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メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.006





メルマガ 大前研一 ニュースの視点 有益な情報を得て、発想に結びつける No.006


はじめに

私は30年ほど前から大前研一氏の著作を読み始め、読み続けています。
大前氏の著作や動画等から非常に有益な情報を得るだけでなく、考え方・発想法などを学んでいます。

大前氏のメルマガ購読を10年ほど前に開始し、今日も続けています。
ただし、すべての記事にきちんと目を通したわけではありません。
そこで、メルマガ購読の登録を開始した当時に遡って、読み直すことにしました。

そうすることで書籍との関連性によってより深く理解できたり、10年にわたる大前氏の考え方の変遷を感じ取ることができると考えました。

大前氏が頭脳明晰であることは異論がないと思います。
他にも頭が良い人たちは数多いますが、その人たちと大前氏が異なる点があります。

それは、大前氏は自分の考え方や発言に間違いがあった場合には、すぐに認め、訂正することです。他の頭が良いと言われる人たちは、プライドが高く、自分の間違いを認めたがらないだけではなく、訂正しようともしません。


🔶お知らせ

大前氏は私より年齢が一回り上です。大前氏は今年80歳になられました。
事情ははっきりしませんが、2023年6月29日に、BBT(ビジネス・ブレークスルー)の代表取締役を退任されました。

ビジネス・ブレークスルー大学の学長職に専念されるということです。社会人教育に対して情熱を注ぎ続ける姿に頭が下がります。
日本を再興するためには、社会人教育が不可欠であるという信念を持ち、今日でも社会人教育に励んでいます。

私は、他のところでも何度も書いていますが、30代の頃から大前氏に私淑しています。これからも変わりません。


KON473【中国株式・影の銀行・中国経済・コマツ~過去の事例と照らし合わせて考える】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/07/05  8:26

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『中国株式・影の銀行・中国経済・コマツ~過去の事例と照らし合わせて考える』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

 中国株式 上海総合指数が急落
 影の銀行 「理財商品」残高 約130兆円
 中国経済 経済成長鈍化を容認
 コマツ 株価が一時5%安

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 ▼ 住専、サブプライムと同じ問題が中国でも起こっている
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 中国の代表的な株価指数である上海総合指数が24日に急落しました。

 前週末比5.3%安となり、心理的な節目である2000を約半年ぶりに
 割り込みました。

 そんな中、米ヘッジファンド、
 グランドマスター・キャピタル・マネジメントのパトリック・ウルフ氏
 は、中国の腐敗や不良債権の増加が危険な状態に達しており、
 今後株価が急落する可能性があるとの見方を示しています。

 今週は少し落ち着きを見せましたが、
 上海銀行間の金利は乱高下を続けていて、13%まで金利が
 上昇する局面もありました。

 上海総合指数は下降傾向が続いており、今中国は非常に
 手が出しづらい状況です。

 中国経済の大きな問題の1つは「シャドーバンキング」です。

 かつての日本の「住専問題」や米国の「サブプライムローン問題」
 と同じように裏金融が膨れていくという問題です。

 先月29日には中国の銀行業監督管理委員会の尚主席が、
 高利回りの資産運用商品である理財商品の2013年3月末の残高が
 8兆2000億元(約130兆円)に達したと明らかにしています。

 理財商品は銀行の通常の預金・融資とは別ルートで資金を集める
 中国の「シャドーバンキング(影の銀行)」の代表的な存在であり、
 理財商品を通じて企業や個人から集まった資金は主に地方政府の
 不動産・インフラ投資に流れています。

 地方政府の悪党役人が、自分のプロジェクトのために
 シャドーバンキングから資金を借りまくっているのですが、
 当然支払い能力がありません。

 中国経済のバブルが崩壊したとき、この問題が表面化してくるでしょう。

 日本が住専につけかえたように、中国もほとんど似たような状況に
 なるのではないかと思います。

 約130兆円という規模は中国のGDPの16%程度です。

 当時の日本よりはやや軽くなりますが、それでも中国経済に
 打撃を与えるに違いありません。

 多くのアナリストが、この問題を中国の「住専」、
 中国の「サブプライムローン」と判断し、警戒を始めています。

 中国の場合、中央政府が強引に問題解決に乗り出して資金を
 提供してしまえば、ある程度は対処できるかも知れません。

 しかしその場合には、これまで悪事を働いてきた人も
 救済することになってしまうので、舵取りが難しいところでしょう。

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 ▼ 中国経済は爆発寸前か?コマツへの影響は?
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 中国の習近平指導部が経済成長の鈍化を容認する路線に傾いています。

 前指導部時代が残した課題を一掃する政治的な思惑も働き、
 安易な景気刺激策には動かない構えです。

 そんな中、産経新聞のメディアが
 「中国経済、7月恐慌!6大時限爆弾が破裂寸前」と題する記事を
 掲載しました。

 輸出の鈍化、消費低迷などに加え、地方政府の巨額債務や
 「影の銀行(シャドー・バンキング)」など六重苦が連鎖しており、
 いったん火が噴けば、危機が連鎖する「複合恐慌」となりかねないと
 指摘しています。

 今、巷にはこの手の情報が溢れています。

 これを反転させるのは、習近平政府にとっても至難の業だと思います。

 ロバート・フェルドマンをして、バブル崩壊直前の日本経済は
 「逆立ち」しなければ良い面は見えてこないと言われましたが、
 まさに今の中国経済に関する報道も似たような状況になっています。

 中国経済のバブル崩壊という地雷は、まさにこの7月にも
 爆発するのではないかと言われています。

 中国経済に暗雲が漂い始め、日本企業にもその影響が見え始めてきまし
 た。

 25日の東京株式市場でコマツ株が一時、前日比120円(5%)安と
 急落しました。

 中国市場での短期金利上昇などを受け、現地ユーザーの資金調達が
 難しくなるとの懸念が台頭したためで、市場の関心は中国金融市場の
 動揺が建設機械市場にどう波及するかに向かい始めた模様です。

 コマツは中国でも上手に事業展開をして、かなり好調でした。

 しかしここに来て、やや中国での状況に変化が現れてきました。

 「日本(コマツ)が輸出するショベルカーなどに搭載されている
 GPS機能で、中国の個人情報を盗んでいる」などと報じられる
 事態も発生しています。

 ただ実際のところ、コマツの株価が下落したのは、
 中国経済がパワーダウンし、ブルドーザーやショベルカーなどの
 高額商品を購入できる企業が少なくなったからだと私は思います。

 中国の問題が大きく騒がれていますが、コマツの売上に占める
 中国の割合はそれほど大きくありません。

 中国よりも、アジア全体のほうが大きいですし、中南米、北米、
 オセアニアでも強さを見せています。

 全体的に非常にバランスが良い状態なのです。

 中国での問題によってコマツは久しぶりに問題を抱えていますが、
 それでもコマツの経営は安定しており大勢には影響はないと見て
 良いと思います。

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 この大前研一のメッセージは6月30日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON473のキーワード・キーセンテンス

1「裏金融が膨れていく」

2「シャドーバンキング(影の銀行)」


中国の「シャドーバンキング(影の銀行)」という言葉に示すように、事なかれ主義で問題が発生しても、問題に蓋をしてしまうという手段として、「シャドーバンキング(影の銀行)」を利用しています。

このオリジナルのメルマガの発行日をよくご覧ください。
2013/07/05です。10年前のことです。

しかしながら、中国の裏金融の温床は現在でも廃れていません。

ごまかしを行ない、問題を先送りし、うやむやにしてしまうのです。責任逃れです。

恥ずかしいことに、こうした行為は日本の金融機関や日本政府、官僚たちも歴史を振り返ってみるとずっと行なってきたことです。

中国政府は日本が行なってきたことをつぶさに研究し、実行しています。

悪事まで真似することはないと思いますが。

幸か不幸か、まだ中国の不良債権問題は最悪期には至っていません。
しかし、その一方で中国の不動産開発会社恒大集団の清算手続きが行われています。

中国恒大の清算申し立て審理、12月に延期-銀行への影響懸念も

不動産開発会社として世界最大の債務を抱える中国恒大集団に対する清算申し立てを巡る審理が12月4日に延期された。同社は、中国最大の再編計画を軌道に戻す最後のチャンスを得た。

審理は香港高等法院で30日に行われる予定だったが、リンダ・チャン判事が延期を決めた。

昨年始まった関連手続きは遅延が続き、同判事は「これが本当に最後の延期だ」と述べ、恒大は次の審理までに具体的な再編案をまとめる必要があり、そうでなければ裁判所が清算命令を出す「可能性が非常に高い」と説明した。

30日の香港株式市場で恒大の株価は一時23%安となった。恒大は9月下旬、土壇場で債権者集会を中止し、自社の再編計画を見直す必要があると発表。清算リスクが高まっていた。同社は約2兆3900億元(約49兆円)の負債を抱えている。

中国恒大の清算申し立て審理、
12月に延期-銀行への影響懸念も 
Bloomberg 2023/10/30 


中国恒大の株価推移 Bloomberg 2023/10/30


つまり、中国の不動産バブルが弾けたのです。そして、金融機関の莫大な融資資金や外国企業の投資資金が入っていますから、今後不良債権処理が深刻化することを忘れてはなりません。

ただし、中国の金融機関の多くは国有化されていますので、1998年の日本の金融機関の破綻とは異なる様相になるかもしれません。

中国国有大手5行、22年第1四半期の増益率が拡大 不良債権の減少で

中国当局は29日、金融の不安定化を回避するためにシステム上重要な銀行で、「ビッグ4」と呼ばれる4大国有銀行の中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行に対して損失吸収能力の強化を義務付ける規則を発表した。

Reuters 2022/05/02 



KON474【生保年金マネー・公的年金・国内住宅事情~長期的な時間の流れで考える】~大前研一ニュースの視点~ 2013/07/12 8:26

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『生保年金マネー・公的年金・国内住宅事情~長期的な時間の流れで考える』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

生保・年金マネー 米ミシガン州の火力発電所を買収
 公的年金 2012年度運用益 11兆2222億円
 国内住宅事情 40歳未満の持ち家比率 25年間で14pt低下

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 ▼ 日本の年金基金は、カナダなどから学ぶべきことが多い
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 三菱商事や企業年金連合会、みずほ銀行、国際協力銀行は
 カナダの公的年金と共同で、月内に米ミシガン州の火力発電所を
 買収すると発表しました。

 買収総額は2000億円弱で、民間資金によるインフラ整備が
 世界の潮流となるなか、株式や債券以外にも投資先を探す日本の
 年金マネーを呼び込むモデルケースとなる見込みです。

 今日本では金余り状態が続いていますから、
 非常に良いことだと思います。

 欲を言えば、日本の発電所も含まれていて欲しいところです。

 カナダの年金ファンドの運用実績を見ると、
 非常にしっかりしていることが分かります。

 インフラファンドへの投資家としては、公的年金基金、企業年金基金、
 保険会社、銀行、アセットマネージャー、
 そしてスーパーアニュエーションなどがあります。

 スーパーアニュエーションというファンドは
 オーストラリア独自のファンドで、リゾートなども取り扱っています。

 ですので、年金を買った人は、安い金額でリゾート地への旅行が
 可能になることもあります。

 引退したら、こういう仕組みを利用できるのは
 大いにメリットがあるでしょう。

 世界のインフラ投資ファンドを見ても、カナダ、アメリカ、
 オーストラリアは非常に経験豊富です。

 正直、三菱商事だけでは不安です。

 カナダの公的年金と共同というのは、良い勉強にもなるでしょうし、
 非常に良いことだと思います。

 日本の年金基金の運用利回りは、カナダ、アメリカ、オーストラリア
 に比べると、まだまだ低い水準です。

 国民年金と厚生年金の積立金を運用する
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2日発表した2012年度の
 運用成績は運用利回りが10.23%と過去最高になったとのことですが、
 逆に言えば過去最高で「10%」なのです。

 過去の運用実績を四半期別に見ると、マイナスの時期もあったので
 全体の平均では10%には遠く及びません。

 GPIFが公表している名目運用利回りの目標である3.2%にも
 届いていないことも少なくありません。

 一方、カナダやシンガポールの年金基金は、
 巧妙な運用で知られています。

 アベノミクスのフェイントによって瞬間風速で10%の運用利回りは
 すごいと言われても、今年の後半まで持つのかどうかさえ
 不安に感じてしまいます。

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 ▼ 今の日本では、持ち家ではなく賃貸のほうが圧倒的にリーズナブル
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 国土交通省は2日、2012年度の国土交通白書を発表しました。

 それによると、40歳未満の若者の持ち家比率が1983年から08年の25年間で
 42.2%から28.4%へと約14ポイント低下したとのことです。

 このニュースについて、私は非常にポジティブに捉えています。

 というのは、今の日本の状況に鑑みれば、持ち家ではなく
 賃貸という選択肢
を取るのは間違っていないと思うからです。

 日本は空き家の比率が13%もあり、地価は上がらない状況です。

 その上、今後人口は減っていきますから、さらに空き家は増えるでしょ
 う。

 この状況からすれば、無理をして持ち家を買うのではなく、
 賃貸のほうが明らかにリーズナブルです。

 しかも日本はこの十数年で年収も減っています。

 無理をして持ち家を買うために、数千万円の借金を抱えるのは
 得策とは思えません。

 自分で余裕を持って支払える範囲内で賃貸を利用するほうが
 良いと思います。

 フランスでは年収の5倍、ドイツでは8倍が持ち家価格の限界と
 言われています。

 日本はかつて年収の20倍の持ち家を買っていました。

 「将来間違いなく地価が上がるから今買っておかないと損だ」という
 時代であれば、確かに多少無理をしてでも持ち家を買うほうが得策です。

 とは言え、バブル時代の日本で地価が上がり続けると思って持ち家を
 買った人達は未だにそのときの借金を抱えている人が多くいます。

 非常に不幸な財務バランスになってしまっています。

 人生の財務バランスを考えた時、大きな金額で持ち家を買って、
 いきなり大きなマイナスからスタートするのは避けたほうが
 良いと思います。

 また住む場所を固定してしまうと、何かあっても自由に動くことが
 難しくなります。

 日本では持ち家がないとクレジットカードの審査で不利になるなど
 不便な側面もありますが、それを考慮しても、今の日本では
 持ち家ではなく賃貸という選択肢のほうがリーズナブルだと思います。

 それでも人生の最後には持ち家が欲しいという人もいるでしょう。

 そのような場合には、定年退職後に避暑地などでリーズナブルな
 家を見つけると良いと思います。

 そして、定年後の20年間住む家を持つというのも
 1つの選択肢ではないでしょうか。

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 この大前研一のメッセージは7月7日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON474のキーワード・キーセンテンス

1「インフラファンド」「インフラ投資ファンド」

インフラファンドやインフラ投資ファンドは、あまり耳慣れないファンドではないでしょうか?

インフラファンドとは、インフラ資産(再生可能エネルギー発電設備や公共施設等運営権等)を投資対象とする金融商品である。

インフラファンド Wikipedia 


国家レベルで重要なインフラ資産に投資する金融商品だと分かります。

インフラファンドに関係する記事が見つかりました。

三井住友信託がインフラファンド、狙いは?

三井住友信託銀行や日本政策投資銀行が中心となり、インフラ投資の1号ファンドをまず300億円で立ち上げ、2030年度までに5000億円規模に育てます。1号ファンドの50%は再生可能エネルギーの企業や太陽光関連向けに投資し、残りの30%を水道・ガスなどの社会インフラ、20%はデータセンターなどのデジタル関連施設向けとします。インフラ事業者は、資金調達源を多様化できるようになる利点があります。

三井住友信託がインフラファンド、狙いは? 
日本経済新聞 2023年9月5日 7:00
 


インフラに対する投資ということで長期運用が基本です。


2「持ち家ではなく賃貸という選択肢」

持ち家か賃貸かという二者択一は簡単なものではないでしょう。
日本では「持ち家」信仰が長らく続きましたが、賃貸を選択する人たちが増えつつあるようです。

地方に異動が決まると、持ち家では家庭を持っている人は別居を強いられることがあります。もちろん、家族で異動先に引っ越し、期間限定で持ち家を貸すということもできるかもしれませんが、難しいでしょう。

35年ローンはかなりの重しになります。

賃貸は通勤に便利な場所に借りることができ、転居も簡単です。

ちなみに私は両親が建ててくれた木造の一軒家に住んでいます。
住むところは確保できていますが、築40年以上となり、補強工事が必要になり維持管理が大変です。


KON475(永住権・オーストラリア経済・捕鯨問題~本質的問題をとらえて解決策を考える) ~大前研一ニュースの視点~ 2013/07/19 8:26

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『永住権・オーストラリア経済・捕鯨問題~本質的問題を捉えて解決策を考える』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

永住権 新たな永住権創設を検討
 オーストラリア経済 オーストラリア経済にもたらす「成長の果実」
 捕鯨問題 捕鯨裁判で日本側が反論

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 ▼ 永住権の創設だけで簡単に移民は増えない
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 政府は成長戦略の一環として優れた能力を持つ外国人を呼び込むため、
 経営者や技術者を対象にした新しい永住権の創設を検討する方針を
 発表しました。

 日本に3年間滞在すれば申請でき、通常の永住権では認められない
 配偶者の就労や親、家政婦の帯同が可能になるとのこと。

 専門性の高い外国人が長期滞在しやすい環境を整え、
 外資系の誘致や日本の研究開発力の向上につなげる狙いです。

 これは就労人口が年々減っている日本にとっては、当然必要なことです。

 似たようなルールはすでに適用されていますが、
 実際に永住権を取得する高度人材の外国人が急増しているわけでは
 ありません。

 住環境の整備、子供の教育問題など、何かしら外国人が
 日本に移住する妨げになっていることがあるのだと思います。

 今回の新しい永住権の創設だけで、オーストラリアのように
 多数の移民が日本に入ってくるという状況を作るのは難しいでしょう。

 日本は世界的に見ても、外国人労働者が少ない国です。

 米国は別格としても、ドイツやシンガポールにもはるかに及びません。

 シンガポールなどは能力を基準に永住権を付与していますが、
 この点も日本が苦手とするところです。

 工事現場での労働力として外国人労働者を雇うことはしてきましたが、
 特殊技能を持つ優秀な人材を受け入れることは、
 これまでの日本ではほとんど実績がありません。

 しかも当然のことながら、特殊技能を持つ優秀な人材は
 世界中の国から引く手あまたです。

 こうした点を考慮しても、日本が新しい永住権の創設をしても、
 それだけ簡単に移民が来てくれると考えるのは甘いと思います。

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 ▼ 日本はオーストラリアの移民政策に学ぶべき
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 ロイター通信は、移民受け入れで人口拡大、豪経済にもたらす
 「成長の果実」と題する記事を掲載しました。

 経済成長が続いているオーストラリア経済について、
 毎年約25万人に上る移民の受け入れが同国の成長要因の一つ
 であることは見過ごされがちと指摘。

 移民受け入れにより、住宅や自動車、教育から医療に至るまで、
 あらゆる分野での需要が支えられていると紹介しています。

 一時期、人口が1500万人から増えなかったオーストラリアが、
 移民受け入れに舵を切り、現在人口は2300万人近くまで
 増加しています。

 若く、能力が高く、高所得層の人材です。

 こうした25万人もの移民のおかげで、今オーストラリアは
 新興国のような特徴を持ち始めています。

 GDPの成長率も順調ですし、総じてオーストラリア経済は堅調です。

 かつて資源価格の乱高下によって、国の経済が影響を受けた頃とは
 明らかに違う国になっています。

 オーストラリアは2300万人の人口で、
 毎年、正味で20万人ほどの移民を受け入れています。

 同じレベルで言えば、日本は100万人規模の移民受け入れが必要です。

 私は常々、80万人の移民受け入れを提言してきました。

 このくらいの規模で移民を受け入れなければ、
 日本の就労人口の減少は抑えられないでしょう。

 GDPの維持すら難しい状況になると思います。

 ぜひオーストラリアを参考にして、移民政策を検討して欲しいと
 思います。

 そのためにも、日本は非建設的な役人体質から
 いち早く脱却することも大切でしょう。

 日本のくだらない役人体質が見事に表れてしまったのが、
 捕鯨問題です。

 日本の捕鯨は国際条約に違反するとしてオーストラリア政府が
 国際司法裁判所に起こした裁判で、日本側は2日、オーストラリアの主張
 は文化の押し付けだとし、捕鯨による両国の考え方は文化の違いによるも
 のだと反論しました。

 1946年の国際捕鯨取締条約では科学調査目的の捕鯨が認められており、
 日本はこれを根拠に南極海で毎年調査捕鯨を続けていますが、
 オーストラリアは日本が商業捕鯨という真の目的を隠ぺいしている
 と訴えています。

 毎年この議論は平行線をたどっているわけですが、
 率直に言えば日本の言い分は、嘘・イカサマです。

 調査目的と言いながら、鯨を販売しているのは明らかです。

 農水省の利権を守るためであって日本の文化・伝統も関係ありません。

 実は先日の裁判で、日本側にある1つの質問がありました。

 それは、
 「もし調査目的だと言うのなら、殺さずに調査する方法はないのか?
 キャッチアンドリリースすることはできないのか?」というものでした。

 実にシンプルな質問ですが、本質に迫る質問です。

 日本側はまともに回答することができませんでした。

 結局、調査目的などと役人のイカサマで物事を進めようとするから、
 こういう事態になるのです。

 「我が国の漁民の生活もあるので一定量の捕獲は認めて欲しい」と
 素直に言えばいいと思います。

 実際、アイスランドはそのように主張しています。

 日本はおかしな役人体質から脱却し、いい加減態度を変えるべき
 時期が来ていると思います。

 捕鯨問題に限らず、非建設的・非生産的な役人思考ではなく、
 問題の本質を的確に捉え、それを解決する思考を
 身につけて欲しいと思います。

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 この大前研一のメッセージは7月14日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON475のキーワード・キーセンテンス

1「永住権」

日本は少子高齢化が加速し、人口減少が明らかになっています。
そのため日本も移民の受け入れに取り組んでいますが、なかなか効果が出ていません。

その理由の一つは永住権の取得の壁が高かったことがあります。
そこで、「日本に3年間滞在すれば申請でき、通常の永住権では認められない配偶者の就労や親、家政婦の帯同が可能になる」ということでした。

現在はどうなっているでしょうか?

日本の永住権・永住ビザを取得したい!条件解説【2023年】を読むと、永住権を取得する条件は厳しくなっています。

永住権・永住ビザ取得の要件(条件)

①素行が善良であること(素行要件)
②独立生計を営む資産や技能があること(独立生計要件)
③その者の永住が日本の利益となること(国益適合要件)
④身元保証人の確保


これら4つの条件を厳密に適用すると、果たしてどれだけの移民を受け入れることができるか疑問に思いました。

このウェブサイトでは永住と帰化を比較しています。

日本の永住権・永住ビザを取得したい!条件解説【2023年】
コンチネンタル国際行政書士事務所
2023年7月23日

永住と帰化の選択は悩ましい問題ですね。


2「移民受け入れ」

オーストラリアでは移民の受け入れが上手くいったようですね。

「25万人もの移民のおかげで、今オーストラリアは新興国のような特徴を持ち始めています」という記述が印象的です。

「【オーストラリア】豪年間移民純増数、過去最高の50万人到達か」という記事を読むと、10年前からさらに増加しているようです。

財務省は、今年6月末までの年間の移民純増数が40万人に達した後、来年6月までの1年間は31万5,000人に減少すると予測しているが、同氏は、今年6月までの純増数が政府予測を大幅に上回る47万人に上り、さらに7~9月四半期に増加したと指摘している。  内務省の資料によれば、永住ビザの取得待ち人数は昨年度に64%増加し、受け入れ可能人数である19万人を大幅に上回っている。

Yahoo!ニュース 10/26(木) 11:30配信 



KON476【甲状腺被ばく・もんじゅ・節電対策・韓国電力事情~データに基づいて状況を把握する】 ~大前研一ニュースの視点~ 2013/07/26 8:27

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┏━■ ~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『永住権・オーストラリア経済・捕鯨問題~本質的問題を捉えて解決策を考える』 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

甲状腺被曝 100ミリシーベルト超の作業員 推定1973人
 もんじゅ 敷地内の断層調査を終了
 節電対策 家庭向け節電対策メニューを紹介
 韓国電力事情 韓国の電力危機に動じぬサムスン

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 ▼ 1ミリシーベルトの基準は除染利権を生むだけ
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 東京電力福島第1原発事故で、放射性ヨウ素を体内に取り込んだこと
 による甲状腺被曝(ひばく)線量(等価線量)が100ミリシーベルト
 を超える作業員は、推計で1973人に上ることが判明したとのことです。

 この人数は当初の発表よりもはるかに多い人数です。

 東電は最初から正直に発表する謙虚な企業姿勢を
 示すべきだったと思います。

 ただし、100ミリシーベルトを超えるからといって、
 早急に危険だということでもありません。

 例えば、統計値で見ると100~200ミリシーベルトだと癌になる確率が
 1.08倍になる試算です。

 野菜不足や受動喫煙がこの範囲にあります。

 さらに高い数値である200~500ミリシーベルトには運動不足、
 高塩分食品、500~1000ミリシーベルトには肥満、痩せ。

 さらには1000ミリシーベルト以上だと毎日3合以上の飲酒、
 喫煙者が含まれ、このレベルになると癌になる確率も1.6倍になります。

 もちろん100ミリシーベルトが安全だと言うつもりはありませんが、
 1ミリシーベルトを基準として大騒ぎするのは行き過ぎだと思います。

 先日、福島第一原子力発電所の事故の現場で指揮を執った吉田元所長が
 食道がんのため亡くなりましたが、これを福島での被ばくと
 関連付ける人もいるようですが、それは違います。

 0歳~5歳の子どもが100ミリシーベルトを超える被ばくを経験したとき、
 20年後に甲状腺がん、乳がんになったという事例はありますが、
 数年のうちに食道がんを発病するというのはまず考えにくいことです。

 以前、東京大学大学院教授が内閣官房参与を辞任しました。

 その際、記者会見で「10ミリシーベルトでは子供たちがかわいそうだ」
 と涙を流しました。

 この涙の辞任記者会見を受けて政府は発作的に、福島の除染を
 「1ミリシーベルトを目標に」となったわけですが、
 私に言わせれば1ミリシーベルトは自然の放射能と同じレベルです。

 1ミリシーベルトの除染を目指すとなると、
 永遠に除染は終わらないでしょう。

 結局、除染利権を生んだだけで全く効果はないのです。

 ただちに目指す水準を10~20ミリシーベルトに引き上げるべきでしょう。

 私としては、30ミリシーベルトくらいの水準でも問題はないと
 思っています。

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 ▼ 活断層の有無に関わらず、もんじゅは停止するべき
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 原子力規制委員会の調査団は18日、日本原子力研究開発機構の
 高速増殖炉もんじゅの敷地内にある断層について、
 2日間の現地調査を終えました。

 調査団の島崎委員長代理は「すぐ結論が出る状況ではない」
 と述べました。

 17日に指示した追加調査の結果を見てから判断する意向で、
 結論が出るのが長引く可能性もあるとのことですが、そもそも
 活断層によってもんじゅの再稼働を決定すること自体がズレていると
 私は思います。

 客観的に言って、活断層の有無に関わらず国民世論から見て、
 もんじゅの再稼働はありえません。

 稼働している期間に、ある程度のデータも取得できたはずですから、
 それを後世に残すことを考えるべきです。

 米国も英国もフランスも、高速増殖炉を停止しています。

 日本にしても、すでにもんじゅに1兆円規模の資金を投じています。
 もう潮時だと思います。

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 ▼ 今年の夏も、節電の工夫で乗り切れる
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 夏の節電要請を1日から行っている政府は、家庭向けの
 節電対策メニューを節電ポータルサイト(http://r34.smp.ne.jp/u/No/309244/GJibH2H7ci0D_232244/1307260010.html
 で紹介しています。<注:このサイトは現在削除されています。藤巻隆>

 例えば、エアコンの設定温度を26度から28度に設定すれば
 電力使用量を10%削減可能。

 日中の照明消灯で5%削減が可能になるということです。

 エアコンの温度調整など具体的な指示があって、
 これは有効な指示だと思います。

 さらに言えば、夏の甲子園をテレビで見るときなど電力消費が
 ピークを迎えるときには、エアコンを動かさないなど工夫をすれば、
 今年の夏も何とか乗り越えられるでしょう。

 一方で、電力危機問題が取り沙汰されているのが韓国です。

 日経新聞は16日、「韓国 電力危機、動じないサムスンの「特権」」
 と題する記事を掲載しました。

 23基ある原子力発電所の3分の1が不祥事などで稼働を停止するなど、
 この夏、未曾有の電力危機が訪れると指摘されています。

 しかしそうした中、サムスングループを筆頭に大手企業に混乱は
 広がらないということですが、これは中小零細企業など規模の
 小さい企業から電力カットになるため、当面の間サムスンなどの
 大企業は心配がいらないということです。

 率直に言って、韓国というのはとんでもない対応をする国だと感じます。

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 この大前研一のメッセージは7月21日にBBT Chで放映された  
 大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
 再構成しております。
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✅KON476のキーワード・キーセンテンス

1「除染利権」

何か事が起こったり、新しい試みがスタートすると、そこには必ず利権が発生します。

ごく一部の人間だけが利権によって甘い汁を吸い続けることができます。そのため利権を手放しません。当たり前の話です。

政治家や高級官僚だけがその恩恵に与かることができます。
そのようなことをいつまでたっても続けています。そんなことで日本はよくなるでしょうか?

先日、ドルベースのGDPで日本はドイツに抜かれ世界4位になる可能性があるという報道がされました。ドル高円安の現状ではそうなります。

現在1ドル≒150円ですが、例えば120円になれば状況が変わってきます。
円安ということは輸入品の価格が高いということです。

自国通貨が高いか低いかは国力の差ということになります。
現状では日本は国力が弱いということです。


2「もんじゅ」

大前研一さんは、日立製作所に勤務していた時には、構想増殖炉もんじゅの設計をされていたそうです。

そのため原子力発電所に関してプロも技術者でした。

2011年3月11日に東日本大震災が発生した際、大前さんはそのおよそ一週間後に、東電福島第一原子力発電所事故の状況とそのような対応をすべきかYouTubeで語っています。

もしご覧になったことのない方はぜひ一度ご覧ください。

地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録




✒ 編集後記

「メルマガ 大前研一 ニュースの視点」を読み返してみると、当時のことが断片的に思い出されてきました。10年という歳月が流れましたが、ところどころ記憶に残っていた個所があり、またその後の経過を確認することができています。

栄枯盛衰は世の常です。
それは、企業においても、個人においてもしかりです。

以前であれば、一流企業は安泰で、そこに勤務していれば定年まで安心して働けるという共通認識がありましたが、現在では「一瞬先は闇」です。

大前研一氏の先を見通す力や発想力、構想力、分析力、発信力、その他にも多数ありますが、私には何一つ追いつけるものはありません。

それでも、大前氏をグル(「指導者」「教師」「尊敬すべき人物」「師匠」)と仰ぎ、書籍や動画などを通じて、これからも間接的に指導を受けたいと思っています。


(16,728文字)


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)

大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。
MITで原子力工学の博士号を授与されています。原子力の専門家でもあり、世界的に著名な経営コンサルタントでもあります。

世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


「大前研一 ニュースの視点」というメルマガに登録したのは10年前のことです。毎週金曜日に配信されています。
2013/03/03 0:28
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ご登録いただきありがとうございました。


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メルマガに登録して、最初のメルマガが配信されたのは2013年3月8日(金)のことでした。
大前研一 ニュースの視点の通し番号にKON・・・となっています。
KO は Kenichi Ohmae です。N はナンバーです。


さて、私に最初に配信されたメルマガのタイトルは下記のようになっていました。

KON456【北方領土問題と韓国の新大統領~長期的な時間の流れで考える】 ~大前研一ニュースの視点~

通算で456件目だったのです。そのため、1~455のメルマガを読むことはできません。

ところが、調べてみたところ、2006年3月24日(当時は#106)以降であれば読めることがわかりました。


いずれの日にか、バックナンバーも取り上げます。



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