躍起 になっています。
先延ばしをしても「その日」はやがてやってきます。
バフェット氏が「不渡りを出したくない銀行は、期限を延長するなど『数々の(よからぬ)行為』をしがちだ。それはやがて大きなインパクトとなり、必ずその『代償』を払わなければならなくなる」と述べたことは現実となるでしょうか?
🔷編集後記
「時事深層」は毎号7~9本の記事で構成されています。
主に若手記者が専門分野を自らの独自取材に基づいて精魂込めて執筆しています。最近では見開き2ページの紙面を十二分に使い、内容の濃さで「競い合って」います。
今後、そのような記事から毎回3本を(私の独断と偏見で)厳選し、お伝えしていきます。楽しんでいただけたら幸いです。
(6,918文字)
クリエイターのページ
日経ビジネスの特集記事(バックナンバー)
日経ビジネスの特集記事
日経ビジネスのインタビュー(バックナンバー)