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日経ビジネスのインタビュー バックナンバー Vol.076 2013.04.01 ~ 2013.04.29・05.06



ここに掲載している内容は、管理人・藤巻隆が携帯サイトで運営していた当時のコンテンツです。

2007年1月8日号からスタートしています。1カ月分毎にまとめてあります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。データを消失してしまったため再現できません。


日経ビジネスのインタビュー バックナンバー Vol.076 2013.04.01 ~ 2013.04.29・05.06


✪ 2013.4.1 (No.1)<313>
ユニーク制度のデパート
大沢 哲也(おおさわ・てつや)氏
[日本食研ホールディングス社長]

2006年に工場を新設した時にも、どうせなら欧州風の建物にしたいという話になり、「KO宮殿工場」が完成しました。オーストリアのベルベデーレ宮殿を模していて、工場内には世界のいろいろな王様の調度品や、王室御用達の食器も展示しています。

大きかったのは、会社の知名度が向上したことです。工場が稼働している平日は、宮殿工場の見学ツアーを開催しています。休日も庭園を開放したりして、年間3万人が来てくれる。

「社員が主役になる経営」を進めています。きっかけは、急成長を続ける中で、家族経営を目指していたにもかかわらず、離職率が高くなってきたことです。

強みの1つは提案経営にあります。レストランや食品スーパーなどに社員が直接出向いて、課題や不満、要望を聞き、商品のよりよい利用法をお客様とともに考える。それが功を奏しているのだと考えています。


✪ 2013.4.8 (No.2)<314>
存亡の危機脱し、攻める英FT
ジョン・リディング(John Ridding)氏
[英フィナンシャル・タイムズCEO]

私は一般的な見方と異なり、ニュースメディアの将来に自信を持っているし、楽観視している。

電子版の立ち上げによって、世界中の辺鄙なところに住んでいる読者にもFTを届けられるようになった。これは紙の新聞ではできなかったことだ。

紙媒体には紙ならではの強みがあり、デジタルと両方が必要ということだ。

今後も、常に何が重要であるかを正確にかつ簡潔に伝えることで定評があるFTジャーナリズムを維持しつつ、編集に投資し続け、新たなサービスの提供を増やし、それによって読者から応分の対価をもらい、さらなる投資に結びつける好循環を維持、強化していく。新聞を巡る環境の変化がどこで落ち着くということはないからだ。 

*今週号には「編集長インタビュー」が掲載されなかったため、「世界鳥瞰」からインタビュー記事を掲載しました。


✪ 2013.4.15 (No.3)<315>
社長は“根回し係”でいい
野中 正人(のなか・まさと)氏
[しまむら社長]

消費に関しては手放しで喜べる状況ではありません。環境は間違いなく厳しい。

しまむらの一番の強さは安さです。ただ、流行遅れだったり、品質を落としたりしたら、お客さんは相手をしてくれません。日本の消費者、とりわけ女性が商品を見る目は厳しい。

当社には製造のノウハウがありません。モノを作るノウハウと商品を企画する力は専門メーカーにかなわない。私たちはあくまで小売りで、そこにプライドを持っています。

製造小売りを目指すよりも、取引先のメーカーに、お客様がこういうものを欲しがっていますよと伝えて、作ってもらう方が、ずっといい商品が出来上がってくる。仕入れに徹する小売りとして、まだまだ効率化できる部分がある。それを理屈通りに徹底してやっていくのが「しまむら流」です。


✪ 2013.4.22 (No.4)<316>
企業には「遊び」が必要だ
小池 利和(こいけ・としかず)氏
[ブラザー工業社長]

当社の主力であるプリンターなどの事業が、スマートフォンやタブレットなどの影響で頭打ちになりつつあります。例えば地図。スマホのアプリを使えば済むので、紙にあらかじめ印刷することはあまりなくなった。

みんなが参入するから、結局は思ったほど儲からない世界です。たしかに市場としては成長するだろうけど、うちは別にそういうマーケットじゃなくていい。ニッチでいいじゃないかと。成長分野だから追えとか、成熟しつつあるからやめておけということも言わない。

新規事業なんてだいたい1000に3つしか当たらないから、あまり大きく期待しても仕方ないけど、可能性があればやったらいい。ただ、あきらめる時は早くあきらめようと。

企業には、余裕とか遊びって必要だと思うんです。完璧な企業が出来上がって、明日から改善の余地がないほど立派というのは、つまらない。

1度失敗しても懲りないところが、うちの会社のいいところですね。


✪ 2013.4.29-5.6 (No.5)<317>
私の新人育成 天動説より地動説を信条に
上田 準二(うえだ・じゅんじ)氏
[ファミリーマート会長]

天動説から地動説のようにね。今までは、周りの天体が自分を中心に回っていた。これからは地動説です。共通の目的を持った人間集団の中で、自分から動いて周囲や社会と交わっていかないと仕事は成立しない。嫌だとか、付き合いたくないだとか、自分の価値観だけで物事は進められません。

自分の殻の閉じこもっていてはダメで、自ら周りに飛び込んでいかなくてはなりません。自ら感じて、自ら動く。そのためには、自分を変えにゃあかんと思いました。

自ら気づいて、動く。その秘訣は、分からないこと、怖いこと、嫌なことを避けないことです。 

*今週号には「編集長インタビュー」が掲載されなかったため、「実践の奥義」から記事を掲載しました。



🔷 編集後記


この元記事をアメブロに投稿したのは、10年前のことです(2014-02-10 19:48:34)。そして、オリジナル記事は11年前のものです。

読み直してみますと、「こんなことも書いていたのだな」「この個所に関心があったのだな」ということが思い出され、当時の自分の心境に思いを馳せています。

それだけ歳をとったのだと実感しています。

編集長インタビューの記事を読み返してみると、当時の経営者の心意気・信念・余裕・揺るぎない自信といったものが伝わってきます。

月日が経ち、自分だけでなく身の回りにも、環境にも変化があります。
しかし、経営に限らず、物事の本質は変わらないものです。

今回のインタビューの中から興味深い言葉を拾い出してみます。

野中 正人(のなか・まさと)氏
[しまむら社長]


の言葉から。

当社には製造のノウハウがありません。モノを作るノウハウと商品を企画する力は専門メーカーにかなわない。私たちはあくまで小売りで、そこにプライドを持っています。製造小売りを目指すよりも、取引先のメーカーに、お客様がこういうものを欲しがっていますよと伝えて、作ってもらう方が、ずっといい商品が出来上がってくる。仕入れに徹する小売りとして、まだまだ効率化できる部分がある。それを理屈通りに徹底してやっていくのが「しまむら流」です。

🔴「製造小売りを目指すよりも、取引先のメーカーに、お客様がこういうものを欲しがっていますよと伝えて、作ってもらう方が、ずっといい商品が出来上がってくる」

ユニクロとしまむらが比較されることがあります。
もちろん、企業の規模は異なりますが、どちらも自社で商品を製造していません。企画やデザインを自社で行ない、製造は他社に依頼しています。

ユニクロの製品価格が徐々に上がってきているとは言え、他社の同様な製品と比較すればまだ低価格です。しまむらも安さを重要視しています。

二社の大きな違いを言えば、ユニクロは世界展開している一方で、しまむらは日本国内で商売していることです。

衣料販売で難しい点は、需要予測です。気候変動によって酷暑があれば冷夏もあります。暖冬もあります。それらの季節変動によって、季節ものの売れ行きが左右されます。

地域の違いや世代による嗜好の変化も考慮しないといけないでしょう。
流行色も考慮する必要があります。

需要予測はどのようにされているのでしょうか?

ネットで調べてみたら、次のような実例があるそうです。ユニクロとしまむらの需要予測がどのようにされているのか、参考になると思います。

ただし、これはほんの一例でこれだけでその時の販売戦略が決定するわけではないことは理解しておく必要があると思います。


「ユニクロ vs. しまむら」
SCM戦略に合わせた在庫の持ち方


SCMとは、サプライチェーン・マネジメントのことです。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは、原材料の調達から製造、販売までを一元管理し、全工程を最適化するための経営管理手法です。製造業や食品業界、アパレル業界など、商品を製造・販売する多くの業界で導入されています。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは? 
意味をわかりやすく解説 
ITトレンド
 

流れを図示すると下記のようになります。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは? 
意味をわかりやすく解説 ITトレンド

話を戻します。

品切れと過剰在庫の抑制はトレードオフの関係にありますが、ここから大きく2種類のSCM戦略を考えることができます。

ひとつは、在庫がある程度増えることは容認し、品切れを徹底的に防ぐことで、売上の最大化を図るという方向性です。

もうひとつは、ある程度の品切れを容認し、在庫を極小化することでコストを抑え、利益の最大化を図るという方向性です。在庫を抑制することで保管費や人件費などの管理コストを抑え、経営指標である在庫回転率やCCC、ROAなどを向上できます。

「ユニクロ vs. しまむら」 
SCM戦略に合わせた在庫の持ち方
 


在庫を多めに持って「機会損失」を防ぐか、品切れを容認し利益の最大化を図るかというトレードオフ(二者択一)です。

ユニクロとしまむらはどちらの戦略を採用しているでしょうか?

ユニクロは品切れを抑制 しまむらは過剰在庫極小化

衣料品小売業において、対照的な戦略を採用している2つの企業があります。

ひとつはファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」で、品切れ抑制を重視する前者です。

もうひとつは、2010年代にユニクロに次ぐ売上規模となった「しまむら」で、過剰在庫極小化を重視する後者になります。

「ユニクロ vs. しまむら」 
SCM戦略に合わせた在庫の持ち方
 

ユニクロは機会損失を防ぐ戦略を採用し、しまむらは在庫を極小化する戦略を採用してそうです。

ユニクロのケース

需要予測の視点で考察すると、色やサイズが豊富な分、発売直後はそれらの構成比予測が難しかった一方、販売実績が蓄積されると、需要予測の難易度は低くなると想像できます。
(中略)
在庫戦略が重要になります。全社的なSCM戦略として「品切れ極小化」という方向性が示されている場合は、余裕を持って在庫を用意するという方針になります。

「ユニクロ vs. しまむら」 
SCM戦略に合わせた在庫の持ち方
 


ユニクロは「機会損失」を回避することに注力していると言えます。


しまむらのケース

しまむらは多くの社外のデザイナーから大規模な買いつけを行ない、売り切りを前提とした販売スタイルを採用しているそうです。

少量多品種展開でも採算が合うのは、店舗数の多さゆえです。ユニクロよりも圧倒的に店舗数を多く展開しているため、1店あたりの仕入れ数が少なくても、全国では非常に大きな数量になります。これにより、基本的には各店舗において、商品がいつまでも売れ残る確率が小さくなり、効率的な在庫運用が可能になっています。

「ユニクロ vs. しまむら」 
SCM戦略に合わせた在庫の持ち方
 


売り切りとは品切れと同じ しまむらは機会損失を容認

売り切りというのは見方を変えれば品切れであり、大人気の商品が出たとしても再生産はありません。そのため、販売機会を損失しているという見方もできます。しまむらはそれを許容し、少ない在庫で新しい商品を出し続けることで、販売機会の損失を補って余りあるほどの売上を達成できてきたのだと考えられます。

「ユニクロ vs. しまむら」 
SCM戦略に合わせた在庫の持ち方
 


対照的な戦略を採用している2社ですが、どちらも業績が良いのは自社に適した戦略を採用し実践し続けているからです。

ファーストリテイリング(9983)の今期の業績予想他

ファーストリテイリング(9983)
今期の業績予想 2024/02/01 株探
 


しまむら(8227)の今期の業績予想

しまむら(8227)
今期の業績予想 2024/02/01 株探


時価総額を比較すると、ユニクロは12兆4千億円に対し、しまむらは6千億円で、ほぼ 20 対 1です。ですが、両社とも年々業績が向上していることが分かります。

ちなみに、最寄り駅の2つの商業ビルにユニクロと、しまむらの店舗が入居しています。さらにGUも。



1回の投稿ごとに1カ月分にまとめたインタビューの概要を掲載します。
2007年1月8日号からスタートし、2013年7月までの6年7カ月分のバックナンバーだけで79件あります。

途中、数件記事が抜けている個所があります。

データを消失してしまったため現時点では再現できませんが、日経ビジネス電子版では「2011年10月から最新号まで」のバックナンバーが閲覧できるようですので、抜けている個所に該当する部分が見つかれば、追記します。

⭐ 『日経ビジネス』の電子版セット(雑誌+電子版)を「らくらく購読コース」で2022年9月12日号 No.2157 から定期購読をスタートしました。


「日経ビジネス 電子版使い方ガイド」(全24ページ)を見ると
「雑誌『日経ビジネス』のバックナンバーの閲覧について」で、
閲覧できるのは2011年10月から最新号と書かれています。
そのため、2008年8月18日、25日分の記事は確認できません。
しかも紙の雑誌は、はるか昔に処分しています。


『日経ビジネス』の記事を再投稿することにした経緯

再編集して再投稿することにした理由は、次のとおりです。
自分が当時どんな記事に興味があり、どのような考え方をしていたのかを知りたいと思ったからです。

当時の自分を振り返ることで、当時と現在で考え方は変わったか否か、あるいは成長しているかを確認したいと思いました。

記事データは当然古くなっていますが、本質的な部分は必ずあるはずで、しかも普遍性があります。その個所を再度学んでみたかったのです。

さらに言えば、『日経ビジネス』のバックナンバーをご紹介することで、この記事に目を通していただいたあなたに何らかの有益なヒントを提供することができるかもしれない、と考えたからです

「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」だからでもあります。
プロフィールから)


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