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盛田昭夫 『21世紀へ』(010)

盛田昭夫 『21世紀へ』(010)

盛田さんは、『学歴無用論』というタイトルの本を書き、物議をかもしたことがあります。

当時のメディアは、盛田さんの真意を理解せず、皮相的な解釈をし、庶民に誤った情報を発信した過去があります。

盛田さんは、次のように書いています。

「学歴廃止は、学問して身につけてきたことを過小評価することではない。その人の実力をより公平に評価するため」で、「ただ単にタイトル(資格)をとるために(大学に)行くのであるなら意味のないことなのだ」
(『21世紀へ』 盛田昭夫 pp.62-3)

全くその通りです。反論の余地はありません。


『21世紀へ』 盛田昭夫
2000年11月21日 初版発行
ワック

目次

はじめに

第1章 経営の原則

第2章 人材の条件

第3章 マーケットの創造

第4章 国際化への試練

第5章 経済活性化の原理

第6章 日米関係への提言

第7章 変革への勇気

第8章 日本国家への期待

第9章 新世界経済秩序の構築

あとがき



第2章 人材の条件

「学歴無用、実力勝負」(1966年)から


働く人々が、適材適所で持てる能力を十分に発揮できるようにすることである

 日本の企業にとってもっとも大事なことは、企業全体に雇用の流動性をつけることによって、働く人々が、適材適所で持てる能力を十分に発揮できるようにすることである。

21世紀へ 盛田昭夫 028  p.59         



本田宗一郎氏(本田技研工業創業者)が“得手に帆をあげて”ということをいっておられるが、まさに得手に帆をあげさせることが必要である

 人材開発ということならば、やはりその人の得手に対して開発するということでなくては意味がない。本田宗一郎氏(本田技研工業創業者)が“得手に帆をあげて”ということをいっておられるが、まさに得手に帆をあげさせることが必要である。

 現在のような厳しい国際競争のもとにおいては、とくに企業は個人の能力を最高度に発揮させる必要があるのではないか。

21世紀へ 盛田昭夫 029  p.59         


学歴廃止は、学問して身につけてきたことを過小評価することではない。
ただ単にタイトル(資格)をとるために行くのであるなら意味のないことなのだ

 学歴廃止は、学問して身につけてきたことを過小評価することではない。その人の実力をより公平に評価するためなのだから、その人がもし夜間大学へ行かなくても、それだけの実力があれば、それだけの評価はするし、自分の実力をつけるために夜間大学へ行きたければ、その人の責任において行けばいいのである。

 ただ単にタイトル(資格)をとるために行くのであるなら意味のないことなのだ。

 大学を出たら何年で課長というエスカレーター方式を期待するのが間違いなのである。

21世紀へ 盛田昭夫 030  pp.62-3         




盛田昭夫公式ウェブサイト



➳ 編集後記

『21世紀へ』を読み返して感じたこと

『21世紀へ』は、20世紀を全力で走り抜けてきた盛田さんが、このままでは日本がダメになるという危機感に、すべての日本人が気付いてほしいという悲痛な気持ちが伝わってくる本です。

盛田さんの「予言」はいみじくも当たってしまいました。
少なくとも現状においてですが。

この警世の書に書かれていることの多くが当たっています。
盛田さんの慧眼は本当に素晴らしいと思いました。

アマゾンや楽天でなくても、ブックオフ等で目にしましたら、ぜひ手に入れてください。なかなか見つからないかもしれませんが。

その内容の濃さと経験に裏打ちされた説得力のある文章に惹きつけられるでしょう。


🔴「学歴無用論」

この言葉の意味を取り違えて解釈し、この世に広めたメディアがありました。

盛田さんの趣旨を全く理解せず、センセーショナルな扱いをし、この言葉を聞いた人たちを誤った方向へ誘導したのです。

学歴廃止は、学問して身につけてきたことを過小評価することではない。(中略)ただ単にタイトル(資格)をとるために行くのであるなら意味のないことなのだ。

 大学を出たら何年で課長というエスカレーター方式を期待するのが間違いなのである

と述べています。

ソニーは入社したら、どこの大学出身かは問わないということで有名です。結果的に「ある」大学出身者が高い評価を受け、上位のポジションに就いたとしても、それは本人の実力が評価されたためであり、何々大学出身だからではないのです。



盛田さんは、一点の曇りもなく、自分に正直で、言行一致した行動派の経営者でした。また、今ではなかなか見つからないダンディなジェントルマンでもありました。表現がダサい? 古い?



⭐ソニーの現状 (ソニーグループの子会社)


ソニーを日本企業とは知らない人たちがいることに驚きました。
さらに、ここ数十年で業態を変えてきましたね。
ソニーは「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」を扱う企業ということになりますが、半導体も生産していますし、得意な映像技術を深掘りしています。映画部門も持っていますね。

極論すれば、音と映像を2本柱にして、これらに関わる技術を開発し、横展開していると言えます。
ただし、ウォークマンが大ヒットしたあと、アップルの iPhone のようなスマートフォンがなぜ作れなかったのかと悔やまれます。技術力はあったはずです。目利きが及ばなかったのでしょう。
スマホがここまで世界中に受け入れられるとは想像していなかったのかもしれません。


⭐『21世紀へ』について

『21世紀へ』に関するこのブログを最初に投稿したのは、アメブロで9年前(2014-07-04 21:21:57)のことでした。

note に再投稿するにあたって、大幅に加筆修正しました。

『21世紀へ』の「はじめに」の1行目から2行目にワック編集部による
この本の説明が書かれています。

本書は、井深大と並ぶソニー株式会社のファウンダー(創業者)盛田昭夫によって、1960年代から90年代にかけて執筆された論文の集大成である。

21世紀へ 盛田昭夫 p.1  
     



ソニーは日本を代表する世界的企業であることに異論はありません。



✑ 盛田昭夫氏の略歴

巻末の「著者紹介」から

盛田昭夫(もりた あきお)
ソニー創業者。1921年生まれ。大阪大学理学部卒業。
海軍技術中尉に任官し、井深大と出会う。
46年、井深とともにソニーの前身、東京通信工業を設立。
ソニー社長、会長を経て、ファウンダー・名誉会長。
この間、日米賢人会議メンバー、経団連副会長等を歴任。
海外の政財界にも幅広い人脈をもち、日本の顔として活躍した。
98年米タイム誌の「20世紀の20人」に日本人として唯一選ばれる。
99年死去、享年78。
著書に『学歴無用論』(朝日文庫)『新実力主義』(文藝春秋)
『MADE IN JAPAN』(共著、朝日文庫)『「NO」と言える日本』
(共著、光文社)等がある。


⭐出典元



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