【MTG】統治者とイニシアチブについて考えてみた

 先日パウパーのフリープレイと統率者レジェンズドラフトでイニシアチブについて触れたので、その備忘録としてイニシアチブについて書いていきたいと思います。

統治者とイニシアチブの違い

 まず比較されやすい統治者とイニシアチブの違いについて書いていきます。

 統治者とイニシアチブについてはどちらも多人数戦専用ドラフトセットで生まれたキーワード能力で、どちらも膠着しやすい多人数戦のゲームを加速する目的で作られています。

統治者
イニシアチブ

イニシアチブを得ることで潜れる地下街

 両方の能力に触れた感想としては、統治者をより攻撃的にした能力がイニシアチブと感じました。

 統治者はカードを引いて有効牌を持ってくることで現状を打破しますが、イニシアチブは地下街の能力で直接的にゲームを動かします

 また統治者は獲得した終了ステップに効果が発動しますが、イニシアチブはアップキープ獲得した瞬間に効果が発動します。つまりイニシアチブを持つクリーチャーを、イニシアチブを持っている状態で出せば、更にダンジョンを進めることが出来ます。
 統治者はすでに統治者であったなら効果は重複しません。これも大きな違いです。

構築における二つの違い

 ドラフトで使ったときのイニシアチブは「つえー統治者」という印象でしたが、構築になると話は全く違ってきます。

 まず統治者は効果としてはカードを引くだけなので、あまりデッキの内容に左右されません。
 しかし、イニシアチブは地下街の性質上デッキにクリーチャーをある程度入れる必要があります。

 構築で統治者とイニシアチブが使えるのはレガシー、パウパー、統率者なので、分かり易いレガシーのデッキで紹介していきます。

レガシーにおける統治者

 統治者はカードが多く出ているので、多くのデッキで使われていますが、狡猾の宮廷や恩寵の宮廷などがサイド後の軸をずらしたフィニッシャーとして使われることが多いです。


 また失墜もサイドから追加除去+アド源として使われることもあります。

 メインで使われる場合は宮殿の看守がデスタクなどのクリーチャーデッキで使われる場合が多いです。
 また、追放は自身が離れるまでではなく統治者を奪取されるまでなのでコントロールデッキでも使われたりします。

 このように、統治者はサイドカードで使われる事が多く、メイン採用でも少数枚の採用が多いです。

レガシーにおけるイニシアチブ

 レガシーにおけるイニシアチブは白だと白羽山の冒険者、練達の地下探検家が使われています。
 どちらかと言うよりもセットで使われる場合が多いですが、少ない枚数で採用されるケースもあります。

https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/403300/show/

 赤だと混沌の洞窟の冒険者が赤単プリズンで使われるケースがほとんどですね。
 基本使われる場合には4枚使われます。

 このようにイニシアチブはメイン採用が多く、使われる場合は複数枚採用されるケースがほとんどです。

パウパーにおける統治者

 パウパーにおける統治者はアドバンテージ源として、メインに1~3枚程度採用されるケースが多いです。
 カードの重さの性質上、ミッドレンジやコントロール、後はクロックパーミッションデッキでも採用されたりします。

 採用されるカードは黒薔薇の棘、真紅艦隊の准将、蒼穹艦隊の提督、トレストの随員、宮殿の歩哨と各色に存在します。

パウパーにおけるイニシアチブ

 パウパーでもイニシアチブはメインに複数枚採用されることがほとんどです。
 採用されるイニシアチブ持ちのクリーチャーはアーラコクラの隠密、物騒なバトルレイジャー、そして復讐する狩人がほとんどです。
 一応黒単でアンダーダークの探検者、プリズムホークで奮起させるバードが採用された実績がありますが、それぞれ1デッキづつだけなので除外します。

 復讐する狩人はランプ系デッキに入っておりまして、ジャンドでバトルレイジャーと共に採用されたりします。

そしてアーラコクラの隠密と物騒なバトルレイジャーはセットで使われることが多く、青黒イニシアチブ(エスパーブリンク)という専用デッキで組まれて活躍していますが、最近ではイニシアチブの取り合いに有利な青黒デルバーとして組まれることもあります。

エスパーブリンクを使った感想

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 とりあえずフリプの為にこんなデッキを組んでみました。
 黒単とフリプしてみて分かったことがあります。

 更地にイニシアチブ出したら勝ちます。

 第2層の+1/+1カウンター2個をアーラコクラの隠密か物騒なバトルレイジャーに乗せたらタフネス6やタフネス7の確定除去以外ほぼ倒せない難攻不落の壁が出来上がるので、イニシアチブを1ターン維持出来たら相当有利な盤面が出来上がります。
 またエスパーブリンクは基本コントロールデッキなので、呪文を構える事が出来たらイニシアチブを維持するのはたやすいです。
 そういう意味で「更地にイニシアチブ出したら勝ち」と言えます。

 また、エスパーブリンクの場合はとにかく儚い存在が凶悪過ぎます。
 相手のターン終了時に儚い存在キャスト、その後反復とアップキープにイニシアチブ解決で3層地下街を進めます。

 これで大体地下街踏破して、奥義でまたイニシアチブクリーチャー出したりして、ほぼ勝ちです。

 例えば先手1ターン目に水連の花びら+暗黒の儀式+土地でイニシアチブクリーチャーを出しても、手札の消費を考えても滅茶苦茶強いです。ほぼ勝ち確な動きです。

 ただ更地以外で下手にイニシアチブ獲得したら逆にイニシアチブ取られて死にます

 地下街の第一層は土地サーチだけで基本ショボいです。
 アグロやクロックパーミッションに同じようにイニシアチブを取られて地下街を進まれたらクリーチャーの差で逆に不利になります。

 イニシアチブは4マナのビッグアクションですが、効果に対して出た瞬間はあんまり仕事をしません。その為、クリーチャーを除去されてイニシアチブを取られる、そのまま呪文を構えられる、イニシアチブを取られてブロッカーを出される、などイニシアチブを取られて相手に維持されると普通に負けます。
 アグロやクロパ相手にクリーチャー強化されて5点ルーズさせられたら普通にキツイです。

 逆に統治者はとりあえずカードを引けて、取られて相手に維持されてもイニシアチブよりかはまだマシなので、まだ苦し紛れに出しても良いかなと思います。黒薔薇の棘なら接死で相手のクリーチャーを道連れに出来る可能性があります。

 そう考えるとイニシアチブは統治者以上に諸刃の剣の能力だと言えますね。

ジャンドイニシアチブがイマイチ存在しない理由

 イニシアチブはとにかく早く出せれば強いデッキだと考えていたのですが、使ってみると予想以上に扱いが難しい能力だと分かりました。

 「早く出すのならマナ加速出来るジャンドが一番なんじゃね?」と思ったのですが、イニシアチブデッキのミラーの場合、相手のイニシアチブ獲得を咎められないから不利、と言う可能性があります。

 ジャンドだと稲妻、感電破、喪心の細かい除去が多数使えますが、このうちバトルレイジャーを確実に除去出来るのは喪心だけです。
 また、相手クリーチャーを除去は出来てもイニシアチブ獲得は咎めることは出来ません。

 更に言えばジャンドはキャントリップ付きの呪文で次々に後続を用意していくデッキですし、到達持ちもアルティサウルスしかいないので、イニシアチブを獲得しても相手の飛行クリーチャーに取られてそのまま維持される可能性もあります。

 そういったデメリットとイニシアチブのメリットを天秤にかけた場合に、イニシアチブを使わない方が強いという考えに至ってその結果、ジャンドイニシアチブがあまり見られないと言う事になったのでは無いでしょうか。

予想以上にイニシアチブの扱いは難しい

 まだ少ししか触っておらず、大会で対戦した経験も無いのではっきりとは言えませんが、どんな盤面でも強いというカードではありませんでした。

 ただ盤面によっては勝ち確の状況を作り出せるので、相当強い能力ではあることは間違いないです。また扱いが難しいので、練習量や知識が物を言う能力なのかなとも思っています。

 まだMOでの実装がされておらず、テーブルトップの試合結果とtwitterのイニシアチブ学会の発言が拠り所となるので、これから研究が進んでいくとまた違う形のイニシアチブの使い方が生まれてくるかと思います。

 テキスト量に比べて大分浅い内容ですが、これからは実際に使ったり対戦したりとかして、イニシアチブへの理解を深めていきます。

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