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1 環境に優しい肉のまずい現実 2 強硬姿勢が試す”人質”奪還能力 3 中国CATL、新型電池を欧州生産



⭐『日経ビジネス』の最新号から注目記事を3本選りすぐってご紹介します。「時事深層」は主に若手記者の独自取材に基づいて執筆された記事です。最近では1記事ごとに見開き2ページにまとめられています。


<2023年10月23日号から厳選した記事は、次の3本です>

1 環境に優しい肉のまずい現実

2 強硬姿勢が試す”人質”奪還能力

3 中国CATL、新型電池を欧州生産


1 環境に優しい肉のまずい現実(GLOBAL 時事深層)

米国販売1割減、株価は25分の1に



気候変動対策の旗手として脚光を浴びた「代替肉」の苦戦が目立っている。市場の大きい米国の小売店での販売額は2023年に1割近く減る見通しで、かつてビル・ゲイツ氏も投資した米社の株価はピークの25分の1に落ち込む。


食品関係者ら1000人近くが参加したこのイベントで振る舞われた十数種類の料理には、一つの共通点がある。いずれも本物の肉ではなく、大豆やえんどう豆といった植物性の材料から作った「植物肉」を使っていることだ。「ハンバーガーのパティの印象が強いので、どんな料理にも応用できると示したい」。イベントを企画した米NPO、グッドフード研究所(GFI)の担当者は話す。

GLOBAL 時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 072


培養肉

GFIは植物肉や、動物の細胞を培養して作る「培養肉」の普及を目指しているシンクタンクだ。

GLOBAL 時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 072
 


人工肉が売りのビヨンド・ミート(Beyond Meat)が鳴り物入りで市場に登場しましたが、最近はあまり話題に上らなくなりました。

見た目は確かに「肉」にそっくりですが、「味」はどうだったのかという点と、環境に良くても高価格とのバランスがポイントでした。

サンフランシスコのイベントで振る舞われた代替肉料理。
左上から時計回りにベトナム風ハーブサラダ、
担々麺、ギリシャ風サラダ、サンドイッチ、
チャーハン、ビリヤニ、タコス、
チキンのマッシュポテト添え
GLOBAL 時事深層 EV時代に消えてたまるか 
サプライヤー反攻


資金調達は容易ではない

「外は暑くても、ここでは厳しい冬を迎えている」。19年にカリフォルニア州で設立した培養肉スタートアップ、SCiFi(サイファイ)フーズのジョシュア・マーチ最高経営責任者(CEO)は皮肉まじりに話す。研究開発や製造設備への投資がかさむが、資金調達は容易ではない。「政府の販売承認を得てから出直して、と言ってくるベンチャーキャピタル(VC)もいる」(マーチ氏)

GLOBAL 時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
pp. 072-073 


米国では代替肉販売の落ち込みが顕著に
GLOBAL 時事深層 EV時代に消えてたまるか 
サプライヤー反攻


代替肉の販売実績

米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のネール・ラビ氏によると、23年8月23日までの52週間(約1年間)に米国の小売店で売れた代替肉は約13億ドル(約1900億円)で、22年の実績と比べて1割近く少なかった。18〜20年にかけて2年間で7割増えた後に停滞期に入っていたが、ここに来て落ち込みが鮮明になっている。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 073 


ビヨンド・ミートの業績は深刻

米代替肉大手ビヨンド・ミートの業績を見ると、深刻さがわかる。上場前にビル・ゲイツ氏の財団が投資していた業界の先駆者だが、23年1〜6月の売上高は1億9438万ドルと前年同期から24%減った。最終損失は1億1254万ドルに上る。「ダンキン」など取り扱いをやめた外食チェーンもあり、株価はピークだった19年7月の約25分の1に落ち込んでいる。

GLOBAL 時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 073
 


ビヨンド・ミートの株価はピークの25分の1に落ち込む
GLOBAL 時事深層 EV時代に消えてたまるか 
サプライヤー反攻


定義が不明瞭

ビヨンド・ミートのイーサン・ブラウンCEOは「植物由来の肉は『超加工品』という、定義が不明瞭で政治的なキャンペーンの暗雲のもとで苦しんでいる」と訴える。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 073 


「味や食感が消費者の求める基準に達していない」

19年ごろから顕著になったブームに乗り遅れまいと参入する企業が相次いだが「味や食感が消費者の求める基準に達していない」との指摘は業界内部からも上がる。

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p. 073
 


「高くておいしくないものを買い続けることはできない」

培養肉開発の権威であるオランダ・マーストリヒト大学のマーク・ポスト教授は(中略)環境に良いだけでは「高くておいしくないものを買い続けることはできない」と言い、コスト削減や味の改善につながる技術開発の必要性を指摘する。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 073
 


「培養肉の父」と呼ばれるマーク・ポスト氏
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サプライヤー反攻


著者 佐藤 浩実 さとう・ひろみ

ジャーナリスト

日本経済新聞社に入社し、製造業などの取材を担当。2013~16年に日経ビジネス記者。17~23年春まで新聞社のシリコンバレー特派員として米国のテクノロジーとエンターテインメントを取材する。現在は休職し、家族の帯同でカリフォルニア州に滞在。愛知県出身。


⭐コメント

代替肉は本来の肉と見た目は違いがあまりなくても、まずくて高ければ購入する人は極めて少数なのは当然のことです。

今後は、いかに美味しく、さらに低価格で提供できるかどうかが決め手になります。果たしてできるでしょうか?

代替肉の他に、ビル・ゲイツ氏他が省力不足を解消するための手段として推奨している昆虫食(コオロギなど)がありますが、食べたいとは思いません。

昆虫食はいかがですか?

昆虫食(こんちゅうしょく、英語: Entomophagy, Insect eating)とは、ハチの幼虫、イナゴなど、昆虫を食べることである。

昆虫食 Wikipedia 


昆虫食の栄養価

昆虫の栄養価について、昆虫の血液に含まれるタンパク質(アミノ酸)は哺乳動物の肉のタンパク質のアミノ酸構成に似ている、昆虫の血糖はトレハロースであり栄養価が高い、昆虫の脂肪は現代人が日常的に食べる油に近い、昆虫はヒトが必要とするビタミンのほとんどが含まれる、ミネラルが含まれるといったことが判明している。

昆虫食 Wikipedia 


2 強硬姿勢が試す”人質”奪還能力(TECH 時事深層)

サイバー恐喝に屈しない日本企業



ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)の被害を受けても日本企業の大半は身代金の支払いを拒否する。その決然とした姿勢は、世界でも有数であることが調査から分かった。


日本企業は、テロリストに従業員を拘束され、身代金を要求された場合、その要求に応じるということは以前から慣例となってきました。

一方、サイバーテロに対しては断固として身代金を拒否する姿勢を貫いています。

この差は何でしょうか? 日本では従業員(人間)を守るという姿勢を一貫して貫いていると言えましょう。


海外事情はどうなっているでしょうか?

米国人男性が誘拐されたのは2020年10月26日である。武装勢力が男性をテロ組織に引き渡す恐れがあったため、米政府は早期に救い出す必要があると判断し、誘拐から5日後の10月31日未明に人質救出作戦の実行に踏み切った。銃撃戦の末に救い出すことに成功、米国防総省の広報官は「これからも米政府は、世界中のどこであろうと、国民と国益を守る」との声明を発表した。
仮に米国人男性がテロ組織に引き渡されていても、一定程度の成功率が見込まれれば、米政府は救出作戦を実行しただろう。実際00年以降、シールズや米陸軍特殊部隊デルタフォースは、アフリカや中東でテロ組織などを相手に多くの人質救出作戦を決行してきた。

TECH  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 078
 

米国では、「米政府は、世界中のどこであろうと、国民と国益を守る」という一貫した方針を貫いているようです。

日本と米・英との違いは、身代金を払う日本と、身代金を払わない米・英

世界中のほとんどの地域に展開可能なシールズやデルタフォースの存在が、「テロには屈しない」との米政府の強硬姿勢を支えている。テロ組織から身代金を要求されても、米政府は決して支払わない。米国と同様に、身代金を支払わないことで知られる英国政府の断固とした態度を支えているのも、世界最強の特殊部隊とうたわれる英陸軍特殊空挺(くうてい)部隊(SAS)の存在だ。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 078 


日本と同様に身代金を支払ってきた国々があります。

身代金を支払ってきた国々

人質を救うために、テロ組織に多額の身代金を支払ってきたとされるフランスやドイツ、スペイン、イタリアなどと比べて、米英の強硬姿勢は際立つ。
世界的に見て日本も身代金の要求を拒否する姿勢は際立っている。ただこれはテロ組織からの要求ではなく、日本企業のランサムウエアへの対応の話だ。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 078 


TECH  時事深層 EV時代に消えてたまるか 
サプライヤー反攻


ランサムウェアとは何か?

ランサムウエアに感染すると、パソコンやサーバー内のデータが暗号化され、元に戻す見返りとしてハッカーから「身代金」が要求される。情報セキュリティー会社、米プルーフポイントの調査によると、22年に被害に遭った日本の企業や団体のうち、身代金の支払いに応じた割合は18%だった。これはオーストラリアの90%やドイツの81%、米国の76%、英国や韓国の63%などを大きく下回り、調査の対象となった15カ国の中で最低だった。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 079 


なぜ日本はランサムウェアに対して身代金を支払わないのか?

警察庁の集計によると、23年上期(1〜6月)にランサムウエアの被害に遭った企業や団体では、バックアップを取っていてもその8割が被害前の水準にまでデータを復元できなかった。ランサムウエアによってバックアップまで暗号化されたり、バックアップしていたデータが古すぎたりすることがその理由だ。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 079 


企業の情報セキュリティー担当者は被害を防ぐべく、絶え間ない努力が求められる

警察庁によると23年上期に全国の企業や団体から警察に寄せられたランサムウエアの被害報告件数は103件だった。22年上期に100件を超えて以降、高止まりしている。ハッカーたちは攻撃の手を緩めていない。

企業の情報セキュリティー担当者は被害を防ぐべく、絶え間ない努力が求められる。「楽ができたのは昨日まで(The only easy day was yesterday)」。これは、過酷な訓練を乗り切るために、シールズの隊員たちが口にする合言葉だ。

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EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 079 


著者 吉野 次郎 よしの・じろう

日経ビジネス記者

1996年に慶應大学環境情報学部を卒業し、日経BPに入社。日経コミュニケーションや日経ニューメディア編集部で通信や放送業界を取材する。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年に日本経済新聞社・企業報道部に出向し、サイバーセキュリティー業界と情報システム業界を担当した。2018年に日経ビジネスに復帰し、IT業界から経済事件まで幅広い分野を取材している。


⭐コメント

日本は、人命救助のためには身代金を支払うが、ランサムウェアに対しては身代金は断固として支払わないという理由が分かりました。

人質(社員=人間)が戻ってくる可能性が高い場合には身代金を支払うという対応と、ソフトウェアの復旧がほぼ不可能になるという現実があり、身代金を支払うのは無駄になるので支払わないという対応に矛盾を感じません。

ソフトウェアを修復することを考えるより新たに作り替えた方がよいと考えるからだと思います。


3 中国CATL、新型電池を欧州生産(MOBILITY 時事深層)

米国市場からの締め出しも影響か



電気自動車(EV)を含む車載用電池の世界最大手、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)が新型電池の欧州生産に乗り出す。EVは充電に時間がかかることが弱点の一つ。CATLはこれを克服する10分の充電時間で400kmを走行できる新型電池を開発し、注目が集まる。


EV(電気自動車)が世界中に普及しつつあります。今後さらなる普及に弾みをつけるためには克服しなければならない課題があります。

それはバッテリー(電池)です。現状では充電時間が長く、走行距離が短いという問題がありました。

その問題解決に一つの解答を出したのが、中国の車載用電池の最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)でした。

10分の充電時間で400kmを走行できる新型電池を開発」したということです。

この事実自体は素晴らしいことですが、この事態を米国が黙って見過ごすはずはありません。ここでも米中関係の緊張を高める問題が横たわっています。

欧州でも生産を計画

「欧州でも生産を計画している」。CATLプリンシパル・エンジニアのペンフェイ・ガオ氏は9月、ドイツで開催されたミュンヘン国際自動車ショーで日経ビジネスの取材にこう応じた。CATLはEVの課題の一つに解決の道筋を付ける新型電池を開発。欧州で生産する計画があることを明らかにした。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 080 


CATLプリンシパル・エンジニアの
ペンフェイ・ガオ氏は
「新型電池はまだ進化の余地がある」
と語る
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サプライヤー反攻


CATLが開発した新型電池。
10分の充電時間で電気自動車(EV)を
400km走行させることができる
MOBILITY  時事深層 EV時代に消えてたまるか 
サプライヤー反攻


CATLが車載用リチウムイオン電池市場を牛耳っている

CATLは既に車載用リチウムイオン電池市場を牛耳っている。調査会社テクノ・システム・リサーチ(東京・千代田)によると、2022年のこの市場におけるCATLの世界シェアは46%と驚異的な数字だ。新型電池をバネにさらなるシェアの拡大をもくろむ。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 080
 
  • CATLの世界シェアは「46%」は、雑誌では「37%」となっていました。


車載用電池の課題に対する一つの解答

普及途上のEVには様々な課題がある。その一つが充電時間の長さだ。急速充電では30分ほどの充電時間が目安になっており、限られた充電設備に長い時間並ばざるを得ないことがある。ガソリンの給油なら数分で済む。充電の不便さはEV普及の大きな壁になっているのだ。
CATLはこの課題を克服するため、10分の充電時間で400kmを走行できる「神行超充電池」を開発した。充電設備の回転率は大幅に高まり、EVユーザーのみならず充電供給事業者にも恩恵がある。まず中国で2023年末に量産を始め、24年1~3月期にはこの新型電池を搭載したEVが発売される予定だ。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 080 

これが事実なら、画期的と言えます。ただし、難癖をつけると、まだサイズが大きすぎることが挙げられます。もっとサイズを小さくできれば普及が加速すると断言できます。

現行サイズと遜色ない性能と耐久性が維持できるか、が新たな課題となりますが。


新型電池はレアメタルを用いず

新型電池はリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池。従来のLFPは三元系(NMC)のように高価なニッケルやコバルトを用いず、材料コストは安いものの、充電時間が長いという課題があった。新型電池でこの課題を重点的に克服した。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
pp. 080-081 


欧州市場はEVシフトが加速

CATLが新型電池の生産を計画する欧州はEVシフトが加速している。そして中国企業への依存度が高まりつつある。特にドイツ産業界にとってCATLの存在はとても大きい。ミュンヘン国際自動車ショーではドイツのショルツ首相がCATLのブースを訪れたほどだ。

ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)やメルセデス・ベンツ、BMWはいずれもCATLの電池を採用。さらにCATLは顧客の要望に応じるため、中国だけでなくドイツでも電池工場を稼働させているからだ。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 081 


欧州の現地電池産業はなかなか育っていない

CATLに次ぐ車載用電池で世界シェア2位の中国・比亜迪(BYD)も注目の的だ。BYDは欧州での販売を強化しているほか、EV生産も検討している。電池の生産も視野に入っているだろう。
欧州にとっては悩ましい状況だ。経済安全保障などの観点では、できるだけ中国企業に頼りたくない。しかし欧州の現地電池産業はなかなか育っていない。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 081 


CATLの業績は好調

欧州に限らず、世界的なEVシフトの追い風によってCATLの業績は好調だ。23年1~6月期連結決算の純利益は前年同期の約2.5倍になる207億元(約4200億円)に上る。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 081 


成長の壁は米国市場

成長の壁になっているのが米国市場だ。

米国は22年にインフレ抑制法(IRA)を成立させた。EV購入者は税額控除を受けられることになっている。ただ対象となる車両は、電池に使う鉱物の抽出や処理の一定割合を米国、または自由貿易協定(FTA)を結ぶ国で行うことを条件としている。これは経済安保の観点で、EVのサプライチェーン(供給網)から中国企業の影響力を排除しようとしていると見られている。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 081 


米国市場が難しければ欧州市場がある

米国への進出が難しくなれば、CATLの欧州シフトは加速しそうだ。中国勢にとって欧州市場はEVだけではなく、電池の販売先としても重要度が高まりつつある。CATLが今回、開発した新型電池をすぐに欧州で生産することを検討しているところにもそれが表れている。欧州と中国の相互依存は簡単に抜けられそうもなく、経済安保上のリスクは潜み続ける。

MOBILITY  時事深層 
EV時代に消えてたまるか サプライヤー反攻 
p. 081 


以上のような状況の下で、日本はトヨタ自動車やパナソニックなどが全個体電池の量産に向けて歩みを続けていますが、世界シェアの大部をを握りつつあるCATLの対抗勢力となれるでしょうか?


著者 大西 孝弘 おおにし・たかひろ

ロンドン支局長

1976年横浜市生まれ。上智大学法学部卒業後、2001年から月刊「日経エコロジー」、2006年から週刊「日経ビジネス」で主に自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。自動車など製造業に足場を置きつつ、「経営者の突破力」、「短期と長期の成長モデルの違い」、「規制と競争」などをテーマに企画を考えている。


⭐コメント

2023年の上半期(1月~6月)で、中国のBYDがEVの世界シェア第1位となっています。EV全体の4分の1以上を占めています(【2023最新】日本・世界のEVシェア統計データ【メーカー/モデル】より)。

【2023最新】日本・世界のEVシェア統計データ
【メーカー/モデル】

100万台を超えているのはBYDだけです。

トヨタが17位(1.6%)に入っています。


車種別では、テスラが1位、2位を独占しています。
BYDは車種が多いため20車種中7台を占めています。このためトータルでシェア1位となっています。

【2023最新】日本・世界のEVシェア統計データ
【メーカー/モデル】



🔷編集後記

「時事深層」は毎号7~9本の記事で構成されています。

主に若手記者が専門分野を自らの独自取材に基づいて精魂込めて執筆しています。最近では見開き2ページの紙面を十二分に使い、内容の濃さで「競い合って」います。

今後、そのような記事から毎回3本を(私の独断と偏見で)厳選し、お伝えしていきます。楽しんでいただけたら幸いです。

第2回は、GLOBAL 時事深層、TECH  時事深層、MOBILITY  時事深層 からご紹介しました。

⭐世界は日々変化しています。もちろん、すべての変化に対応することはできませんが、メガトレンド(あるいはギガトレンド)とそれに付随するマイクロトレンドに注視し続けることが大切だと考えています。

そのためには、できるだけ多くの情報源に接することが不可欠であると思います。


(8,917文字)


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